そうだ珈琲屋になろう その3
現状の仕事をしながら珈琲の勉強をして、いつかタイミングをみて転職しようと決めたのは24歳の頃。
慎重にかつ確実に夢に向かって頑張ろうと思っていたが、状況は良くなかった。
職場の経営状況は最悪で、ボーナスを貰ったのは初年度だけでその後は昇給すらすることもなかった。
噂で来年は倒産かもと聞き、辞める日も近いかなと覚悟していた。
そして翌年倒産ではなかったが、私は早めの判断で退職することにした。
新たな道もできたので、常に勉強できる状況にしたかった。
辞めてうれしくなった半面不安もあった。
少ない退職金と失業保険があったとはいえ給料がない状況。
つぎの就職先も決まっていない。
珈琲に携わる仕事に就けるのだろうか。
心配性の私は不安の方が勝っていた。
それまでも転職先になるところがないかと珈琲屋巡りをしながら求人募集をチェックするが多くの店はしていなかった。
しかも美味しいと思う珈琲屋にもなれば個人店がほとんどで人出は足りている。
修行ということで問い合わせてみても給料はほとんど出ないという。
いまでは考えられないが、修行に給料や勤務時間など良心的ではない時代。
厳しいなど問題はなかったが、暮らしていくには多少の給料はほしい。
ましては『開業』なんて考えればお金も貯めたい。
転職先選びに苦しみそうな予感がした。
そんなある日1冊の雑誌の記事が思わぬ行動をするきっかけとなる。
その記事は国内では珍しい国産珈琲を作っている沖縄のコーヒー農園の内容。
世界の農園に比べれば圧倒的に小さい農園。
でも国内でコーヒー栽培をしている。
1度見てみたかったし行ってみたかった。
今になると焦っていたのだろう。
「素材は大事でそこから学ぼう!」
私は筆を持ち
「そこで働かせてください!」
気が付いたらポストに投函していた。
(つづく)
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