本音は言わない
珈琲を趣味にして飲み始めたころ、美味しい珈琲が何なのかわからなかった。
とりあえず珈琲豆から挽いてドリップすれば美味しいというイメージだけで飲んでいた。
仲間内と旅行に行って、わざわざ珈琲器具を一式持ってみんなに振舞った時がある。
自分も「美味しくない・・・。」と思ったが「いやー美味いねー。」と言うと、皆がひきつった顔で「おー。美味いねー。美味い。」と飲んでいた。
でも真に受けた私は嬉しかったし、明日も淹れてあげようと思った。
翌日、皆に飲むか聞いたら全員が「今日は大丈夫。」と言われ聞けば本当は美味しくなかったと。
仲間内だから笑い話として済んだが、懐かしい思い出です。
当時は別に嘘をつこうとなんて思っていない。
ただ『本当は美味しいのだけど、自分はまだ美味しさを理解できていないだけ』。
そして美味しくなかったと言った皆も同じだと思った。
小さい子供が苦いコーヒーが飲めないのと一緒で、苦み以外の部分もわかっていない発展途上だと。
珈琲を勉強していくうちに本当に美味しくないコーヒーを飲んでいたことに気付くのだが、同時に疑問も生じた。
なぜそんな珈琲が沢山流通してるんだろうと。
価格などの影響もあるとは思うが、似た現象なんじゃないかと。
「きっとこれが美味しいコーヒーなんだ」とやせ我慢をしてコーヒーを飲んでいる人も少なくともいる気がしています。
お店もその「美味しい」という言葉を信じて販売してるのかなと。
そもそも「コーヒーのお味いかがですか?」って聞いたら多くの人は本音とは別で「美味しいです。」っていう気がしますよね。
もちろん本当に美味しいと思っている人もいるので難しいところです。
ただ疑うわけではないですが、お客様の感想だけで満足をしてはいけないなと感じています。
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