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「宗教と科学の統合」について一考察(2024/12/14)

「宗教と科学の統合」について一考察
2024/12/14

歴史については、過去の歴史は全てが正しいとは言い切れないところはあります。近代史ですら、複数の歴史解釈や歴史説明が存在して対立していたりするのが事実だからです。記録として残されているものは、その内容は記録された時点での記録の目的においては正しいものだと思われます。しかし、その全てが事実なのか、記録された当時の社会においては、どんな位置づけなものになるのかについてははっきりと断定出来ない事も多く、視点の違いで解釈が変わったりします。また、新しい記録が発見、発掘されるとそれまでの解釈や評価が変化する事も多くあります。考古学や歴史学は、自然科学とは異なり、白黒はっきり出来ない部分も多くあるという事を認識しておく必要はあるでしょう。
宗教と科学の統合は、ある意味では、水と油を融合させる様なものだとも言えます。なので、不可能だとか、ナンセンスだとか言う方も多いです。
しかし、科学と宗教は、中世ヨーロッパ時代までは、分離してはいなかったとも言えるのです。多くの科学者は宗教者でもありました。科学的探究は神父や牧師の仕事であったのです。
中世以後、大学が整備されていく流れの中で、分類と分離が進んでいき、科学と宗教は別れていきました。これは、唯物的な思想が台頭してきたこともあったからなのかもしれません。物質的ではない要素を科学から遠ざけていき、自然科学で扱わなくなっていく様になり、科学と宗教は分離していったと言えるのかもしれません。
産業革命などの社会変化の流れの中で、科学は自然界の事象を解き明かす事を目的とするだけではなく、技術的な応用の為の基盤の探究や社会的に利用する為の応用的探究が多くなっていったのかもしれません。また、自然界の現象の中でも、その時点の科学で説明のつかない神秘的な現象は、社会的な応用に乏しい事もあり、探究対象から外れていったとも考えられます。より現実的な現象を中心に扱う様になり、産業に役立つ基礎研究が優先されていったのかなと感じます。
さて、現代社会において、科学と宗教は、相容れない別な存在であると思われていると言えます。
科学と宗教の統合とは、何なのでしょう、中世への回帰なのでしょうか、私は、そうではなく、新たな地平への進化と深化の為の歩みだと思っています。

超大統一理論、万物の理論と呼ばれる原初の物理力、物質・量子の根源を追求するアプローチの中で、様々な理論的な仮説が出できて探究がなされています。
宇宙がどの様に創造されたのか、この謎は、未だ解明されていません。その探究の中で登場してくる言葉に、「神の最初の一撃」があります。ビッグバン仮説も、インフレーション仮説も、そもそもの原点である特異点の事を説明しきれてはいないのです。その特異点である原点から創造が始まったきっかけについて、神一撃であると説明していたりするわけです。そう表現するのが相応しいと考えるのは、キリスト教社会である欧米らしさであるともいえるでしょう。最初の特異点を無くしてしまうアプローチの仮説もありますが、その仮説では宇宙は非常に不安定な存在となってしまう為に進化の歩みが生み出されるのかといった懸念もあるようです。
やはり、神の一撃は必要なものであるのでしょうか。
宇宙の創造の謎と共に、小さな宇宙と表現される事もある人という存在が、なぜ出現したのか、という問いもあります。宗教からの見解と、科学からの見解は、進化論において出てきています。日本では、ダーウィンの進化論しか教えていませんが、欧米では、創造的進化論も同様に議論されています。偶然や確率では、より複雑な存在がより単純な存在から生まれる事は説明つかないという視点があるからです。
1990年代後半くらいから、インテリジェントデザイン理論と呼ばれるアプローチが注目される様になってきました。自然界に起こっていることは機械的・非人称的な自然的要因(原因)だけでは説明できない、そこには「デザイン」すなわち構想、意図、意志、目的といったものが働いていることを前提にして考えるべきだというアプローチです。
「インテリジェント・デザイン」理論では、この宇宙(次元的)は外部へ開かれたものであり、自己充足的な閉鎖系ではないと定義しています。自然界では、知性(インテリジェント)あるものの「デザイン」の事実が「経験的に検出可能」なものとして想定可能になっており、ゆえに、インテリジェントデザイン理論(ID理論)は、超越的世界に開かれたものとなっていて、同時に、経験的・実証的な科学としての条件も満たすものになっているとされています。
インテリジェントデザイン(ID)は従来の創造‐進化論争に対して第三の観点を提供するものとして、あるいは宗教と科学をつなぐ理論として、注目されてきていると言えるでしょう。

宇宙の創造、地球の誕生、人類の誕生、これらは、偶然の産物とは思えない存在だと感じます。
宇宙を支配するといわれる定数の
光速c、重力定数G、電子の電荷の大きさe、プランク定数h、これらの値が少し変わるだけで、地球は存在しなくなり、人類も誕生しなかったともいわれています。
安定した組み合わせの値が出現して、宇宙が創造され、地球が誕生し、人類が誕生した理由を探究していくと、インテリジェントな存在によるデザインがあったと考えるのが自然な流れであると感じます。

宗教は、人の存在意義や価値を神なる存在、心の存在から解き明かすアプローチであるとも言えます。科学は、自然界の存在や現象を事実から遡り説明し解き明かすアプローチでもあります。宗教と科学の統合とは、現代科学の世界に、新しいアプローチの視点を導入することにより、より高い次元へと進化させていくものであると思っています。それにより、宗教の持つ目的と科学の目的が、人類にとって重要なものへと昇華されていくのではないかと感じています。それが、より多くの人を人類の存在目的へと導くみちしるべとして、より価値あるものになっていくのではないかと考えています。

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