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中国の闇 『3中全会前の出来事』

 8日の今日まで3中全会が開催されています。まだ、会議の内容、結果は全く報告されていません。
以下、3中全会前に起こった出来事を報告します。
3中全会直前で軍人に対する処分。さらに、太子党の18家族が反習近平でまとまったとの理由で、紅二代、紅三代の人物が逮捕された。
李尚福前国防相と魏鳳和元国防相は党と軍から除名されているが、処分が決定した。李氏は腐敗、魏氏は忠誠心不足(意味不明)の理由。とにかく3中全会の前に決着したかったのが本音。(秦剛は党からの追放を宣言されなかった。死んでるからもういいや?)この二人は習近平が任命した。また、習近平は張又侠(中央軍事委員会副主席)処遇はまだ決めていない。
これらのことは、習政権が不安定であることを示し、人民解放軍の内部混乱の始まりに過ぎない。習はクーデターを防止するため、この策を取った。しかし、軍内部では習ファミリー軍(福建帮)に対する反発が急速に拡がっている。ロケット軍事件で少将以上の将校が170人以上も巻き込まれており、習の軍部での地位は安泰でない。さらに、航空宇宙産業、航空産業、その他ハイテク軍需産業では深刻な腐敗がまだ残っており、習の反腐敗キャンペーンでも腐敗は抑制されていない。
太子党の紅二代、紅三代の逮捕はクーデターを恐れて人質を確保したと考える。

 7月13日、3中全会の前、中国政府は9個の政策を公表。瀋陽・南京・杭州・武漢・広州・成都の6都会に対し、実験的に9個の産業を解放すると発表。
1.医療機構への外資系の参加が可能、中国企業は株主として参加が条件。
2.介護施設への外資系の参加が可能、非営利団体限定。杭州・成都・広州。                           3.旅行会社への外資系の参加が可能、海外旅行も可能。瀋陽・南京・広州・成都。ただし台湾旅行は禁止。              4.VPN事業への外資系の参加が可能。合弁会社を作る。     5.通信事業、IT企業、ソフト企業、アプリの代理開発・運営について外資系の株の制限を解禁する。これまで合弁会社を作り、外資系は50%以下の株が条件。                      6.娯楽業の経営、外資系の参加が可能。KTV、サウナが可能。南京・武漢・広州。これまでバーは経営可能だった。消費市場向上、テナント空きビル対策。イベント・コンサート・劇場などへの外資系の参加が可能。7.外国の芸能人・個人または団体の中国での商業活動が可能。許可は、外務省でなく、その都市の政府が判断。           8.コンサルティング企業での外資系の活動が可能。中国企業の参加が条件。中国側の株は67%以上、法人は中国人が条件。       9.企業・社会などの調査機構への外資系の参加が可能。

以上ですが、中国はWTOに加盟して20年、本来すべて開放すべきだったが、ずっと開放しなかった。国営企業を守るため約束を守らなかった。

 今回、外資系に開放したけれど、産業ではなく、業務を解放したに過ぎない。思い出してください。私も報告したように、去年12月初めに金融市場の開放を宣言しましたが、現実的な開放はしていません。習近平も李強首相も何度も開放と言いました。しかし、具体的な政策はなかった。経済悪化、外資の直接投資82%減の現実を鑑みて、慌てているのでしょう。

 

 2023年、中国にある日系企業は中国への投資を減らした。日本は海外投資大国ですが、2023年の中国への投資はわずか2.2%でした。日本はベトナム・インド・台湾・オーストラリアへの投資を増加。日本以外にも、台湾・韓国の企業も中国での投資を減らした。(去年、韓国企業の中国への投資は92%減)
唯一投資を増加したのはドイツ企業。史上初120億ユーロ。最近の世界の動きは中国に依存しない、中国の最先端科学技術への投資をしない。なのにドイツは投資を増加。何が目的なのか分からない。(ウイグルの強制労働で生産コスト安が魅力)
私が思うに、習は外資系を敵と見ている。しかし、お金は欲しい、投資して欲しい、物も買って欲しい。矛盾している。また外資系が参入すると国営企業は終わる。一方、地方政府は外資系の誘致が得意。地方政府はコロナ後、日本・欧州の投資誘致団を作った。しかし、中央政府の意向でこの策は失敗した。中国ではこの中央と地方の考え方、やり方が異なるので、結局は約束を守らない状況に追い込まれる。地方政府は約束したが、それがいつまで続くのか分からない。

 今回、中央政府は解放を発表。その地域は瀋陽を除き南部の都市が主。開放する領域は小さく、産業ではなく業務に限定。(外国の中小企業を狙っている)解放しました、しかし改革しないと意味はない。政治の改革、価値観、考え方の改革がないと政策は不安定。中国政府の考えは、中国に来て利益だけを考える、儲かるチャンスを与える。しかし、改革しないと、外資系はいつ中国政府に没収されるか不安。
私の想像:中国共産党内部に改革開放を維持しようとの意見があるのでは。

 中国税関は6月の輸出状況を公表。
6月の輸出額:3078億ドル、同期比8.6%増。連続3ヶ月成長。例年、6月の輸出産業は暇、つまり輸出は減少するはず。なのに今年は増加。
輸入は2088億ドルで同期比2.4%減少。貿易黒字は990億ドル。
国別輸出
米国: 455億ドル、同期比6%増
EU: 457億ドル、同期比4%増
ASEAN:498億ドル、同期比15%増(ASEANの中国企業への輸出)
日本: 126億ドル、同期比0.8%増
ロシア:98.8億ドル同期比3.4%増
増加したのはアパレル、デジタル、電化製品、織物、EV用電池、太陽光パネル。これで3078億ドルの輸出。自動車は87億ドル。
恐らく、関税アップを避けるため駆け込み輸出の可能性がある。来月どうなるかが見もの。

 EUの発表。中国産の酸化チタンに対し、臨時的関税39.7%を徴収すると決定。酸化チタンは塗料、ゴム、食料品、織物製品、化粧品などに使われる。酸化チタン、半分は中国製、輸出先第二位がEU。約6万トン/年の実績。中国、成都で抗議があった。BAIDU(百度)は萝卜快跑(Apollo Go)、 自動運転のタクシーを出した。(萝卜は日本語で大根、胡萝卜は人参) 

 タクシー運転手の苦情:DIDIの登場によりタクシー運営の営業許可書の価値がほぼなくなった。さらに現在、無人運転車が出てきて、これから我々の仕事はなくなる。
現在成都だが、武漢、広州でも展開されている。やがて全国。広州のタクシー・DIDIの運転手は700万人以上。仕事がなくDIDIの運転手をやっている人がまた失業するのか。中国全国で正規のタクシーは139.13万台。これらの人はどうなるのか。この問題を考えていない。
自動運転タクシーの運行時間は朝7時から夜11時まで。専用の駐停車場所は決められている。従って、利用者はその駅まで行かないと乗れない(バスと同じ)。また、途中での上下車は不可。広州では300個以上の駅を設置。
現時点では都市と都市を結ぶ移動サービスはしない。
自動運転タクシーは25~35%安い。しかし、現時点では不便。決められた駅間での移動のみ。例えば病人を運ぶのに家から駅までどうするの。また駅から病院までは。いくら自動運転が安いとは言え、使いたくない。そしてどれほどの差があるのか検証。
広州で6.8㎞の距離、自動運転では23分で到着、政府の補助金があり7元(実質は14元)でした。もしDIDIを使用すると、途中下車でき、乗車の位置も自由だから、実質6.1㎞で25分。料金は17元。あなたならどちらを使いますか(政府は補助金を出しているが、目的は人の行動監視)

 私の興味は事故。はたしてどちらが事後の確率が大きいのか。また、渋滞が起こり、警察官が誘導するのに、自動運転は言うことを聞くのか疑問。

2024.07.18.


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