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中国の闇 『万科社、実質倒産』

 以前報告したように、不動産企業で最も健全とされていた万科社がついに倒産となったようです。しかし、中国政府は倒産を許さず、ゾンビ企業とするようです。深圳市政府も助けることができなかった。

 1月28日、大晦日の日、万科社が発表。都亮会長が辞任、CEOの秘書祝さんが辞任、祝九勝CEOが辞任。深圳地下鉄のCEO兼書記が万科社のCEOを兼務する。しかし、都亮氏は辞任後も会社に残り、業務処理する。CEOの秘書祝さんも辞任後会社に残り、業務処理を手伝う。祝九勝CEOは完全に辞任。辞任後、しばらく経営陣の質問等に対応する。

 先週、万科社の借金問題、返済不能の問題で、深圳市政府は特別チームを作って万科社に入り、指導するようになった。経営者、管理者、秘書らは全品身柄確保された。つまり、政府は万科社を完全に管理することになった。

万科社は上場企業だから高級幹部は公表される。他の人は公表されないが、身柄確保される。以上のことは倒産を意味する。

 2024年は450億元の赤字と発表。万科社、1991年上場して初めての赤字。その原因は、2022~2023年に不動産建設して2024年に売った。しかし、土地は2019~2020年に購入しており、不動産価格の下落により、2024年に売ったので確実に赤字となる。また、商業不動産、物件を担保にして金を借りた。担保した物件の評価価格が下がった。
1991年、上場。それから業績は高騰した。
2016年、販売業績は200億元突破、2020年415億元突破がピーク。
2024年、赤字となった。

 2025年、合計324億元の返済額が残っている。海外債務は36億元、しかし、会社の口座には12億元未満(自由にできる金だけ)。借金以外に工事代金の未払い、工事材料の未払いがあり、合計1200億元。今年、第1四半期の返済額は100億元弱。これでは返済不可能。投資機構は、万科社は最低でも1000億元が必要、1000億元あれば復活できるとされる。

 深圳市政府はどうして助けないのか。万科社の大株主、深圳市政府の企業、深圳地下鉄がある。この企業の本業は地下鉄。しかし、ずっと赤字経営。(共産主義により地下鉄運賃は考えられないほど安価、しかも軍人家族、役人は運賃無料)収益は主に不動産。駅周辺の商業ビル・テナント・オフィス等。だが、経済悪化により、テナント・オフィスの空きが多い。実情は赤字。(と言っても、2024年は80元の赤字)

習近平は不動産市場を落ち着かせるため指導をした。政府は不動産企業を助けるためホワイトリストをつくって金を貸した、売れ残り物件を買い取り市営住宅にすると、未開発の土地を買い政府が運営することをしたが、結果は出なかった。

もし、銀行が万科社に金を貸せば、万科社の返済不履行は解決。しかし、銀行は金を貸さない。もし不良債権、返済不履行となったら、政府から責任を追及されるから。海外からも金を借りる事ができたが、3月、ムーディーズはジャンク級に、8月にはゴミ級に格下げをした。金を借りることができず、万科社は物件を売却して返済することを考えた。

 恒大、万科、カントリーガーデンは中国の不動産市場を引っ張ってきた業界の代表であった。しかし、現在、恒大は精算中、カントリーガーデンは人民元債の利払い起源を先延ばし(債権者と合意)。そして、最も模範的な万科は倒産となった。例えば、万科社のエレベーターは三菱・日立・フジテック・東芝・オーチス等。また物件が丈夫で質が良い。小さなところも、決して手抜きしない企業だった。

2019年、会長は新年の挨拶・会議で経営方針を発表した。実はその時から万科社の会長は警戒していた。当時の指導方針:土地の買い取りの規模を縮小、質の良い土地限定、不動産の建設を加速し、物件を早く売ること、負債を減らしていく。しかし、2018~2021年、土地の買い取りは全国で第二位を維持。これは会長の指導方針と違う。考えと行動が違っていた。

その原因は国有企業であったこと。元社長の大石氏(現在日本在住)は民営企業と主張していた。真実は、万科社の中身は国有企業、外見は民営企業。その後、深圳地下鉄は万科を買い取った。もし、万科社が土地を買わないと、深圳市政府が困る。(市の収入は不動産の売却に頼っている)これで、万科社に土地を買えと指導した。これは万科社の会長・社長方針とは異なる。

 2021年、万科社はかなりの土地を買った。以後5年間、土地を買わなくとも良いだけの土地を買った。つまり、2021年に政府の指導方針を無視し、土地を買わなかったら、まだ経営が継続できていたと思う。会長・社長の読みは土地価格が下落するとのことだった。(正しい読みをしていた)

 2022年、6月以降、不動産市場が壊れた。不動産価格がどんどん暴落していった。中国の不動産企業の特徴に、販売が大事で、少しでも売れないと直ぐに返済できなくなる。中国の不動産企業は販売の業績が悪化すると倒産する。しかし、不動産価格が下落しているのにそれを買う人は希少価値。

(BYDも同様。もし、自動車が売れないと、色々なメーカーが衝撃を受ける。あるいは倒産する。現在、BYDは材料を提供するメーカーに金を支払わなくなっている。中国で車は売れなくなってきている。)

 王石氏が会長の時、万科社の株価が異常に安かったと判断して、いっぱい買い取っていた。王石氏は嫌で、深圳市政府に買い取ってもらい、引退した。現在のCEOの祝九勝氏は元建設銀行の副銀行長だった。王石氏に指定され、資金を調達していた。でも、裏でやっていたのは資産運用の会社である万科系だった。祝氏は会社を運営して、金商品を売り、投資家に買ってもらっていた。

今後、政府が管理するようになり、ゾンビ会社となる。正常な運営をしないし、倒産もない。(実質は倒産)そして、深圳市政府・深圳地下鉄は価値のある資産を吸収していく。

結局は深圳市政府の我儘に振り回された。結果、経営判断を狂わせられた。

 43hjんkml、; 深圳地下鉄は当時29.38%の株を買い取った。664億元の投資。去年少し売却し、27.18%となった。2017年、20.47元/株で買い取り、現在7.27元/株。7年間で428億元の損失。

 深圳地下鉄も借金して投資した。2017~2022年、利息100億元、配当金190億元。しかし、2023年より配当金を無とした。そのため、深圳地下鉄の損失は330億元。664億元で買い取り、330億元の損失。約1000億元が消えた。万科を守るため、更に1000億元が必要となり、これは深圳市政府も無理となる。

 因みに香港。 香港は外貨・ドル不足。高利息により外貨を集めている。現在、人民元のレート、香港ドルのレートの防衛に外貨・ドルが欲しい。

高利息。日本円でも7%程度。

香港当局の発表。去年12月、香港の住宅価格は2023年12月より7.1%下落。連続3年間の下落。しかし、家賃は少し上昇。同期比3.9%上昇。原因は大陸の留学生の増加。学生寮、物件不足となっている。2025年、香港の不動産市場は底となり、上昇すると思われる(これは楽観過ぎる)。香港の経済は米国・イギリスへの依存度が低下してきた。外資系の依存度も低下。中国への依存度は上昇。しかし、中国経済は悪化している。

香港は中国の普通の都市となっていく。中国は領土を拡大してはその土地を荒れ野にする。

 旧正月、伝統的にこの日は花火、爆竹…等で騒ぐ習慣がある。これは悪運を追い払うための神聖な儀式と考えられている。しかし、習近平は2015年頃から花火を禁止とした。しかし、市民はこの習慣を忘れない。禁止されても若い人は花火・爆竹で騒ぐ。警察とのイタチごっこ。警察の言い分は、火災や事故の防止。違反に対し罰金500~1000元、でも市民は止めない。

このイタチごっこ、今年は特別でした。失業者の不満、給料未払いの不満、就職難の不満、生活苦の不満。この憂さ晴らしのため、若者は旧正月に盛大な花火大会をやった。結果、人民と特警部隊との衝突が勃発。暴動に発展した地域では、警察が強制的に市民を拘束。1万人超が逮捕・拘束された。

当局はこうなることを予見していた。爆竹の販売は禁止、打ち上げ花火も販売禁止とした。しかし、何も回避できなかった。逆に伝統を重んじる市民はこれに反発した。そのため、地下で花火・爆竹を販売する動きが活発となった。特警部隊の行動に対し、市民の反発は次第に激化。警察に石や火炎瓶を投げるなど衝突は一触即発状態。

この状況はSNSやニュースで瞬く間に拡散され、瞬く間に情報遮断されました。市民の反発は政府への不信感を増大、SNSでは抗議の声が広まった。暴動は全国規模までに拡大。

このニュース、日本国内でどれほど報道されたのかな。

特警出動 警察は説得 イタチごっこ 火炎瓶炸裂 車輛を狙う








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