米露高官による会合がサウジアラビアで行われ、停戦の実現のため双方が新たに高官級の交渉チームを設けることで合意。ゼレンスキーはウクライナ抜きで会合が行われたことに、現地訪問を延期(2月19日に別の用事で訪問の予定であった)。
フォックスニュースでは米国とロシアが合意した停戦案プロセスは、①停戦、②ウクライナでの選挙、③最終合意書への署名。実質的にロシアがこれまで求めていた、ゼレンスキーとの停戦契約を結ばないことを、米国が承認した形となる。(ロシアの目的はゼレンスキーの排除)その内容:
・米国とロシアは大使館職員を復職
・ルビオ氏:戦争終結には長く困難な外交が必要
・トランプ氏:数年後に戦争が再開しないように公平に終結したい
・全ての当事者が譲歩しなければならない
・トランプ氏:親ロシア派の候補者が勝利しても選挙結果を受け入れる
・トランプとプーチンはゼレンスキーの再選は低いと考える
これにより、トランプは戦争の早期解決ができれば、ウクライナを誰が率いるかを気にせず、プーチンが望んだ親ロシア政権誕生を容認、ロシアが望んだゼレンスキーの排除を容認した。
ルビオ氏:ウクライナ戦争が解決すれば、西側諸国はロシアに対する制裁解除をしなければならないだろう。
ここで、欧州も、ウクライナのみならず、EUも排除されているとして、欧州が緊急会議を招集開始した。(フランスが主体)
ロシアの主張:プーチンはゼレンスキーとの会談の用意があるが、その正当性の法的側面に対処する必要があると強調。ウクライナのEU加盟の可能性は軍事同盟に関するものではない為、キーウの権利。EUが独自の軍隊を創設する計画は厳重に監視されなければならない(ぺスコフ氏)。ゼレンスキーは正気に戻す必要がある(ラブロフ氏)。
米国のエネルギー施設空爆の停止案に対し、ラブロフ外相は、ロシアはウクライナのエネルギー供給システムを危険にさらしたことはない。攻撃はあくまで軍事施設と強調。(まだやると言っている)
ウクライナで和平が達成されれば、ロシアの銀行カードは再び世界中で利用できるようになる。米国とロシアはサウジアラビアでこれに合意したとラブロフ外相談。ロシアへの制裁はロシアより米国に大きな打撃を与えていると今回の米国との会談で認識したとロシア側は言う(これは嘘)。
この会談後、ロシア株式市場は下落。ウクライナの国会議員のゴンチャレンコ氏は、米国共和党員の情報より、プーチンとトランプの会談が中止されたのは交渉がロシア側にマイナスだったためとある。(これはウクライナ国民を落ち着かせるためで真実は不明)
一方、ゼレンスキーはトルコを訪問。エルドアン大統領とウクライナ戦争の解決に向けた協議を実施。(ゼレンスキーは、米国はあてにならないと考えており、EU諸国を味方に付けようとしている。)米国の単独行動に抑止をかける。トルコは停戦仲介国になることに意欲的。ゼレンスキーはウクライナに一定の安全保障上の保証を提供できる国の中にトルコが含まれていると述べている。米国・EU・そしてトルコを含むヨーロッパ全体によって、こうした保証が提供されることを望んでいる。
シリアアサド政権の崩壊にトルコが関与していたこともあり、ウクライナとトルコの接近は米国が嫌うところ。
ゼレンスキーの主張:
・領土の譲渡やウクライナ抜きでの交渉の考えを拒否。
・この米国の流れが続けば、2021年のアフガニスタン問題が、今度は、ウクライナで発生することになる。
・米国の協力により、プーチンの希望通りの流れとなる。
・ウクライナは自身の領土・地域を放棄するつもりはない。
・今のヨーロッパは軍事的に弱い。近年の改善にも関わらず、ヨーロッパは陸、海、空軍やドローンの面で依然として力不足。
・ロシアが軍事力を強化している。ベラルーシ経由でリトアニアやポーランドなどのNATO諸国に対する攻撃のリスクも存在する。
・ロシアは停戦交渉プロセスにおける私の存在はロシアにとって不都合であるため排除を狙う。
・ウクライナはEUとNATOに加盟すべきだと確信している。ウクライナは欧州の価値観を共有している。EUとの統合に向けて引き続き努力する。
最後にサウジを訪問する意味は皆無であり、必要ならキーウで待つ。(米国来いと言っている)
裏情報:この停戦案は去年の夏のウクライナの大攻勢の時期に米国共和党内で出されていた。つまり、ウクライナ抜きの米露の停戦交渉で停戦案を作成し、それをゼレンスキーに提出。ゼレンスキーはそれを国民に交付し国民を納得させるように仕向ける予定であった。
トランプの問題発言:ゼレンスキーは選挙の無い独裁者、選挙を拒否していると非難。
・米国チームはウクライナ戦争の終結に向けて交渉を成功させている
・ゼレンスキーは選挙を急ぐべき、さもなければ国を失う
・米国の参加なしにゼレンスキーはロシアとの和平交渉はできない
・ウクライナは破壊され、何百万人ものに人々が無駄に死んだ
・ゼレンスキーは金銭的利益の為戦争継続を望んでいる
・ゼレンスキーは米国を勝てない戦争に引きずり込んだ
・米国はキーウに3500億ドルを支援したが、見返りはない
これ、どう思います。
まず、戦争終結の交渉ですが、ウクライナの意見は聞かず、ロシアの言い分そのまま。これ交渉ですか。それに、侵攻したのはロシア、ロシアが停戦を求めるとはおかしい。撤退してから言って欲しい。
選挙をやれとはロシアのプロパガンダ。戦争中に選挙な無理、なぜなら、戦地に行っている兵士は投票できない。この兵士が投票に行けば、ロシアは直ぐに侵攻する。EUのどの国も戦時中の選挙はないと主張。
米国はゼレンスキーを排除して和平交渉している、この発言は矛盾。
破壊したのはロシア。無駄死にではない、国を守った。
ゼレンスキーは金に興味ないし、大統領になる前にすでに数十憶ドル所有。
勝てないのは、約束の武器を供与しなかった米国の責任。
3500億ドル、EUより多くの支援と言っているが、ウクライナへ渡ったのは1000億ドル未満であり、2500億ドルはまだ米国にある。1000億ドルはEUの支援より少ない。見返りは地下資源ですか。半分よこせ、これ恐喝ですよね。
トランプ氏はゼレンスキーを独裁者と言い、国民の支持率は4%と強調。さらに、バイデンにより入国を許可されたウクライナ難民の移民申請の処理を停止した。ゼレンスキーに圧力をかけている。さらにはこの戦争はウクライナが仕掛けたものだと、ロシアの言い分を真実だと受けている。つまり、今回の被害者はロシアであり、停戦するか否かはロシアが決めるとしている。
それでは、具体的支持率はどうでしょうか。ウクライナの野党のトップは相次いで、現段階での選挙の実施は不可能と言っている。そして、ゼレンスキーをウクライナの大統領だと発言している。そして、2月4日から9日に調査した結果が以下。
ゼレンスキー大統領を信頼 57%
信頼せず 37%
判断に困っている 6%
57%の支持率はトランプ氏の支持率より5%高い。しかも、トランプ氏の、この一連の行動により、トランプ支持率は10%低下している。つまり、米国民の不満が加速している。
もし、ウクライナの大統領選挙が実施された場合の結果予測は:
ザルジニー 27.2%
ゼレンスキー 15.9%
ポロシェンコ 5.6%
ブダノフ 3.2%
ティモシェンコ 2.7%
決めていない 21.6%
参加しない 6.7%
上記以外の候補 4.7%
トップの候補が得票50%以下の場合一位と二位で決選投票。
ロシアはゼレンスキーの汚職を捏造し、これを拡散しているが、汚職問題は全く確認されない。なぜなら、ゼレンスキーは大統領になる前に大金持ちとなっている。さらに金に興味がない。金が目的で大統領になった訳ではない。
そしてEUはゼレンスキー大統領をサポート:
チェコ:ゼレンスキーを独裁者と呼ぶにはかなりの皮肉が必要。
ノルウェー:極めて不公平。
フィンランド:ゼレンスキーとウクライナ憲法を支持。
米国上院民主党指導者:米国大統領が我々の友人の一人に背を向け、プーチンのような悪党の側に公然と加わるのは不快。
ドイツ:トランプがゼレンスキーを独裁者と呼ぶのは間違いであり、危険。フランス:ウクライナを支持。欧州の平和と安全を確保する責任を全面的に負うつもり。これはフランスの根本的な利益であり、マクロンはその保証人。
ロシアが提示した停戦条件:
・ドネツク、ルガンスク・ヘルソン・ザポリージャとクリミアをロシアと認める。
・NATOへの参加拒否
・ウクライナの親ロシア派大統領
・兵器開発の制御
・軍隊の数を減らす
・他の軍隊との協力の禁止、およびウクライナへの他国の軍隊の派遣の禁止最後の項目は、トランプ氏が停戦後にEUの部隊を国境付近に配置するとの提案に対する反対。要するに、再度侵攻するので、他国の軍は邪魔。
私の最大の心配事項:このトランプ氏、いや米国共和党の行動により、米国とEUの関係が悪化。恐らく縁切りになる。そうなると、EUの対中国対策も見直され、中国への制裁も緩和される。さらには中東諸国・エジプト・南アフリカも米国を見限り中国と接近する。そうなると中国包囲網は消滅する。台湾も、結局、米国が我々を助けてくれることはない。平気で我々を中国に売るであろうと考えるようになる。
米国の共和党内でも、今回のトランプ氏の行動に反対する意見が、少数であるが、出ている。これでは26年の中間選挙も危うい。