外国語会話ができるようになりたい方へ スペイン語の学び方
まずは第一に、外国語が話せることと完璧であるということは別であるということをご認識ください。
皆様は日本語を知らない人に完璧な日本語を求めますか?
例えばですが、日本に旅行に来ていると思われる海外の方が、カタコトの日本語を使われたらどう思いますか?
日本語を勉強している海外の方が誤った日本語の使い方や間違った単語を覚えていたらどう思いますか?
多分きっと彼らが上手に日本語ができなくても、仕方ないと思うのではないでしょうか。それは我々が外国語を勉強する時にも同じことが言えるのです。
学生時代、英語を習っていた時はきれいな発音、正確な文法が重要視されました。うまく発音できないことを笑う同級生もおりました。もちろん、正しい文法を使うこともきれいな発音を心がけることも大事です。けれども、逆の立場に立って考えた時、あなたは日本語を勉強している海外の方々の発音を笑いますか? 単語を知らないためうまく話せない、言い間違えてしまう彼らを笑いますか?
新しい言語を習う際、人は言葉を覚えたての赤子のようなものです。うまく言葉を発することもできず、文法などわからず、知っている単語も数少ない。それが当たり前なのです。ですから、うまく話せないと思っても気落ちすることはありません。知らなければ知っていけばいいだけなので、勉強をされている今に自信が持てなくても大丈夫です。1日1単語増やすだけで1年後には365個も新しい単語を覚えられるのですから、気長にいきましょう。
また、これは余談ですが、自分がスペイン旅行をしていた際、声をかけてこられた男性がいました。自分の出身は日本であることを伝えると、「俺、日本語話せるぜ!」と、自信満々に言われたことがあります。遠い異国で日本語ができる方がいらっしゃるとは思わず、嬉しくなって日本語話してみてと返すと、「こんにちは、ありがとう、君かわいいね!」と満面の笑みで言われました。けれど、それ以外の日本語を彼は知らなかったのです。日本では外国語を話せる=完璧、もしくはネイティブレベルだと思い込んでいますが、彼からしたらこんにちは、ありがとう、君かわいいね、これらの言葉を知っているだけで話せると言えるのです。
このようなことは度々ありました。例えば、スペインで仕事をしている際は、職場でよく言葉の教え合いをしていたのですが、彼らは何かしらの日本語を覚える度に「これで日本語完璧だ!」と嬉しそうに笑うのです。
これくらい日本人の考える”話せる”と海外の方が考える”話せる”のハードルには雲泥の差があるのです。完璧を求めすぎて躓いてしまう方を多くみてきましたが、そのように気負う必要はまったくないのです。自分が楽しいと思える程度でがんばってみてください。
・恥ずかしくてうまく話せない方へ
うまく話せない理由が恥ずかしいだけならばその恥はくしゃくしゃっと丸めてえいやと捨ててしまってください。まあ、捨てろと言われて捨てられたら苦労はしないと思いますが、大抵うまく話せない場合は話す練習が足りていないだけなので、話す機会を増やせば話せるようになります。
”外国語会話ができるようになりたい方へ”の項でも書かせていただきましたが、話せる=完璧である必要はないのです。うまく話せないからと考えるのではなく、うまく話せなくて当たり前だけど、現在上手になるべくがんばっているとポジティブに考えるとよいでしょう。 とはいえ、すぐに恥を捨てろと言うのは難しい話なのもわかります。しかしまずは第一歩、いつもより少しでも大きな声でスペイン語を話してみるとか、新たに覚えた単語や文法を使ってみるなど自分ができそうなことをしてみてください。それでもやっぱり無理だと思われる方はある程度カンペを作ることをおすすめします。例えば初めて会う方であれば通常自己紹介をしますよね。その自己紹介の文章を作ってしまい、ひたすら練習するのです。暗記に近くはなりますが、頻出単語や文を覚えてしまえばどんどん使えるようになりますので、いろんな状況を想像してたくさんカンペを作ると良いと思います。
ある程度話せるようになるまでには時間も努力も要しますし、何度も挫折を味わうことになるでしょう。勉強するのが嫌になる日もあるはずです。そんな日は無理せず一度教科書を閉じ、美味しいものを食べてゆっくりお風呂に入ってください。体を動かすのも良いでしょう。息抜きは大切です。十分に休息が取れ、また頑張ってみようと思えた時、また一つ成長へと近付くことができるはずです。ただ、あまりにも長い間そう思えなかった時も何かしらスペイン語に触れればそれが荒療治となり、気持ちが後から付いてくることもありますので、ご自身に合ったスピードで進んで行きましょう。
・外国語会話を話す時のちょっとしたコツ
多くの方はひたすら単語を覚えるのがいいとか、文法を正しく身につけなくてはならないとか、話せなければならないと本にしているように思います。ですが、私は皆さんにお聞きしたいです。
皆さんは外国語を使う際、日本語で文章を考えてそれを知っている言葉に置き換えていきますか? それとも、外国語を使う際は全て外国語で文章を作成されますでしょうか。
今回お話するコツはあくまで、日本語から変換する場合になりますが、はっきり申し上げますと、難しい単語をどれだけ簡単な単語に置き換えられるかです。
例えば「収集する」と言う単語は知らなくても「集める」という単語を知っていれば話はできます。その他にも「難解」という単語を知らなくても「難しい」と言い換えられると考えれば少し楽になるのではないでしょうか。普段日本語を使う場合、無意識に難しい言葉を使いますが、意識して簡単で自分が知っている単語に置き換えることが出来れば日常会話においては格段に伸びると思います。実際私は伸びたので、ある程度効果はあるはずです。
確かに、簡単な単語だけで話すと幼い話し方となりますが、語数が増えればどんどん取り込んでいけばいいのです。日本語で文章を考えた時に、単語がわからず話せない、ではなく、どのように言い換えることができるかを考えて言葉を組み立ててみてください。日本語のままスペイン語にしなくてよいのです。自分ができる範囲で言い換えて、知っている単語に落とし込んで話してみるとよいですよ。ただし、日本語で難しい言葉を簡単な言葉に置き換えて、その簡単な単語で自分が知っているスペイン語が何かを考えて言葉にする、という少々複雑な工程が必要となりますので、慣れるまでは時間もかかるし、頭も使うと思います。加えて、難しい言葉を簡単な言葉に置き換えるためには、多くの言葉を知らなければなりません。普段から新聞や本を読む習慣をつけ、言葉をインプットしておくことを推奨します。
残念ながら、専門用語を使うような場では使えませんので、その際は単語を覚えるしかないのでがんばりましょう。
それともう一つ、コツとはいえないかも知れませんが、シャドウイングの重要性です。シャドウイングが重要であることは周知の事実かもしれませんが、口に出せないものは聞き取れないというのは言い得て妙だな、といつも感じております。私としてはシャドウイングと言うよりも音読を大事にして欲しいと思っています。
学生時代国語の授業で先生に当てられて音読するのは嫌いでした。しかし、書かれている文章を正確に口にすると言うのは案外頭を使うものです。日本語の同音異義語、例えば「柿」と「牡蠣」のように音は同じでも意味は違い、また、口に出す際は微妙に発音が違っている言葉があります。英語もそうですが、スペイン語にもRとLの違いがあります。その発音が正しくできるかできないかで全体の意味が変わってしまうのです。日本語のように基本的には問題なく文章が読める言語であればただ音読をすれば良いと思いますが、ネイティブの方が発音した場合と自分が発音した場合に大きく差がある場合はシャドウイングの方が有効だと考えます。なぜなら、正しい音に合わせようと自分が工夫するからです。
個人的にはまったく知らない文章よりもある程度知っている文章、もしくはシャドウイングする文章の日本語訳がある方がいいと思っています。シャドウイングにより口で追いかける言葉が日本語ではどのような意味なのかわかりやすいのと、スペイン語と日本語での言い回しの違いがわかりやすいように感じるからです。特におすすめの本としては、かの有名なサン・テグジュベリの”El principito -星の王子様-”です。長年読まれているだけあり、数多くの訳があるため、自分が好きだと思える訳があること、またページ見開きの対訳本があること、加えて音声のCD収録等があることが理由です。完全な大人向けの本でもなく、児童書というわけでもなく、難易度としてもちょうど良いのではないでしょうか。私はよく『星の王子様』をスペイン語で聞き、シャドウイングして、その後一人だけでスペイン語を読み上げてみて、日本語訳を流し読みするということをしています。たまに英語力向上を目指し、スペイン語プラス英語で読み上げますが、都度日本語文を読み、大雑把に意味を取ります。気になる単語や表現方法は別途メモを取り、知識として蓄えられるようにしますがシャドウイングはその程度です。本当はもっときっちりした方が良いと思いますが、あまりがんばりすぎると疲れてしまうので、皆さん自分のペースでやってみてください。
それと、シャドウイングだけですと、私は出勤中にスペイン語圏のラジオを聞きながら口で追いかけています。ただし、コロナ禍を経てマスクをすることが日常になったことと自転車出勤だからこそできることでもある気がします。そうでなければボソボソと見知らぬ言語を発する私は様々な人から冷たい目で見られたことでしょう。ラジオはアプリで聞いていますので、詳しくは後ほど”覚えた単語(言葉)を忘れない方法”や”自宅で、外国語会話練習ができるアプリなど”の項にて記載させていただきます。併せてご覧くださいませ。
・覚えた単語(言葉)を忘れない方法
記憶というのは使わなければ忘れるものです。悲しいし悔しい限りですが、日頃から使うよう心がけるしかないと思います。日本語でさえ、スマートフォンの波及に伴い書くのを忘れる方が多い昨今ですので……。
とはいえ、日本にいてスペイン語を使う機会はほとんどありません。しかし、工夫をすれば自分の生活にスペイン語を組み込むことができます。少しですが私が普段の生活の中でスペイン語を使うためにしていることを紹介します。
・スペイン語で日記を書く
多分オーソドックスな外国語勉強法の一つだと思います。自分が知っている単語を駆使して書くのも、辞書を用いて知らない単語は調べながら書くのもよいでしょう。時間がある時は文法を意識して書くと普段話してる時には使えていない文法がよくわかるのでおすすめです。私は話す際、どうしても直接法が主になってしまい、接続法が弱いため、文章を書く際はそこに気をつけています。
また、スペイン語は英語と違い主語によって活用が違うので、主語を変えて書くと普段使わない活用形まで使うのでより勉強になるかと思います。
・使っているスマートフォンの設定をスペイン語にする
普段の生活においてもスマートフォンはなくてはならないものですので、その設定をスペイン語にしてしまえば何かある都度スペイン語を使うことになります。
車の運転をする際、Google Mapにてナビゲートすることが多いのですが設定をスペイン語にしていると音声ナビゲーションももれなくスペイン語になるため、初めて一緒に出かける人などは非常に驚かれます。しかしよくでかける機会の多い友人たちなどは、右:Derecha、左:Izquierdaだけは完璧に覚えているため、音声ナビがGira a la derecha:右に曲がれやGira a la izquierda:左に曲がれと言うたびに、「ああはいはいここは右ね」と慣れた様子です。ただ、彼らはそれ以外のスペイン語は全く知りません。
Siriも同様にスペイン語に設定しているため”Hi, Siri!”ではなく”Oye, Siri!”と話しかける必要があります。きちんと発音できてない場合はSiriが拾ってくれませんのではっきり音にするように気をつけて話します。難しい質問をする必要はないので、知っている単語や文章を話かけるだけで発音練習になるのでおすすめです。
・言語交換交流会に参加する
だいたいどの地域においても、 Intercambio idiomas Español y Japonés (日西言語交換交流)を開催していますのでそちらに参加するのも良いと思います。お住いの地域の名前と言語交換で検索すると情報が出てくると思います。参加者は日本語初級から上級、日本人でもスペイン語初級から上級の方々と様々なレベルの方です。自分が参加したことのある交流会では、若干ですが初級から中級の方が多いような印象です。
場所によりますが、マドリッドで参加していた際は金曜日の夜にお酒を片手に交流するような形でしたので、最初は誰かと一緒に行けると安心だと思います。
とはいえ、実際に参加するのはなんだかハードルも高いと思われる方や、お住いの事情、お酒の入る会が多いので参加はちょっとと感じられる方などは、手軽にできる言語交換アプリを導入するのも一つの手です。スマートフォンもしくはPC一台で始められるのでそちらの方が手軽だと思います。
・RTVEの活用。
RTVEとはCorporación de Radio y Televisión Española, S.A.の略で、スペイン放送協会のことです。2007年より国営化されているためスペインの国営放送、簡単にいうとスペイン版NHKのようなものです。
残念ながら日本のテレビで視聴することはできませんが、RTVEのサイトから各コンテンツ(Noticias:ニュース、Televisión:テレビ、 Radio:ラジオ、Deporte:スポーツ、El tiempo:天気予報、Infantil:子供向け等)を観ることができます。また、Ver Directoからアクセスすると現在放送されている番組を日本に居ながら観ることができます。
ニュースを観ることも可能ですし、Web記事の公開もされていますので、気になる記事をチェックするのもよいでしょう。最初から難しい文章を読むのは体力的にも気力的にも厳しいと思いますので、Infantil:子供向けのジャンルから選ぶと良いのではないでしょうか。
様々な便利機能がありますが、個人的にはスペイン語でドラマが観られるというのが一番の利点です。
おすすめのドラマは『El Ministerio del Tiempo』
日本に居ながらにして、向こうのドラマが観られ、また、西語字幕も付けられるため知らない単語等をメモしながら観られるのも良いと思います。
ただし、日本語音声や字幕はないので、中級以上の人向けとなりますが、作業時のBGM代わりにも出来るし、ゆっくり観ることも出来ます。
El Ministerio del Tiempo
スペイン政府の架空の秘密組織:時間管理省のエージェント達が時空を超え、過去・歴史をそのままに保って現在に影響しないようパトロールするといったもの。
主人公は秘密組織に属するエージェント、19世紀の女子学生、16世紀の軍人、そして21世紀を生きる3人です。生きる時代の違いから度々意見の衝突はありますが、協力して任務をこなして行きます。ミステリーやサスペンス要素もありつつ、皆何かしら変えたい過去を抱えながらも、自分のために歴史を変えることはご法度な組織の規律を守ろうと葛藤するヒューマンドラマも描かれています。
もしもあの時……があれば歴史が変わっていた。
歴史好きにはたまらない作品となっているので、ぜひご覧くださいね。また、鑑賞される前にスペイン史を少し確認されるとより面白く感じられると思います。
*自宅で、外国語会話練習ができるアプリなど
•言語交換アプリ
-Hello Talk
アプリ内翻訳がほぼ無制限なのでいちいち翻訳アプリを開いて意味を確認したりしなくていいので楽です。
-Tandem
勉強している言語を2つ以上選択可能なので、私はスペイン語と英語を選択しています。
個人的には上記2つをスマートフォンに入れています。日本語を勉強したいスペイン語話者と繋がれるアプリです。ご存知の通り、スペイン語を第一言語とする方々はたくさんいらっしゃいます。スペインと南米では単語の使い方が違っていたり、国によっては発音も変わったりと誰と話すかによってその都度違いを知ることができて楽しいと思います。
ただ人によって語学学習への熱意が違うので、良い人と巡り会えるか次第なところが強いように思います。
また、時差の関係でスムーズにやりとりできない場合も多くありますし、良いこと尽くしではありません。
しかしそれでも、私は6年前にそのアプリ内で知り合った友人たちと今なお連絡を取り合い、スペインに行った際には一緒に出かけたり、日本から友人が旅行する際は案内を頼んだり良好な関係を築いています。
※ただし、直接会うことを推奨するものではありません。誰しもが良い人ではないというのをお忘れなく、自己責任のもとアプリをご利用ください。
•RNE Directo
RNEとは、Radio Nacional de España
覚えた単語を忘れないの項目でご紹介したスペイン放送協会(RTVE)のラジオ事業を行うブランド名であり、スペイン国営ラジオとも呼ばれています。ダイレクトと名のつく通り、リアルタイムでラジオを聞くことができます。ラジオなので生の話し言葉が聞けるのがとても良く、出勤時に聞き流して使うことが多いです。
スペインで流れているラジオを直接聞くことができますが、一方でデータ通信を常時使うことになるため、契約している携帯電話によってはデータ使用量の上限を超えることがあります。契約のデータ使用量が多い方や無制限に設定されている方であれば通常の使用に問題はないと思いますが、自信がない場合はWi-fi環境下で使う方が良いと思います。データ使用量を3GBで契約して居た際はすぐに使用上限を超えてしまい、困ったことがあります。
・〇〇をラジオします。
上記はスペイン国営ラジオでしたが、似たように各国のラジオを聞けるアプリです。〇〇の部分に自分が聞きたい国の名前をいれてApple Store等で検索してみてください。私はスペインでスペイン語を勉強したため、スペインのスペイン語が一番聞き取りやすく感じますが、南米のスペイン語を勉強された方であればご自身が勉強された国のスペイン語の方が聞き取りやすいと思いますので、ご自身が聞きたいと思う国のものを探してみてください。スペイン以外にメキシコ、ベネズエラ、コロンビア、チリ、アルゼンチン等がアプリ提供されています。もちろん、自分が勉強した場所以外のスペイン語を聞く機会としても有効だと思います。
ただし、RNE Directoと同様に非常にデータ通信の容量を使う場合があるのでWi-fiのあるところでの使用をおすすめします。また、最近はラジオを読み込むのに以前より時間がかかり聞くことのできないラジオ番組も多いので、実際に使ってみて使い勝手が悪い場合はスペイン国営ラジオのような各国の国営放送のサイトを確認してみると良いのではないでしょうか。
Hiroです。
すいません。私はスペイン語は話せないので、ライターさんに依頼した記事です。
別の文献を作ろうと考えていた時の執筆依頼でしたので、時間が過ぎてからの投稿になりました。
外国語の習得に役に立てればと思い、いまさらですが公開いたします。