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第5章:感動を与えるエンディングの工夫

エンディングの重要性と効果
講座の内容を聞いていただいた後は、エンディングに移っていくという流れになります。講座の内容が終わり、伝えるべきことを一通りお伝えした後、最後にエンディングに入ります。エンディングでは、できるだけ感動してもらえるようなラストメッセージを用意して、講座を締めくくるようにしています。
このエンディングの工夫は、「講座の満足度」や「講師への印象」をぐっと上げる効果があります。たとえ講座の内容自体が不十分だったとしても、最後に感動する話を盛り込むことで、「良い講座だった」という印象を持ってもらえるのです。特に初心者であればあるほど、このラストメッセージをしっかり用意しておくことが、大切かつ有効だと思います。

エンディングで使う感動のストーリー
私が用意している話はいくつかありますが、ここでは、金沢にある「笑って死ねる病院」と呼ばれている病院についてのストーリーを紹介します。NHKでも番組として紹介されたことがある病院です。
この病院では、余命が数日という患者さんに対して「人生最後のプレゼント」を贈ることを行っています。患者さんに「何がしたいですか?」と尋ね、その希望を叶えてあげる、いわば最後のサービスを提供している病院なんです。

実際のエピソードによる感動の効果


これは余命数日の写真です。この方は「笹島よしろうさん」というお名前で、もともとお寿司の板前さんでした。彼に「何か叶えてほしいことがありますか?」と尋ねると、「散髪がしたい」と答えたそうです。それも、病院内の散髪屋さんではなく、ずっと通っていた馴染みのお店で散髪してほしい、と。
なぜかと言うと、この方は寿司職人として長い間清潔感を大切にしてきたからです。週に一度は必ず散髪に通い、身だしなみを整えるという習慣がありました。ここに映っているのは、彼が通っていたその散髪屋さんです。もともとはこのお店をお父さんが経営していましたが、引退後は息子さんが代わりに散髪をしています。おじいちゃんにとって、この場所は職人としての気持ちを新たにする大切な場所だったのです。
このおじいちゃんの娘さんが結婚式を迎えた朝も、この散髪屋で髪を整えてもらい、思い出の詰まった場所だったため、最後もここで散髪をしてもらいたいと望んだわけです。ここで髪を切ってもらいながら、人生の最後に多くの思い出が蘇ったのではないかと思います。
この話からお伝えしたいのは、こうしたことを実現できる病院が他にはなかなかないということです。もちろん、多くの費用がかかります。生命維持装置を持って現場に向かうので、お金も人件費も発生します。しかし、この病院ではスタッフがボランティアでお休みの日を利用し、「患者さんにこうした最後のプレゼントを贈りたい」という合意がみんなで取れているために、実現できているのです。
個人で仕事をしていると、組織ではなかなか許されないこともできるようになります。例えば、人生最後のプレゼントのような大げさなことはできないかもしれませんが、その人のためにできる小さなプレゼントを考えながら業務をこなすことができる。それが、個人事業主や自分で会社をやることの醍醐味だと思います。
ただの業務をこなすだけではなく、「この人のためにどんなプレゼントができるだろうか?」という思いを持って仕事をすることが許されるのが、個人でやることの良さだと思います。だからこそ、その気持ちを大事にして仕事をしていきたいし、もしこれから起業するなら、そういった意識を持ってやってもらえると、ビジネスも繁栄し、経済的な面を超えた幸せも得られると思います。この点を意識してもらえたら嬉しいです、とお話ししています。

エンディングで感動ストーリーを紹介する効果
こうして話の裏側を明かすと、感動も薄れてしまうかもしれませんが、このようにエンディングで感動を与える話をすることで、「良いセミナーに参加できたな」という気持ちになってもらいやすくなります。また、私の気持ちや思い、どんな姿勢で仕事をしているのかを、このエンディングを通してもう一度お伝えできる機会にもなるんですね。ですから、このエンディングでストーリーを用意しておくことは、大変効果的だと思います。
エンディングが終わった後、少し現実的な話になりますが、本命商品の購入やリピート購入につなげるために、フロント講座を行っている側面もあるため、こうした流れにつなげていく必要があります。エンディングで感動の話をした後に、ご提案をする流れを組むことで、非常に効果的な役割を果たすんです。
というのも、人は講座だけで満足を得たとしても、「この人にコンサルをお願いしてみようかな」「この人の養成講座を受けてみようかな」とはなかなか思わないものだからです。最後に感動があることで、「自分も行動を起こしてみよう」と心が動かされるんですね。感動がないと「一歩進んでみよう」とは思いにくいですが、感動があることで「私も動いてみよう」と思いやすくなる。そういった効果も、このエンディングのストーリーにはあるわけです。

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