僕の見た風景 4 (連続短編小説)
その日の飲み会がもうひとつで、
飲み会が終わった後、
高校の同級生で、同じ大学に
入った横山涼二と、もう一度
アキラの店に行った。
看板をよく見てみると
「台湾料理 好香」
と書いてある。
「コウコウ?」
そう尋ねた涼二に
アキラは適当に答える。
「そんなとこ」
もう10時を回っているのに
好香は大盛況で、
酔っ払い客が溢れていた。
その当時、台湾料理というのが
まだ珍しかったのもある。
アキラはいろんなテーブルに回り、
酔っ払いたちから、更なる注文を
次から次へと取っていく。
「看板息子やな~」
涼二の言葉に吹き出した。
アキラの見てくれは、とてもじゃないが
そんないいもんじゃない。
態度も体もでかい小学生のアキラ。
子供の名前に数字を入れるのは
日本人だけだ、と涼二を笑った
アキラ。
「兄ちゃんはワン、で、
自分は、ツーって、ヤじゃない?」
痛いところを突かれて、
酔っ払いの涼二は、怒っていた。
子供の頃から、兄貴と比べられてきた
可哀そうなヤツなのだ。
アキラは、まるでそれを
見透かしたように言いのけた。
僕と涼二の前にいるのは
本当に小学生なんだろうか。
小学生の恰好をした、
年配のオッサンなんだろうか。
その日の不思議な出会いが
それから長く続くことになった。
続