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父の腕時計(エッセイ)
父の形見の手巻き腕時計が
止まった。
なんだか、
お疲れ様、と思った。
この腕時計は
「形見としてもらった」わけではなく、
父が亡くなった後、私が勝手に修理して
使っていたもの。
父が30代~40代くらいまで
していたもので、
時計屋さんに持っていくと
当時量産されていたから、
部品の交換がまだできた
という庶民的な時計。
時計屋さんにも、修理するより、
今時の時計のほうが
性能も良くて安いですよ、
と言われて苦笑。
貧乏ではなかった父だが、
間違いなくケチだった笑。
修理した時計は
時々止まりながらも
ずっと私のそばにいてくれた。
いろいろあったけど、
もう父には安らかに眠ってほしい。
また修理に出して、
父を追慕するのは、酷だな、なんて。
止まったままでも
大切にしまっておくから、
静かに見守ってね。
毎日連れ歩いて、
お疲れだっただろう、ごめんね。
何と、これを書き終わってから
今日が父の命日と気が付いた。
やっぱり、いるね~笑。