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移りゆく景色 7 (連続短編小説)

ジンは、朋明と奈緒の現状を
伊都に話した。

付き合い始めた頃から
朋明の事情は知っていた伊都だが、
芙美にまでバレていたことに
感心する。

「さすが、うちのばぁちゃん」

奈緒のことに関しては、
伊都はあまり知らない。

ジンも、高校生くらいまでは
よく遊びに行っていたが、
ここ2~3年、樫井家から
遠のいていたことが、
ただの偶然ではなかったのだと
感じる。
奈緒の様子がおかしくなり、
朋明が、ジンを遠ざけていたのだ。

「で、私や、ばぁちゃんは、
トモの相談にのればいいの?
奈緒さんの相談にのればいいの?」

そう言われて、ジンは、
遠い目をしていた朋明の
様子を思い出す。

「いやー、ノリで言っては
みたものの、根が深そうだし、
どうしたもんかな」

「クローン云々の話は、
私よりばぁちゃんのほうが
理解できそうな気がする」

「え?なんで?」

「子供がいるかいないかで、
そういう気持ちって変わると思うから」

なんとなく結婚を
迫られているような気がして、
ジンは、話を逸らそうとする。

「こら、逃げるな、ジン!」

伊都は思いっきり、
ジンを引き戻した。

「変な勘繰りはしない。
今、困ってるのは、
トモや奈緒さんでしょ。
ちゃんと考えてあげようよ」

姉さんモードが入ってきた伊都に
ジンはたじたじである。

「でも、トモは、オレが奈緒さんに
会うのもツライって言うし・・・」

「奈緒さんって、
うちの母くらいの年齢よね。
なかなかお気軽にってわけには
いかないよね。
そしたら、トモか」

「そだな、トモをまた、
ばぁちゃんの離れに連れていくわ。
伊都もいる日に」

「そやね」

二人は、そこらへんが妥当だと判断した。

          続

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