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HOLY NIGHTS 第22話「マスコミと、事の真意」(連続短編小説)

『蜘蛛の糸』が
オンエアされると、
さすがのマスコミも、
一連のお遊びに気付き始めた。

古くからいる芸能レポーターは
藤田とかれんの関係も
記憶している。

藤田の歌番組で、演歌調の曲。

その違和感は、
純が田中聖司にPOPSを
歌わせたときの
感じに似ていることも
ヒントになった。
 
藤田と純の関係を
知っているレポーターは、
すぐさま藤田良樹、
国沢純、そしてつい最近の
大ヒットドラマの主題歌関連から、
益子かれんを割り出した。

「へーぇ、こんなに早く
バレちまうもんかね」

藤田はオフィスで
ネット検索しながらつぶやいた。

まだ2チャンネル的扱いだが、
芸能レポーターの予想は2通り。

イチ押しは
国沢純と益子かれんの熱愛報道。
これはノーマルで扱いやすい
ビッグ・スクープだ。

その2は、
アブノーマルな、
純と田中聖司の復縁。

藤田はそれを見て
吹き出した。

「純と聖司か~。
あの頃の純は、ちと、
おかしかったからなぁ。
もう一度見てみたい気もするが、
やっぱり、純の“男気たっぷり”キャラには
ムリがあってイタかったな。
聖司を食うより、
かれんに食われるほうが
世間体もいいし、そっちにしとこーぜ」

藤田は、読者の無責任アンケート
みたいなものの、
かれん説に投票しようとする。

「・・・しかし、かれんに奪われるのも
面白くねぇな」

藤田はなんとなく、
洋介のことが気になった。

自分でさえ、これほど
思うところがあるのに、
洋介は大丈夫だろうか、
と心配になる。

藤田は一対一で、
洋介と会ったことは殆どない。

時々、純といるときに
挨拶するくらいだ。

「ガールズ・トークならぬ、
ガイズ・トークもいいかもしれんな」

藤田はかれん投票をやめて、
純に電話する。

今回の作曲も、結局、
洋介が手掛けているのだ。

その件で、洋介と話しがしたい、
と純の伝えると、
純は首をかしげる。

「・・・オレは?」

「いらん。
洋介と二人で話しがしたい」

きっぱり言い切る藤田に、
純はムッとする。

「男同士で、何の相談?」

「お前の今後の売り出し方と、
互いの真意を、ちと確かめたい」

直球過ぎる藤田の回答に、
純は有無を言えない。

「・・・洋介が断るかもよ」

「それなら、それでいい。
洋介はそこにいるのか?」

「いない。
後で伝えておくよ。
・・・っつーか、良樹も洋介の
連絡先知ってるんだろ?」

「お前を通じて伝えないと
イミがない。
返事、待ってるぜ」

藤田は純の返事を待たずに
電話を切った。

                                                             続

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