HOLY NIGHTS 第29話「藤田家の食事会の誘い」(連続短編小説)
かれんをどう扱って
いいのかわからず、
ごろごろと洋介の腕の中で
甘えていた純は
藤田の食事会の誘いに、
当然、洋介を
連れていくつもりである。
その裏には、
藤田とかれんの過去を
知っているという事実もあったが、
藤田も洋介を誘い、純も洋介以外
考えられなかった。
しかし洋介は二の足を踏む。
「藤田さんだけじゃなくて、
奥さんや子供、
元妻やそのダンナもいるんだろ?」
「ああ、大和も彼女連れて
きそうだから、4カップル、8人だ」
洋介はぐったりする。
「4カップルって・・・
オレたち男同士だぜ?」
「そんなこと気にする
集団じゃない。
それに、洋介が行かないなら、
オレも行かない」
子供じみた純のスネように、
洋介はYESと
言わざるを得ない。
「大丈夫、元々、
男色には慣れ親しんできた
藤田ファミリーだ。
オレたちが
’恋人です’って言ったこところで、
誰も驚きはしない」
「恋人?」
純の言葉にひっかかる洋介。
「オレたち、恋人なのか?」
「いやー、週に5日は
会ってメシ食って、一緒に寝て・・・
オレは洋介がいないと眠れない。
恋人じゃ、ヘンか?」
ヘンか?と聞かれて、
洋介は首をかしげる。
「お得意の自己中な物言いだな」
その言葉に、
純はブスッとふくれる。
洋介は、それを見て、
深い溜息をつく。
「お前にとっちゃ、
オレだけ、ってわけでも
ないんだろ」
純は洋介以外にもいて、
洋介は、純だけ。
そこには、いびつな関係が
存在した。
「・・・洋介は、オレに、
洋介オンリーな男に
なってほしいわけ?」
「いや、そんな開き直り以前に、
恋人と称することに
疑問を持ってほしいもんだ」
続
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?