HOLY NIGHTS 第18話「マリー・ゴールド」(連続短編小説)
かれんの歌は、
『チェンジ・ザ・サウンド』で
放送されるやいなや、
問い合わせが殺到した。
歌手名は、かれんの好きな花、
「マリー・ゴールド」で
通っていたが、
どうも正体が、ただ者ではないことが
視聴者にはわかったようだ。
かれんの歌いっぷりに加え、
純と洋介の奇妙かつ
斬新な三文歌とリズム。
一度耳にしたら
忘れられないものだった。
「え・・・・? 藤田さんを殴った?」
後々、この歌が
放映される手順として、
そういうこともあったと、
純は洋介にもらした。
「何で?」
洋介の問いに、
純はニヤリと笑う。
「まず、オレとかれんさんの
関係を疑りやがった。
そして、洋介とオレの楽曲に
ケチつけた」
洋介は呆れる。
「・・・かれんさんのことは、
ともかく、TVプロデューサーに
曲にケチつけられたからって、殴るか?
お前たちの関係が一番怪しいよ」
確かに、各々プロの看板を
掲げる者として、
プライベートに走り過ぎだし、
それを洋介に報告している
自分が恥ずかしくなって、
純は話しをそらした。
「でもさ、その良樹が、
かれんさんの歌を聞いて、
驚愕したらしい。
バラバラで見ると、イマイチだけど、
かれんさん、オレ、洋介が
一曲に合体すると、
こーゆーことになるのかって」
洋介は複雑な顔をする。
「・・・で? 藤田さんの話に、
どんなオチがあるわけ?」
「ふふふ。
オレの話にオチがないことなんて、
今だかつてあったかな?」
純は、得意顔で洋介を見つめる。
続
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