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HOLY NIGHTS 第14話「純の自殺未遂」(連続短編小説)

洋介が純のマンションに入ると、
風呂場からリビングへ、
そして寝室へと
かなりの血の跡が続いていた。

洋介は血相を変えて、
寝室に飛び込む。

純は左手首から
驚くほどの血を流して、
気を失っていた。

洋介は救急車を呼ぼうかと思ったが、
売り出し中の純にとって、
それは悪目立ちし過ぎる。

純の口に手を当てると、
かすかに呼吸はしている。

頬をはたくと、
うっすらと目を開き、
洋介の名をつぶやいた。

洋介は、純の左手をひもで
縛り上げると、
自分の叔父の携帯に電話した。

洋介の叔父は、
街中で外科医院をやっている。

しばらくして、
叔父の篠原圭太が出た。

「どうした、洋介、
家族になにかあったのか?」

こんな時間に
甥っ子から電話があれば、 
それ以外に考えられない。

「ごめん、親友が、手首切って・・・」

「意識はあるか?」

「うん、一応・・・」

圭太はすぐに車で
迎えに来てくれた。

病院用の車なので、
車の中で応急処置はできた。

「この子の血液型は知ってるか?」

「確か、オレと同じだったと思うけど・・・」

圭太は検査したあと、
車の中で、洋介の血を純に輸血する。

「ここまで出血しているとは
思わんかった。
すまんが、病院につくまで、
しばらくそうしててくれ」

縛った左腕を上から
吊るされ横たわった純の右腕に、
洋介の左腕から血液が流れ込んでいく。

病院に着くと、
たたき起こされた看護師が、
担架と輸血用具一式を持って、
駐車場でまっていた。

洋介の腕から
チューブが抜かれ、
今度は輸血用のチューブに
つながれる純。

4人は、深夜の治療室に
駆け込んだ。

純は、左手首を5針縫って、
更に輸血と点滴を受けた。

危うく失血症を
起こしかけていた純は、
洋介のおかげで助かったと
言っても過言ではなかった。

「まったく、
うちは緊急病院じゃないんだぞ」

翌朝、圭太にこっぴどく
叱られている洋介を、
純はぼんやりと見つめていた。

        
             続

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