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HOLY NIGHTS 第7話「洋介と純」(連続短編小説)

翌日、純はデライラを連れて、
洋介のマンションを訪れた。

「・・・なんで猫付きなんだ? 
また預けるつもりなのか?」

洋介の言葉に、純は笑う。

「三者面談」

「はぁ?」

「先日、良樹と話したことも
報告したいし、
第一、デライラが、益子かれんに
嫉妬して・・・」

その名を聞き、猫はケージの中で
「シャー!」と声を上げる。

洋介はぷっと吹き出す。

「すげえな。
こんなに怒ってるデライラを
見るのは初めてだ」

「ああ、これでオレがかれんと
スキャンダルにでもなったら、
デライラと離婚だぜ」

「スキャンダルになるようなこと、
もう、おっ始めてるのか?」

「まさか、相手は女性だぜ」

「フツーに意味不明。
お前、バイなんだろ?」

そんな会話の中、
デライラの発狂ぶりはすごかった。

洋介にだっこされて、
ちょっと落ち着いたデライラ。

「・・・洋介と再婚しちまうかい、
デライラ」

「お前は女性とのスキャンダルが
ありえなかったり、
猫相手に離婚だの再婚だの・・・
頭、おかしーんじゃねぇか?」

「ハイ、おっしゃる通りで」

純は、かれんのこと、藤田のことを、
洋介に話した。
もちろん、藤田との火遊びは除いて。


「で、藤田さんは何を企画してるんだ?」

「さぁ、TVプロデューサーだからね、
いろんなジャンル手がけてるし・・・
まぁ、一番のお得意はお笑いなんだけど」

「それは、お前もかれんさんもムリだろう」

「あと、バラエティ」

「・・・なんか、ちがうな。
やっぱり純の歌とかれんさんの演技は
ハズせない。と、なると、
純が演じるか、かれんさんが歌うか」

「かれんさんが、オレの歌を歌う?」

「歌唱力のほどは知らないけど、
お前がどーしても俳優したくなければ、
そうなるだろうよ」

「歌番組のMCは?」

「純とかれんさんで? 
なんか今のドラマの番宣みたいだし、
それに二人とも個性というか、
本職の度合いが強すぎ」

「・・・良樹の番組で、
オレの曲をかれんさんが歌う・・・」

「ちょうど、藤田さん、
チェンジ・ザ・サウンドやってるじゃん」

それは深夜枠の超マイナーな、
藤田にとっては
片手間のお遊び番組で、
運がよければ新人がスターになる
といった類いの番組だ。

「チェンジ・ザ・サウンド・・・」

「お前もかれんさんも
名と姿を伏したPVを作って、
大ヒットしてから、出てくるってのはどう? 
大人のお遊びとしては、
藤田さんも喜ぶと思うけどな」

純が本気で曲を作り、
かれんの歌唱力がそこそこなら、
ヒットは間違いない。

「マジでかれんさんに惚れちまったら、
どうしよう」

「まぁ、デライラは、お前んちに
かれんさんが来るのを
許さんだろーな」

「オレんち? まさか。
行くなら、かれん御殿に行くよ」

純の陽気な返事に、洋介はムッとする。

「・・・お前は誰とでも寝るんだな」

まじめな洋介の怒りは、
純の心にぐっとくる。

「そんなことないよ、ヨウ・・・。オレは・・・」

洋介はなぜか純も持っていない
猫用クッションにデライラを寝かす。

そして、それ以上聞きたくないというように、
立ち上がった。


             続


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