HOLY NIGHTS 第26話「かれんとあずさ姉妹」(連続短編小説)
興奮した子供たちが
寝静まった頃。
かれん、あずさ、純は、
狭いダイニングで、
コーヒーを飲んでいた。
「本当に、こんなところまで、
姉に付き合って
頂いてごめんなさい」
あずさの言葉に、
かれんが口を挟む。
「こんなところって、
私にとっては、
大切な場所なんだよ。
それに、まず断っておくと、
私と純さんは、ただの友達だから」
「・・・え?」
かれんの性質を知り抜いた
妹が驚くというのは、
よっぽど意外なコトなのだろう。
「そんな・・・じゃあ、
あまりにも純さんに、
失礼なんじゃ・・・?」
純は、全くそう思わないと言った。
しかしなぜ、恋人でもない純を、
かれんが一番大切に思う身内の
元に連れて来たのか。
かれんはつぶやくように言った。
「・・・純さんなら、
わかってくれるような気がして。
人の心の痛みや、深い愛情・・・
華やかな女優業の裏にある現実」
「・・・って、お姉ちゃん、失礼よ!
私は私でちゃんとやってるんだから、
そんなみじめな扱いしないで」
あずさの意見はもっともで、
純は何だか益子姉妹に、
心が溶かされていく。
「よかったら、いろいろ
聞かせてくれないかな。
お二人の生い立ちや、人生観」
そう言う純に、
姉妹は顔を見合わせ、
にっこり微笑んだ。
「こんな現実も、純さんの
引き出しのひとつに
なってくれれば、うれしいな」
あずさは、かれんに促した。
「語ってよ、お姉ちゃん、
聞いて下さる耳を持つ、この方に」
かれんは、ゆっくり語り始めた。
続