アレクサンダーテクニーク東京グループレッスンのご報告-2015年12月12日(土)午前クラス
先週の12月12日(土)の午前中に、東京でアレクサンダー・テクニークのグループレッスンを行ないました。年末で忙しい方が多いのと、体調不良で休まれた方たちがいて、この日の受講者の方は少なかったです。
今回がはじめての臨床心理士さんがいらっしゃいました。ご専門は発達障害なのだそうです。
この日も一通り、アレクサンダー・テクニークについて行いました。
頭を動かす(左右)
腕を動かす
頭を動かす(上下)
立ったり座ったり
歩いたり
足関節の背屈
などの動きを行うなかで、私たちが動き始めるときに、
「からだ」を潰しがちであること(これは私たちの大きな癖–くせです)
「からだ」を潰すと、筋肉レベルでは、活動とは反対の仕事をする拮抗筋が収縮(緊張)するために、主働筋と共働筋が拮抗筋が収縮しないときに比べると、たくさん収縮(緊張)しないと目的の活動が行えなくなること。つまり関節周辺が固まって動きにくくなること(これを生理学的には共収縮または同時収縮とよぶこと)。
特に動きの切り替わりが多い動きになると顕著になり、拮抗筋同士が緊張するために血管が圧迫され、血行も悪くなり、脳を含む全身が酸素不足と栄養不足になりがちなこと。
そういう事態を予防するために、私たち自身に余裕を与えて(アレクサンダー・テクニークのインヒビション)、活動中の「からだ」を解放する方向(ディクション)を私たち自身に与えることによって、伸びやかに活動できるようになること
思うことによって、拮抗筋同士の共収縮を避けることができるディレクションがあること
を具体的に体験していただきました。
また、ボディマッピングについても説明しました。
大脳の運動野と体性感覚野と大脳基底核と小脳に「からだ」の地図(身体地図、ボディマップ)があります。
そして、この地図と実際に動くところにズレが起こることがあります(これも反復継続されることによって強化される私たちの癖といえます)。
このようなボディマップの誤りがあると、動くときに関節を痛めることになるので、
そのような事態を避けるために、拮抗筋が収縮(緊張)して、その動きを阻止しようとする防衛班者の一種が起こる。
そして拮抗筋が収縮することによって、活動を完遂するために主働筋と共働筋が、拮抗筋が収縮しないときに比べると、より強く緊張することになる。
こういうことを、足関節の背屈を例にとって説明しました。
背屈したときに、スネや足関節周辺やふくらはぎが緊張するのは、このボディマップの誤りによることがあるのです。
そして、この地図を実際に曲がるところを指差すようにすると、動かすときの拮抗筋の収縮が少なくなるので、喩え同じように動くときでも主働筋と共働筋の収縮も少なくなります。
ご専門は発達障害の臨床心理士さんが、発達障害のお子たちに簡単に役立つものを教えてくださいとリクエストをくださいました。
発達障害のお子たちの多くは、協調運動が苦手で、しっかり芯のある動きができる人たちはほとんどいないのだそうです。
そこで、以前特別支援学級の先生たちに教えて評判のよかった、
ダート・プロシージャーの足の指先がリードしてゴロンする動きと
ダート・プロシージャーの腕の指先がリードしてゴロンする動きをしました。
「とっても楽になります」
とおっしゃいました。あれは簡単にできる割に効果が高いですね。
実は指先方向のラセン状のディクションの他に、肩甲骨のディレクションや太もものディクションが鍵になります(私とレッスンしたピアニストの方たちは演奏のアクティビティでみなさん経験済みです)。
個人的には真ん中に軸や芯を立てるよりも、左右半身に筒があるように指導したほうが効果が高いと思います。
ダート・プロシージャーは、南アフリカの人類学者で、アウストラロピテクスの発見者で、医師のレイモンド・ダート博士の許可を得て、その名を冠した手順です。