レッスンのご報告:2016/3/28(月)東京アレクサンダーテクニーク&ボディマッピングのグループレッスンのご報告
昨日3月28日(月)未明に、4日間のアレクサンダーテクニーク札幌出張レッスンを終えて帰宅しました。
今回は多くの方たちとワークを分かち合うことができまして、とても幸福でした。
14時からの東京は荻窪でのグループレッスンに向かう電車の中でも、その余韻に浸っていました。まった疲れは感じていませんでした。
ところが電車が新宿で急停車したときに、様相がまったく変わりました。
電車の中には転倒した人もいましたが、幸い私は立っているところがよかったためか、転びもせず、また誰からも押されませんでした。
しかし、ものすごく疲労感に襲われました。
たまたま神経システムが、それほど大きな刺激ではなくても刺激を受けたときに、その刺激に耐えられないときに、ダメージを被ることは知識として知っておりましたし、体験としても知っていたはずでしたが、これほど実感したことはありませんでした。
ワークをしながら、自律神経系を落ち着かせて会場に向かいました。
ずいぶん落ち着きましたが、グテングテン。
この日の東京の受講者は4名の方。
レギュラーのピアノ奏者の方
レギュラーのリュートモデルノ(マンドリンの仲間)奏者の方
レギュラーの鍼灸師で、ご趣味が武術の方
久しぶりにお会いした特別支援学級の先生(この日はフルートを演奏してくださいました)
この日の受講者のみなさんは、すでにレッスンを複数回私と経験したことのある方たちばかりだったので、生徒さんが選んだ課題のアクティビティのレッスンでスタートしました。
私のレッスンでは、こういうことは珍しいのですが、ちょっと気分を変えようという意図もありました。
演奏などのアクティビティを行って、もっとどうなりたいかとか、どういう課題があるのかとか、どういう違和感があるかを尋ねました。昨日は私が最初から答えを言わずに、それらの課題を解決するために、どのように思うのか(どういったディレクションを与えれるか)ということを、私の方からお聞きしました。
答えられないこともあるし、答えることができることもある。生徒さんのお返事を待ってから、こちらから提案してゆきます。
そうやって見つけて行った課題と、課題を解決するための方法については、他のみなさんにも体験していただきながらレッスンを進めました。
昨日は”マイナスの手“、”マイナスの「からだ」“と、自律神経系の不適用がパフォーマンスに与える影響や違和感を生むプロセスについて、具体的なワークを体験していただきながら、説明しました。
“マイナスの手”を使うと、例えば武術では、こちらから掴んだ状態で技(くずし)をかけやすくなります。掴まれた状態から技を掛けるよりも、こちらが掴んで技を掛けるほうが難しいのです。刀や杖や槍を持ったときにその差はさらに顕著になります。
そして”マイナスの手”と”マイナスの「からだ」”を使うと、演奏中の指回り(運指)が改善し、速いフレーズを演奏するときに、「からだ」が振り回されなくなり、安定し、運指が改善します。昨日はマンドリン奏者の方とその手順を行ないました。
昨日のピアノ奏者の方は、マイナスの手の共同開発者なので、昨年5月くらいからこの手順を行っていらっしゃいます。
“マイナスの手”はしばらくレッスンをご受講していらっしゃる方としか行ないません。一見さんの生徒さんに言っても、理解できないし、基本がないところにこういうものをやっても意味がありません。
この手順は私が生徒さんたちと発展させた手順ですが、”hands on back of the chair“というアレクサンダーテクニークの古い手順(プロシジャ)からの展開です。プロシジャを馬鹿にして行わないアレクサンダー教師も最近は多いようですが、宝物が眠っているのは奇をてらったレッスンではなく、プロシジャです。
アレクサンダーテクニークのプロシジャの中には、画期的なディレクションや、脳幹や大脳辺縁系に働きかけるワークが眠っています。
“マイナスの手”、”マイナスの「からだ」”によって、佇まいや存在の質が変わります。
また昨日は、自律神経系の不適用がパフォーマンスに与える影響(過度な緊張や”あがり”など)や違和感(しびれ、いたみ、もやもや等)を生み出すプロセスについても、具体的なワークを経験していただきながら、説明しました。
自律神経系の働きが変わると、周囲の方たちに影響を与えます。結果的に説得力や存在の質が変わります。
この日のこちらから提示したテーマは、
存在の質を変える その2(自律神経系とペリ=パーソナル・スペースの解放)
自律神経系を落ち着かせ、ペリ=パーソナル・スペース(身体近接空間)の密度と質をかえることで、存在の持つ説得力を変えます。
でしたが、きちんとテーマに沿って行ないました。
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初心者のフルート奏者の演奏に関する注意点について
左手が矢状面に近づき移動を解するときに、胴体の奥行き(back back direction)を大事にして、背中側を潰さないこと(背中は長く広く)。
左手が矢状面につかづき始めるときに、肩甲骨は”外に上に”向かうようにディレクションを与える。
この2つで呼吸が楽になり(吸気筋は横隔膜を除くと、腕につながっているから)、左腕の違和感や辛さが減ります(楽器を持ち上げることについて拮抗筋である広背筋が収縮・緊張しないから)。
曲を演奏中に、指を動かしてゆくうちに、楽器を落とすそうになる場合には、親指の伸筋を解放するディレクションと二の腕のディレクションを同時に与えると、他の4つの指の手のひらから指に向かう屈筋群の緊張が減り、運指が安定する。
右腕の前腕は回内するので、二の腕から胸に向かう筋肉を過度に緊張させないために、必要なディレクションを二の腕に与える。
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自分ではグデングデンなレッスンになってしまったので、最後に受講者のみなさんに謝りましたが、受講者の皆様は、いつもよりもいっそう面白かったとおっしゃいました。
昨日は新発見をされた受講者の方も多かったです。そのなかのいくつかは私にとっても新発見でした。例えば”グールドの唸り声”とか。
近年ピアニストのグレン・グールドはフォーカル・ジストニアになっていた可能性が研究者によって指摘されていますが、彼も不調から脱するためにいろいろと工夫していたのだなと。
次回の東京でのアレクサンダーテクニーク&ボディマッピングの月曜日のグループレッスンは、4月25日(月)14時から。
テーマは、首・肩・腰を自由にする。
活動中の「からだ」を自由にする、「からだ」を快適にする全身のコーディネーションの基本詳細はこちらに。