【Vividirでやってみた Vol.1】Sansanの事業成長をシミュレート
はじめまして、株式会社プロフィナンスで何でも屋をやっております、井上と申します。
経営シミュレーター「Vividir」を事業展開しています。
Vividirは事業KPIの入力を行なっていくだけで事業計画が作成でき、最終的には財務三表も作成できるという優れたツールです。
今回はSansan株式会社が展開する事業のうちの1つである「Sansan」のKPIや組織構造を予測し、今後の事業成長を予測してみたいと思います。
途中Vividirの宣伝も含む形にはなりますが、事業構造の分解は普段の仕事に役立つはずなので、よかったらみていってください。
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※本記事で紹介する事業予測は、記事公開時点のIR情報を含む公開情報をもとに当社プロダクト「Vividir」を用いて作成しています。株価の予測等を目的にしておりません。また、事業成長予測に責任を負うものでもございません。悪しからずご了承ください。
Vividirとは
変化の速い世の中において、外部環境に合わせた柔軟な仮説構築が求められます。
Vividirは事業計画のシミュレーションを「入力しやすいインターフェース」「わかりやすいグラフ表示」「カスタマイズ性の高い事業モデル設計」「Excelいらず」でサポートする、経営シミュレーターSaaSです。
0から事業計画を作成するときに陥りがちな「項目や関数をすべて考え作るのが大変」「重要な項目が抜けていて大きなリスクに繋がった」などの、「事業計画作成の初見殺し」を防ぎます。
新規事業立ち上げの際の事業シミュレートも、既存事業の成り行き設計も、このプロダクトがあれば完結します。
Excelの関数作成に数時間〜数日をかける必要はありません。
わかりやすいプロダクトで関数を一切使わない事業計画体験を実現します。
Sansan株式会社について
会社概要
設立から16年を迎えても大きな成長を続けるメガベンチャーです。
1000名を超える規模になってきていることを今回の調査で初めて知りました。
直近の事業業績
祖業の「Eight」、稼ぎ頭の「Sansan」、新規事業である「Bill One」を含む複数サービスを展開しています。
この売上規模でも前年同期比約30%を達成している状態だけを見ると、足元の売上は堅調に見えますね。
今回は売上規模の最も大きい「Sansan」事業のシミュレートを行っていきます。
さっそく、Vividirで事業展望の予測をしてみる
Vividirでプロジェクトの作成から始めます
Create Projectから新規プロジェクトの作成ができるので、今回作成したいSansanの事業計画プロジェクトを作成してみます。
その後、予算を作成します。
予算を作成すると、さっそく事業計画をシミュレートすることのできる画面が使えます。
ファネル:マーケティングチャネルをここで設定できます。
レベニュー:設定したマーケチャネルからどのように売上を立てるかを設計できます。事業戦略に最も影響の受ける項目です。
生産:レベニューに紐づくコストを設定します。主に売上原価に相当する部分です。
ジョブ:人件費の入力を行なっていきます。ファネルやレベニューを変数として設定できるので事業成長に合わせて採用計画なども設定できます。
一般:地代家賃や売上原価と広告宣伝費以外のコスト面を設定します。
ファイナンス:調達した資金を設定します。デットとエクイティを分けて設定できます。
最初はファネルの設定をしてみよう
今回は【Vividirで事業シミュレートをやってみた】なので、「事業計画とは?」や「事業計画の作り方」の詳細は割愛します。
※事業計画や事業シミュレートのhow toはホワイトペーパーや代表のnoteで公開しているので、よかったらそっちも見てね。
ファネルはマーケティングチャネルを入力していくので、まずはSansanの顧客獲得経路を予測する必要があります。
とりあえずこういうときは直近の決算説明資料を見てみるとヒントを得られるので、見てみましょう。
マーケティングチャネルを見る上で欠かせないのが広告宣伝費ですね。
会社単位のグロスの金額しか開示されていませんが、1年で7000万円程度の様子。
広告宣伝費の投資先について詳細な言及は見られないので、このままでは予測が難しいです。なので、採用ポジションを見てみることにします。
イベントディレクター
イベントマーケティングプランナー
カンファレンスコンテンツプランナー
コンテンツディレクター
Webマーケティングプランナー
あたりが主なマーケティング関連のポジションでしょうか。
7000万という広告宣伝費からも、テレビCMなどマス広告に大規模コストを投下する戦略ではなく、イベントやWebマーケティングなどでリード獲得を
行い、インサイドセールスで案件創出に繋げているように見えます。
ちなみに、インサイドセールスも採用ポジションがオープンしていました。
7000万円の内訳を考察する上で、一部テレビCMに予算投下したとの言及がありました。制作費をキャスティング込みで1000万円、仮にキー局でCM出稿を行いGRP単価10万円で200GRPを獲得したとすると、2000万円と予想されます。
仮定に仮定を重ねていますが、本記事ではテレビCMに3000万円使ったとして前提を置いてみます。
さらにWebマーケティングプランナーの詳細ページを見てみると、広告媒体が列記されていました。
ToBビジネスであることを考慮すると、GoogleとYahoo!のリスティング広告を出稿し見込み顧客のリードを獲得しつつ、FacebookとInstagramのフィード広告やストーリーでイベント参加のリードを獲得しているのでしょうか。
加えて、Sansanの企業HPを見ると、事例紹介などコンテンツに力を入れていることもわかります。
ここまでSansanの顧客獲得経路を予想(もはや妄想に近い)してきましたが、まとめると以下を新規リード獲得ファネルとして記載してみるのが良さそうです。
広告媒体経由問い合わせ(Google、Yahoo!、ビジネス系媒体、比較系サイト)
Webコンテンツ集客(ホワイトペーパーやサービス説明資料のダウンロード)
広告媒体経由イベント集客(Facebook、Instagram、Twitter、LINE、YouTube)
オーガニック経由イベント集客
※広告媒体経由問い合わせは、マーケティングプロセスで考えると、より契約獲得に近いプロセスなのでWebコンテンツ集客と分けています。
新規獲得したリードはこのあとインサイドセールスがファーストコンタクトを取り、ニーズ把握を行い、スコア管理をしているはずです。
また、既存リードのナーチャリングも行っていると予想されるので、以下のチャネルも商談機会につながると考えて良いでしょう。
既存リード経由イベント集客
インサイドセールスの架電
チャネルの整理ができたので、Vividirに入力を行っていきましょう。
数字はあとで調整するとして、暫定的に以下で入力していきます。
オーガニック経由イベント:申込200企業 → 当日参加率70% → IS着電率80% → 商談設定率30%
広告媒体経由イベント:申込数1000企業 → 当日参加率70% → IS着電率80% → 商談設定率30%
既存リード経由イベント:申込数200企業 → 当日参加率70% → IS着電率80% → 商談設定率30%
広告媒体経由問い合わせ:問い合わせ1000企業 → IS着電率80% → 商談設定率50%
既存リードインサイドセールス架電:架電1000企業 → 商談設定率10%
※インサイドセールスはコール数ではなくアクセス企業UUで設定
※大型イベント「Sansan Evolution Week」が年一回の頻度で開催されている様子なのですが、初期設定からは除外して考えています。
マーケティングファネルの設定はひとまずここまでにして、以降はセールスプロセスと紐づけていきます。
売上の計算をやってみる
ここまででビジネスプロセス上の商談設定までの数字がシミュレートできたので、次に売上のシミュレーションに移ります。
売上をシミュレーションする上で大事なのは売上 = 単価 * 個数の分解です。
Sansanの売上モデルはToBのSaaSなので、以下で解釈できます。
月売上 = (月初契約企業数 + 当月新規契約企業数 - 月初契約企業数 * 解約率) * 単価
月初契約企業数は過去の積み上げですし、当月新規契約企業数はマーケファネルから接続してシミュレーションできるので、あと考えるべきは単価です。
一般的にTo B SaaSの単価は導入企業の事業規模によって分類わけされることが多いです。
実際にSansanの公開情報を見てみると、SMB、中堅、大企業とセグメントを分けているように見えます。
2023年5月期 通期 決算説明資料の中身から、以下の数字がわかります。
Sansanストック売上:4,907百万円(2023年5月)
Sansanその他売上:338百万円(2023年5月)
契約件数:8,969
契約あたり月次ストック売上高:184,000円(2023年5月)
解約率:0.44%(2023年5月)
契約件数 = 契約企業数と必ずしも言えないかもしれませんが、今回は企業ごとに1契約であると仮定を置いて、進めていきます。
セグメントごとの売上構成比率や費用に関しては見つけられなかったので、ここからは類推を行います。
一般的に初期費用と月額費用とで構成されていることが多いので、今回もその構成を踏襲します。
おそらく、初期費用相当が「Sansanその他売上」であり、月額費用が「Sansanストック売上」に該当するようです。
2023年5月末時点の売上構成比率と契約単価、および商談から成約までのリードタイムを以下と定義してみます。
大手:10%、54万円、6ヶ月
中堅:20%、30万円、3ヶ月
SMB:70%、10万円、1ヶ月
そして、上記の売り上げ構成比率を考慮した上で、商談から成約までのCVRを以下で仮説立ててみます。
イベント経由の商談:15%
広告媒体経由の問い合わせからの商談:40%
既存リードインサイドセールスの架電からの商談:20%
※本来であればセグメントごとに成約率が異なるはずですが、本シミュレーション上では同一だと定義します。
Vividirで入力する際は設定したファネルごとそれぞれに紐付けて入力していきます。
関数を一切使わないので、紐付けミスさえなければ設定ミスを行うことなく作業ができます。
同様に中堅、SMB企業のストック売上、初期費用の売上入力も行なっていくと、月毎の売上高のシミュレーションが完成しました。
毎月の売上高はおおよそ16億〜と緩やかな成長カーブを描いていることがわかります。
Q単位に直してみましょう。
今後1年をかけて大きく事業成長していくことがシミュレーションできましたね。
年間の売り上げに直すと21,045百万円で、2023年5月期は年商19,793百万円だったので、年間の事業成長率は106%となりますね。SansanはYoY 114%成長を達成している事業なので、こう見るとやや鈍化したシミュレーションになってしまったかもしれません。
マーケファネルの歩留まり数字が今回の仮説よりも高いのか、あるいは商談からの成約率も仮説よりも高いのかもしれません。
せっかくなので、マーケファネルの数字を調整してみましょう。
もともとの設定(マーケファネル)
オーガニック経由イベント:申込200企業 → 当日参加率70% → IS着電率80% → 商談設定率30%
広告媒体経由イベント:申込数1000企業 → 当日参加率70% → IS着電率80% → 商談設定率30%
既存リード経由イベント:申込数200企業 → 当日参加率70% → IS着電率80% → 商談設定率30%
広告媒体経由問い合わせ:問い合わせ1000企業 → IS着電率80% → 商談設定率50%
既存リードインサイドセールス架電:架電1000企業 → 商談設定率10%
もともとの設定(商談からの成約率)
イベント経由の商談:15%
広告媒体経由の問い合わせからの商談:40%
既存リードインサイドセールスの架電からの商談:20%
変えてみる数字
既存リードインサイドセールス架電:架電2000企業 → 商談設定率10%
既存リードインサイドセールスの商談:30%
数字の変更を行うので、今回は変更理由や保存箇所をわかりやすく書いておきましょう。
これで今後別の人が見たときに修正箇所が一目でわかります。
では、保存もできたので、改めてPLを見てみましょう。
2023年5月期は年商19,793(百万円)で2024年5月期は21,385(百万円)まで成長できる予測なので、これでYoY108%成長ですね。
うーん、全体的にもっと指標が高いのかもしれません。
インサイドセールスの数字を調整してみましたが、実際はもっと問い合わせが多いのかもしれません。
この辺はSansanのKPIを実際に見てみないとわかりませんね。
コスト面も見てみよう
ここまで売上高のシミュレーションをしてきましたが、Vividirの使い勝手が良い点にコストのシミュレーションも容易にできることがあります。
今回、マーケティングファネルでGoogle広告やFacebook広告を想定した入力を行っているので、すでにマーケティングコストだけは反映されています。
ITサービスだとサーバーやストレージなどのインフラ費用、エンジニアや営業人員の人件費あたりがメインでしょうか。
事業単位でなく全社単位の場合、地代家賃なども大きなコストですが、今回は事業単位なので、考慮しないものとします。
サーバーはどうやらAWSのようです。ただ外部からは一切コスト感が見えないので、過去の井上の経験的に、1000万円/月と固定コストと仮置きさせてください。
AWS 導入事例:Sansan株式会社
あとは人件費ですが、Sansan株式会社全体の従業員数はわかりますが、事業ごとの人数は不明です。
ここは、1人あたりの担当可能企業数などから計算してみましょう。
Vividirでは各項目に対し生産性を定め紐づけることで、必要な人員計算を自動で算出してくれる機能があります。
まずはSMBメインで対応するカスタマーサクセスをSMBの契約数に紐づけてみます。
120人すでに在籍していると前提を置いたので、「さすがに人数多いかな…」と思ってたのですが、
12月には追加で2人の採用がシミュレーションされていますね。毎月コンスタントに2~3名のCSを採用していく必要がありそうです。
同じように、エンプラ営業や中堅CS、マーケターやエンジニアも設定します。
Vividirには財務三票を表示する機能の他に、HRという名の人員計画を俯瞰で見ることのできる機能があります。
Sansanの人員数字も入力してみましたが、300人弱という数字で落ち着きました。
全社で1,000人超いるのでもう少し人数が多い気もしますが、エンジニアやマーケターをコンサバに読みすぎているかもしれません。
コスト入力も完了したので、PL全体を見てみましょう
地代家賃やITツール代を計算に入れていませんが、非常に利益が高い事業ですね。
ここで稼いだキャッシュをBill Oneや他事業に投資して成長サイクルを回せているのではないかと考えます。
さいごに
今回はSansan株式会社のSansan事業をシミュレートを勝手にやってみました。
外部公開されている資料をもとに仮説に仮説を重ねた数字になっているため、実態とは大きく異なる可能性があります。一つのコンテンツとしてご理解いただけると幸いです。
弊社プロフィナンスでは、今回シミュレーションに使ったVividirを事業展開しています。
もしご興味があれば、デモ提案も可能なのでお申し付けください。
デモ提案はこちらからご登録ください。
また、現在絶賛キャンペーン開催中です。
抽選で5社に半年間無料でVividirを導入いただけますので、奮ってご応募いただけますと幸いです。
キャンペーン応募ページ(2023年9月20日まで)
Vividirでやってみたシリーズを今後も展開予定です。
いいなと思っていただけた方、応援いただける方、マガジンのフォローや井上のフォローもお待ちしております。
また、今回は公開情報をもとにシミュレーションさせていただきました。
Sansan株式会社様に感謝申し上げつつ、以下採用ページを紹介いたします。
事業に興味をお持ちになられた方、採用ページもぜひ見てみてください。
それではまた!