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もうあれからいく歳の歳月が流れた事だろうか。
あの人と行った、街にタイムスリップした。
いや三次元の今ある街並みと、昔通った魚屋や
スーパーがダブってタイムスリップした姿で私の前に現れたのだ。
昔の店屋の姿を求めた。そして懐かしいあの人の姿を、求めていた。
今はもういない。懐かしい貴方を目が探している。
あの街が姿を変えて懐かしそうに私に擦り寄ってきた。 あの電気屋、バイク屋。歯医者。豆腐屋、しかし、綺麗な店に姿は変えている。
彼の自慢のシルバーの車、クラウンで、朝の朝食を食べに行ったファミレスは道路の拡張工事で無くなっていた。
彼の車を洗車し、ガソリンを目一杯給油した、あのガソリンスタンドも無くなっていた。
助手席に座りいつも梔子の花の香りを自分だけの物にした、あの頃を思い出す。
果たして私は何年此の街を忘れていたのだろう。
まるで思い出したくないように、避け続けてきた此の街。しかし此の街も大きく変わって姿を変えてまだそこに、あった。