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西太后の御数珠 2
続き。
西太后の御数珠を暴れないようにする為お寺さんはかなり苦労された。美しい富士山の泉の水につけたり、
かなりのわがままな珠数であった。
こちらのご住職と息子さんと、その他数人で、中国に旅をした。
その時北京の紫禁城へ行った。
どういう巡り合わせだか、この時「西太后特別フェアー」なる模様子をやっており三人顔を見合わせた。
早速皆さんとは別行動で、西太后の寝所に直行した。
有った、ベッドの側に立派なタンス。その上に鏡の付いた立派な引き出し。きっと中はビロードなのだろう。この時三人は確信した。
あの珠数の言った事は嘘ではなかった。
長い旅路を経て、日本にやって来たのだ。
そして今は、寺の逗子の中で寝ている。
毎朝の読経に身をたゆたえて。
物は人の手で生み出され、
人によって育てられる。
わがままな物にも、素直な物にも。
まるで子供の様に。
しかし、人は死に物のみが残る。
アンテーク(古物)としての価値。
その素材と、技術のみの価値。
古物も歴史すら知られずに人の手に
渡っていく。この珠数は幸せだと思う。
あの西太后を守ったと言う過去を認めて貰える
人々と出会えたのだから。