愛 愛しき人よ 4
作者アマノコトネ
第5話 不揃いな来訪者達
(久木と倫子が居間のソファーに座っ
ている。二人はもう5年も不倫関係に
ある。佐川もヒロコもある団体の会員で
ある。同じ会のメンバーである久木と倫子で
あった。
この団体は企業のトップや役員、経済界
から、政界に至るまで顔の広いヒロコ
の連んでいる人々の元のような団体であ
る。
久木、倫子ソフアに座っている。)
久木・・・・イヤア、ヒロさん、急なお願いを心
良く聞いて頂きましてあり
がとうございます。
彼女も私も今日しか時間が取れなか
ったものですから。
倫子・・・・本当にすみません。
ヒロコ・・・こんなあばら家にようこそ。でも、
愛の巣ですから。
倫子・・・・あら、先生ったら羨ましい。
是非おふたりに刺激をいただきたか
ったんです。
佐川・・・・男は大変ですな。女性の一途な想い
込みは、可愛くもあり可愛
くも無し。
ヒロコ・・・えっ、ご迷惑って事。
久木・・・・とんでもない。僕たちの理想です
よ。
倫子・・・・私たちも中軽井沢駅の方に家を借り
てみようかと話していて、
明日、その物件を見に行くんで す。
ヒロコ・・・凄いわね。どんな物件なのかしら、
倫子さんが考えるものだか
らステキな物件じゃあ無いのかし
ら?仕事にも役立つのでしょ。
倫子・・・・エステとおんどるで発汗効果を出そ
うかと思ってます。セレブな奥
様方に来て頂きたくって。
ヒロコ・・・わあ、私も行って見たいな。
倫子・・・・是非是非。
久木・・・・もちろん僕も泊まれるんだろうな。
倫子・・・・もちろんよ。今日はこちらで泊めて
頂きますけれど。本当に急
なお願いしてすみません。
ヒロコ・・・いいんですよ。夏が過ぎたらお友達
の電話もメッキリ少なくなりまして
ね。
佐川・・・・実は軽井沢はこれからが、よい季節
なんです。
暖炉ペーチカの季節です。
我が家も家の設計図には家の真中に
あるんですが、なんせ、設
計 段階ですのでね。
久木・・・・良いものですよね。何かする前って
ロマンがありますよね。
佐川・・・・軽井沢に慣れて来ると、ここの良さ
がまたまた解る。楽しいですよ。
ヒロコ・・・私たちスーパー松屋に買い出しに行
って来ます。倫子さんリサ
ーチに良いでしょ。
倫子・・・・ええ、あなたは、佐川さんとお話し
てらして。佐川さんよろしくお願い
します。
(久木、佐川、照れ臭そうに笑う。)
久木・・・・やあご存知の通り、僕たち不倫して
かなりになります。お互い
に無くてはならない、と言います
か、離れられない。魅力的な
人ですから、彼女が、僕から離れな
い限り、僕は離れない。
佐川・・・・失礼ですが不倫と言われると?
久木・・・・僕まだ、離婚出来なくて。娘が20
歳になります。妻とは
そこまでと、約束してます。
愛の無い夫婦生活も終わりです。
佐川・・・・そうですか。しかし、離婚は修羅場
ですよ。わたしはヒロさん
にかなり、迷惑かけました。彼女は
何も言わず、一番上の娘
の面倒を高校の時から見てくれてま
す。何から何まで全てです。
彼女の愛に応えられるか、近ごろ不
安になります。
久木・・・・先輩として伺いたい事が沢山あるん
です。
佐川
・・・・私で良ければ何なりと。
久木・・・・協議離婚ですか?
佐川・・・・ハイ。その時たまたまそばにいた、
付き合って居たと言うより
そばにいた。私の離婚の巻き添いに
なった。有らぬ疑いを元妻
からかけられたにもかかわず、こん
な私を・・・
久木・・・・すごいですね。ヒロさんのどこにそ
んな力があるんですかね。
佐川・・・・頭上がらないです。少しでも返さないと。
久木・・・・そこまで責任感じ無くても。愛 は共
同作業だと言うでしょう。
佐川・・・・愛、それだけでは足りないんです。
子供の頃のような、恋愛物
語りでは済まないんです。
渡辺淳一の失楽園みたいにも行きま
せんですしね。
久木・・・・離婚そして今ですか?
佐川・・・・すみません。こちらの話ばかり
久木・・・・いや、勉強になります。
佐川・・・・私もかなりの会社で日本一を張って
来た人間です。
妻には全て置いて来たんで
すが、離婚調停の時はもめました
ね。
久木・・・・そこまでして別れたかった。解ります。
佐川・・・・いや、そこまでしたのは男の甲斐性で
しょう。
ヒロさんは私だけを求めてくれまし
た。体が思ったようであった時は自
信もありました。
しかし近頃自分に自信が持てないの
です。
久木・・・・彼女は佐川さんに何も求めて居ませ
んよ。
佐川・・・・そうでしょうか?.
久木・・・・可愛いものですよ。
ヒロコ・・・倫子さんありがとう。重い荷物 お
嬢様に持たせて、申し訳あり
ません。
倫子・・・・ヤダ。パリに居た時なんか当り前だ
ったのよ。
久木・・・・今だって、北京の街歩く時すごい買
い物なんですよ。北京の中なら観光案内
出来るくらい、よく知ってます。
彼女何か国語もできますから。
ヒロコ・・・私たちは必ず通訳さんがいないとダメよね。
佐川・・・・そうだね。君も何処に飛んでいくか
分からない人だからね。
倫子・・・・先生は上海は?
ヒロコ・・・上海はまだです。チンタオはソニー
のリキさんの妹さんが案内
して下さったのよ
倫子・・・・えっソニーの井深さんのあのリキさ
んですか?お会いしたい。
ヒロコ・・・プリンスでしたものね。リキさん、
世の中色々、私達も色々あ
ったわね。倫子さんが久木さんを 連
れてパーティに現れた時。
男性の視線凄かったですよね。
倫子・・・・そうだったかな?
佐川・・・・確かに美男美女ですね。失楽園を自
でいってます。
ヒロコ・・・すみません。私で我慢してね。
佐川・・・・どうですか、これから中軽井沢の近
辺をドライブしませんか?
私達の別荘地も見て下さい。
ヒロコ・・・待って、すぐご飯炊きますから、す
ぐです。
倫子・・・・先生、主婦。感激だな。
ヒロコ・・・佐川たん冷蔵庫の中、整理して。
佐川・・・・仰せのままに。ちょっとお待ちくだ
さい。執事の仕事もしっかりやらな
いと、ご主人様に追い出されます。
倫子・・・・まさかね^〜〜〜〜
ヒロコ・・・わかりませんのよ?
ね〜〜〜〜。
若い男女玄関先に訪ねて来る。ハイキングの軽装である。
雄二・・・・いないみたい。脅かしてやろうと思
ったのに、どうしようか?
サトコ・・・だから電話してくればよかったんだよ。
サトコ・・・・分かったよ、電話してみるよ。
サトコ・・・・もしもし、ヒロさん。父は運転中
ですか。軽井沢に来ちゃった
んですけどハイ、家まで来てます。
え・・・お客さんですか。幸子じゃ
なくて、雄二さんとです。
ハイ鍵わかります。入っても良いん
ですか、じゃあちょっと休ませても
らってから軽井沢の銀座にでも行っ
て来ます。ハイ、じゃあ後で。
から家に入り、ジュースを飲んでい
る。
玄関でベルが鳴る。ユキ出る。
サトコ・・・・ヤダ素子なんで来たの?
素子・・・お姉ちゃんだって、ビックリしたわ
よ。何も言って無いじゃな
い。学校が休みだし、天気も良いしヒ
ロさん達寂しくないかな
なんて思って、なんだお姉ちゃんも
そう考えていたんだね。
サトコ・・・でも今日泊まりのお客さんいるみたいよ。
素子・・・ じゃあ泊まりは無理だね。
サトコ・・・・どこか泊まれるかな。隣のホテル
はどうかな?3人ならお父さ
ん良いって言うから平気よ。私、聞
いてくるは。
サトコ一人で出て行く。
素子と雄二残り、したしげに話
し出す。
素子・・・その後上手くいってます?
雄二・・・おかげ様で、うちの親にもあってもら
ったよ。
素子・・・じゃあ後はお父さんだけか。ヒロさん
なら上手くいってくれるんじゃないか
な。
雄二・・・知ってる。サトコさんから聞いてる。
そんなこともあって今日来たんだけ
どまずかったかな。
サトコ・・・ヒロさんに言えば何とかなるよ本当
に私達ヒロさんがいてくれ
て助かってる。この軽井沢だってお
父さんの夢だったんだよ。
お父さんのワガママ聞いてくれて本
当にヒロさんには感謝して
るんだ、私達。
サトコ・・・・大丈夫。予約して来た。じゃあ
銀座にでも行きましょう
明日はお客さん居ないみたいだから、
北軽井沢のキャベツ畑の中に
あるワイナリーに連れて行って貰お
うよ。あそこの石窯で焼い
た、ピザ最高でしょ。
素子・・・私もあそこのピザが一番好き。浅間山
も大好き。眺めも最高。
サトコ・・・・離れ山登山もいいんだけど、今日
はもう遅いでしょ。
雄二・・・君達本当に軽井沢通だよね。お父さ
んにお礼言った方が良いよ
サトコ・・・・私達とっても可愛がってもらって
ます。
素子・・・本当にセレブな生活をさせてもらって
居ます。こちらに足を向け
て寝れません。これも全てヒロさん
のおかげです。
ユキ・・・・お父さん、離婚の時どうなるかと心
配したのよ。お金も通帳も
着る物だって何も家から持っていか
なかったし、ヒロさんがい
なかったら私達だってどうにもなら
なかった。私は大学も出し
てもらったからね。あなたにもあえ
たし。お父さんがヒロさ
んに迷惑かけてないかと心配してる
の、今夜会うけどお父さんはプライド
が高い人だからそこだけは気をつけ
てね。
素子・・・あの人の何処がいいのかね。
サトコ・・・・男冥利に尽きるってところ。いい
んじゃない。タデ食う虫も好きず
きと言うでしょ。
雄二・・・恋は盲目。凄いよね。よくわからない
なーヒロさんがお父さん
より収入があるのは解るよ、今はお父
さん仕事してるの?
サトコ・・・・もっぱらアッシー君かな。タクシ
ーの運転手でもしてくれたら私達
も気が楽な んだけどプライドが許
さないのよね。
父ながら困ったものよ。
素子・・・サアサア、銀座にでも行きましょう。
雄二・・・荷物をホテルに置いて行こう。