愛さらば愛しき人よ1
作者名 アマノコトネ
あらすじ
あなたとの出逢いは私にとって奇跡としか言いようがありませんでした。
きっとあなたに、出会う様に神様が仕組まれたとしか私には思えないのです。
私の中にいる、あなたと出会いたかった深い縁の女性達のたっての希望のせいもあったと思います。あなたとの生活は突然あなたの、一方的な告白から始まったのです。しかしながら今そんなことを、改めてあなたに、知ってもらいたいわけではないのです。恥ずかしくも、図々しい事ですが、あなたとの思い出の全てが私の狂おしい人生であったからに他ならないからです。
この物語はあなたとの衝撃的な出会いではなく、二人の幸せだった軽井沢での出来事を振り返ってみようと思い立ちました。そしてその貴重な時間に居合わせた私達の友人達の思い出と華麗に生きた軽井沢の現代の社交人達の人生をこの舞台の上に描いて見ます。きっとあなたも賛成してくれる事でしょう。そして私やあなたが、いかに優雅に軽井沢生活を楽しみ、最高の時期を送っていたかを、思い出して欲しいのです。愛しき人に改めて、私からの告白です。
この話は軽井沢の家探しから始まります。
娘との家探しです。娘は私が二番目の男性と暮らす、この家を自分も見ておこうとついて来てくれました。彼女から見ても、二人の生活は多少の不安を感じとれたようです、しかし私に取れば、なんの束縛もない、考えられないほど自由な特別な空間と時間だったと思います。
そして、軽井沢に住む色々な人たちとの出会い。軽井沢に訪ねてくる、友人達との思い出や、語らい。束縛のない時間につつまれた、あなたとの大切な時間。パステル色の軽井沢の風景とともに、振り返ってみます。ここには男の生き方と愛の形。女の想いと愛の形の違いによるすれ違いが現れているかもしれません。なぜ、私は一番深く、自分より深く愛した人との別れを取ったのでしょうか、いや取らざるを得なかったのでしょうか?
神経質になったあなたは私が東京に仕事で出かけている間、お酒を浴びるように飲むようになりました。そして見るに見かねた娘たちにアルコール中毒の専門病院、久里浜の専門病院に連れていかれました。その久里浜病院で突き付けられた結論は前頭葉の溶解という残酷な宣告だったのです。プライドの高いダンディな高倉健が好きだった、昭和男はアルコールという魔物に骨の髄まで飲み込まれた人間に変わってしまいました。女の思いの違いは、切なく悲しい別れとなり思ってもいない方向に導かれて行きました。しかし、今でも女は優しく凛々しかった男しか思い出せないでいます。 ニコニコ笑って私の肩に手を置いて峠から見る妙義山を指し示してくれたあの時のあなたが思い浮かんでいます。今も今でも、あなたを愛しています。
第 1 場 家選び
第 2 場 軽井沢 猿事件
第 3場 スイートな時間
第 4 場 パフォーマンス集団ホワイトマン
第5 場 不ぞろいな来訪者達
第 6 場 男の心、女の心
第 7 場 軽井沢の冬
第 8 場 愛しき人
登場人物(登場順)
ヒロコ 佐川をこよなく愛す女。
佐川 ヒロコの愛し方が解らない男。
京子 ヒロコの娘、母の奔放さを心配する。
不動産屋 軽井沢の家を世話した人。
鈴木 軽井沢の住人。 良き隣人。
リョウ ホワイトマン。旅行作家
ケント ホワイトマン。舞台俳優
ジュン ホワイトマン。カメラマン
ユリ ホワイトマン。ボイストレーナー
アイ ホワイトマン。和太鼓奏者
倫子 女社長、久木と不倫関係。
久木 倫子と不倫関係。
倫子を心から愛する男。
雄二 幸子の婚約者
幸子 佐川の長女
素子 佐川の次女