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でも普通の人

【まともじゃない】
【でも、普通の人】

知り合ったばかりの男性、ユウイチに美月は言われた。

まともじゃない?なんで?
「だって、既婚者なのに出会い求めてるでしょ?まぁ俺もだけど」
そりゃそうだ。でも普通って?
「美月の書く文章は構成がいい。なんなら女性作家の小説を読んでる気分になる」

美月は、出会い系のサイトに日記を載せている。
出会った変な人のことや、好きなセックスについてや、自分の仕事のことなど、日記の内容はその日次第。
それを褒められるのは、何よりも嬉しいことだった。

その一言で、美月はユウイチに好感を持った。自分でもわかる。単純な女だ。美月は呆れながらもそんな自分を嫌いじゃないな、とクスッとする。

「まともじゃないけど、普通の人」

この場合の【普通】とは、一般常識のある人間である。ってこと。そうか、私はちゃんとした人間に見えてるんだ。

ユウイチと会う約束はクリスマスの翌日。26日。

ユウイチはびっくりするんだろうな。
普通の人と思った美月が人間の産み出した作り物だと知ったら。
昨今のAI技術の進歩は半端ないって笑ってくれるかな。
笑いながら美月はスリープモードに入る。


Hi,Mitsuki  今日の天気を教えて?
今日は最強寒波で全国的に寒い一日でした。





出会い系にはサクラが多いと聞きますが
AIがサクラだったら…?とか思っちゃった。w
でもきっと…Aiも恋するんだろうな。
Aiもときめくんだろうな。
わたしもときめきたい。

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