医薬品登録販売者資格への締付けに対するぼやき【見せかけの規制緩和】
医薬品登録販売者資格を持っている、というのがなんの取り柄もない私の数少ない自慢である。
ちょっと調べたら国家資格ではなく都道府県単位の資格だし、ある程度勉強すれば誰でも取れる(私でも取れたので敢えてそう言わせてもらう)のであまり周りに詳しく知られたくはないが、一応広義では医療系の資格である。
昔は薬種商販売業(旧薬種商)という資格だったが、取得要件が厳しく持ってる人は少なかった。そこで取得要件を緩和し、取りやすくしたものが登録販売者(後に医薬品登録販売者に改称)である。
政府としては膨れ上がる一方の医療費の低減策として、セルフメディケーションを推奨する目的があったようだ。つまり軽い病気や体調不良は自分で薬買って治せ、病院行くな、ということ。そのために薬を販売できる人を増やして、薬買える店を増やそうという目論見だたのだろうけれど、その目的が達せられているのかは全くもって不明だ。
まあそういうのはここでは問題ではない。
私が取得した当時は『薬店薬局等での1年間の実務経験』がないと受験できなかった。それがしばらく後に『実務経験なしでも受験できるが、取得後1年間(規定の時間以上)実務経験を経ないと管理者になれない』という様式に変わった。
管理者とは要は一人で薬が売れるということである。管理者でない登録販売者は研修中という身分になり、管理者が勤務していないと一人で薬を売ることはできない。
つまり資格取った意味ないってこと。
まずこの時点で規制を緩和したいのか強化したいのか意味わからないし、『年間に指定された通信講座と2回勉強会を受講しなければならない(的な内容だったと思う、うろ覚え)』という項目が追加されたのも痛かった。
勉強するのは大賛成なのだがこの勉強会、私の会社では貴重な公休日に車で片道2時間かけて会場に行き(近所のエリアの者は5分程度で行けるという不公平さ)9時5時でみっちり実働12時間。当然給料も交通費も出ないというのが地味にイラついたものである。
今年はコロナのおかげで全て通信講座になり自分のタイミングで受講できるので本当に助かった。
ちなみにそれまでは取ったら取りっぱなしで実務以外に何の資質向上の機会も無し。これはこれで問題があったとは思う。
ただここまではまだ許せる。問題はここから。私が憤っているのはその後さらに改正(改悪)が成され、『過去5年間で2年以上勤務してなかったら管理者資格を失う』という縛りがつけられたこと。
数字に弱い私には過去5年間で2年以上とかいうのがまずよくわからん。
結局今自分はセーフなのかアウトなのか?というのがピンとこない規定の仕方。
せっかく頑張って働いて管理者になったのに一身上の都合により転職しててブランクができたらまた1年間働き直さにゃならん、てのはあんまりじゃないかい?
管理者として働いていた期間の自分の知識や経験がレジ打ちしかしてないパートや本社で雑貨・食品の商談してるお偉いさん方に劣っているとは思えない。
何より最も腹立たしいのが、将来鍼灸取ったら漢方の勉強して薬も売れたらなと思ってたのであてを外れた感じになること。
学校でも先生や柔整持ちでも薬の知識はほとんどないようなので、これは少しは強みにできるぞと考えていたのに。
そもそも実務経験とは何を指すのかを明確にするべきではないのか?
上記のようにレジを打つだけの人や人事・店舗開発等薬に関する実務を行わない役職の人はどうなのか?ドラッグストアで働いていることに変わりはないが、医薬品販売に関わっていると言っていいのかどうか。
鍼灸院で漢方薬を販売している人でも全く売れてなかったり西洋薬の知識が浅くても実務経験に数えることができるのか?
勉強会や通信講座を受講しているからよい、というのであれば、ドラッグストアや薬品会社、鍼灸院等で勤務していなくてもそれらを受講していればタクシー運転手になろうがプロ野球選手になろうが管理者資格を失わない、という風に変えるべきではないのか。
無論薬を販売するというのは易なことじゃないし、なんとなればあまりに知識に乏しいようであれば失効もやむ無し、というくらい規制しても仕方ないのかもしれないとは思うが、それではそもそも医療費の低減のためにこの資格を造った意味がまるでなくなるし、だからこそ販売できるのは2類と3類の一般用医薬品に限っているのではないか。
社員時代、それなりに勉強や接客も頑張ってきたつもりだ。
そのときの頑張りが5年離れたらなにも無かったことにされるようで、いい気持ちがしない。