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医学部受験から医師免許取得まで

 医師の主な役割は、病気や怪我を治療し、人々の健康を守ることです。医師は業務独占資格であり、医師免許を持つ人のみが、独占的にそれらの業務を行えます。医師になるためには、まず医学部を卒業し、医師国家試験に合格する必要があります。本記事では筆者の受験体験をもとに、医学部受験から医師国家試験までを解説します。


1. 医学部受験と医師国家試験について

・医学部受験について

 医師国家試験を受験するためには、医科大学や大学の医学部で6年間学ぶ必要があります。一部の大学では編入試験を実施しており、他学部からの2~3年次編入が可能です。また、海外の医学部を卒業し、厚生労働省の審査に合格した場合、日本で医師国家試験の受験資格を得られます。

・医師国家試験について

 医師国家試験は、厚生労働省によって年1回実施されます。通常、1~2年次は教養科目や基礎科目を学び、3年次より本格的な臨床科目を学びます。4~5年次からは臨床実習が始まり、大学の附属病院や関連病院で実際の医療の現場を体験します。この時期に入ると、多くの学生が医師国家試験の準備を本格化させます。6年次は、国家試験の勉強と並行して、初期研修を受ける病院を選ぶマッチングや各大学で行われる卒業試験をこなします。

2. 医師免許取得のメリット・デメリット

・メリット①:臨床に携わることができる

 医師は業務独占資格のため、資格を有する人だけが病気や怪我の治療に携われます。学んだ知識や技術を活かし、医療の幅広い分野で社会に貢献できます。

・メリット②:全国共通で使えること

 日本国内であれば、どの地域の医療機関でも働くことができます。一身上の都合で遠い場所に引っ越す場合でも、再就職先を探す際に有利になります。

・メリット③:安定していること

 医師免許は更新不要で、一度取得すると永久に有効です。また、常勤以外にも、非常勤バイトという選択肢があり、自分の生活スタイルに合わせて収入を調整することも可能です。

・デメリット①:医師免許取得まで時間がかかること

 医学部卒業まで6年間、初期研修修了まで2年間かかります。その後も専門医取得まで3-5年後期研修を行う必要があり、一人前になるまで勉強し続けることになります。

・デメリット②:お金がかかること

 医学部に6年間通った場合、国公立では350万円程度の学費がかかります。私立の場合は各大学で授業料が異なりますが、平均して3,300万円程度かかります。留年した場合、追加の学費がかかるため、金銭的負担がさらに増えます。

・デメリット③:知識の更新が必要

 医療の分野は技術が急速に発展するため、取得した知識が数年後に過去のものとなっている可能性があります。専門医の取得や更新など、日頃より研鑽を積まなければなりません。

3. 医師国家試験の概要

・受験について

 医師国家試験の受験資格や試験内容について紹介します。


医師国家試験の受験


医師国家試験の内容


医師国家試験の出題分野

・医師国家試験の難易度

 合格基準について、「必修」は問題の難易度が低めに設定されていますが、合格基準の80%を下回ると不合格となります。また、「禁忌肢」という選択肢が設定されており、患者の死や不可逆的な臓器の機能廃絶につながる選択肢、または医師として遵守すべき法律に抵触する選択肢を指します。「禁忌肢」を四つ選んだ時点で不合格となります。そして、「必修」を除いた「各論」と「総論」の点数を加味し、全体の合格率が90%程度になるように調整されます。


医師国家試験の合格率

・医師国家試験の申し込み

 出願書類を用意し、11月中旬に医師国家試験運営本部事務所へ提出する必要があります。現役生は、各大学が書類の手配や出願の取りまとめを行うことが多いですが、既卒生などは個人で準備することもあります。

4. 医師国家試験の勉強方法

・参考書と勉強時間の目安

 著者は、医師国家試験対策の映像授業とクエスチョン・バンク (過去問集) を利用して合格しました。映像授業に関しては、各予備校を比較し、自分に合ったものを選択すれば問題ありません。本格的に勉強を開始する時期ですが、臨床実習が始まる4~5年生が多い印象です。

・参考書

・医師国家試験の得点源

 各分野から満遍なく出題されるため、勉強期間に余裕をもって勉強する必要があります。強いてあげるとすれば、公衆衛生の出題数が多く、最新の内容を問われやすいという特徴があります。国家試験直前には、公衆衛生を重点的に学習するという方も多いです。

・医師国家試験の合格後

 合格後は、速やかに医籍登録を行い、4月からマッチング先で初期研修を開始します。5月頃、申請手続きした保健所から、医師免許証を受け取ります。免許証が届くまでは、「登録済証明はがき」を免許証の代わりに用います。


医師免許証 (2021年3月24日)

まとめ

 医学部を卒業し、医師国家試験に合格すれば、医師として病気や怪我の治療に携えます。免許証の取得後も、初期研修、後期研修(専門医の取得)、博士号の取得など、より専門的な知識や技術の習得に努めると良いでしょう。

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