応援する。ただ、それだけです。――長柄高校馬事文化研究部活動記録㊾
【4/30東京11R青葉賞(GⅡ)回顧】
シレッと……
璃子「さーて、名前を挙げなかった馬が勝ったし、青葉賞の回顧はまるで展望などしていなかったかのようにシレっとやろうか」
姫「それを言っちゃったらダメじゃない……。まあいいわ。勝ったのは4番人気のプラダリア。道中は好位の内で折り合いをつけ、最後の直線で外に持ち出されると長く良い脚を使ってきっちり前をとらえたわ。前走未勝利勝ちからの格上挑戦で見事ダービーへの優先出走権をつかんだわね」
恵麻「その前走が阪神の芝2400mで1秒1差の楽勝。力のあるところを見せたただけに、私たちとしてはちょっと見落としちゃった感はあるね。ごめんなさい」
ハヤタ「クロフネ肌のディープインパクト産駒。体高はそこまでなくて体型的には2400m向きにも見えないんだけど、心肺能力が高いんだろうね。筋肉がつきすぎてなくてエネルギー効率がいい面もありそう。走りも上手だしね。平尻気味で長く良い脚を使うのはイメージどおり」
姫「2着は2番手から抜け出しをはかったロードレゼル」
ハヤタ「脚長で格好いい体型だし、筋肉に力を感じさせる。ただ、まだ素質を持て余している感じもする。体を十分に使えるようになれば重賞にも手が届く馬じゃないかな」
璃子「それでも2着でダービーへの優先出走権は確保できたわけだから収穫のあるレースだったんじゃないかな。3着にはエターナルビクトリが後方から追い込んできた」
ハヤタ「背中の短い瞬発力タイプだから、折り合いを欠いて後方の位置取りになったのは痛かったね。もう少し前で切れ味を生かしたかった」
姫「折り合い面を考えると距離も少し長かったのかもしれないわね。4着はグランシエロ。大外枠から控える競馬を余儀なくされたところもあったかしら」
ハヤタ「距離は合っていると思う。重賞ではまだ力不足だったかもれないけど、自己条件に戻ればすぐに勝ち上がれるんじゃないかな」
恵麻「1番人気のレヴァンジルは直線で伸びきれず5着に敗れた」
ハヤタ「追い出されてから走りがバラついている感じだったね。パドックでの歩様はキビキビしていてよく見えたけど、まだ背中に甘いところがあるのかもしれない。この馬も成長待ちかな」
璃子「うん、こんなところか。青葉賞組からはまだダービー馬は生まれていないとはいえ、上位に食い込む例は少なくないからね。今年は皐月賞組も例年以上に強力そうだけど、さてどうなりますか」
【5/1東京11RスイートピーS回顧】
あえて回避。いい選択です
恵麻「スイートピーステークスは1番人気に推されたウインエクレールが期待に応えたね」
姫「道中は2、3番手でややなだめながらの追走になったけど、直線でも手ごたえは衰えず、内ラチ沿いから末脚を弾けさせた。ここでは力が1枚上だったかしら」
ハヤタ「そうだね。ハイペースで先行勢が直線で末脚をなくすなか、この馬だけがピッチを上げて抜け出してきた。強い内容だったと思う」
璃子「1800mが合うっていう私たちに見立てもあっていたわけだ。ただハイペースでも折り合いが難しかったとなると、2400mに延びるのはどうなんだろう?」
ハヤタ「うーん、大歓迎とは言えないかもね。本質的にはやっぱり2000mまでの馬だと思う」
恵麻「それもあってか、このあとはオークスを回避して秋まで休養に入るみたいだね。トライアルを使って秋華賞を目標にしていくとのこと」
ハヤタ「いい決断じゃないかな。秋華賞の2000mならよりチャンスは大きいと思うよ」
【4/30東京1R、5/1福島1R、5/1東京2R回顧】
POGも佳境ですね……
恵麻「先週出走したPOG指名馬はどうだった?」
姫「4/30東京1Rのクルールデュヴァンは2着。道中は中団のインを追走、直線はしぶとく脚を伸ばしたけど、先に抜け出したジェイエルエースとは脚色の差が目立ったわね」
ハヤタ「外目をスムースに走れた勝ち馬とくらべると内枠で少し窮屈そうだったかな。まあ休み明けとしたら上々の走りだったし、次も引き続きチャンスはあると思うよ」
璃子「次走は中2週で同条件のレースを狙うみたい。POG期間中の初勝利も十分あるね。次は単勝勝負だ!」
姫「買う側がイレこみすぎにならなきゃいいけど……まあいいわ。続いて5/1福島1Rのルナエルモッサ。今回はゲートで煽って大きく出遅れてしまったのが痛かったわね。後方からの競馬になって、7着まで追い上げるのが精一杯だったわ」
恵麻「次走は6月からの函館開催を目指すみたいだから、POG期間中の出走はこれが最後になったね。勝ち星を挙げられなかったのは残念だったけど、2着2回でポイントには貢献してくれた。頑張ってくれたよね」
ハヤタ「お疲れ様でした。最後は5/1東京2Rに出走したフレイムジョーカー。注文をつけて好位についていったものの直線はじわじわとしか伸びず11着。うーん、どうもレースで走りきれないね」
璃子「この馬も今回がPOG期間中の出走は最後かなー。このあとの動向はまだ情報がないけど……なんとか活躍の場を見つけてほしいね」
【5/8東京11RNHKマイルカップ(GⅠ)展望】
東京マイルへの適性いちばん! 頑張れ、レーン!
璃子「そしてPOGといえば! 今週末のNHKマイルカップに私たちの指名馬が2頭出走するんだよね!」
姫「インダストリアとソネットフレーズね。特にインダストリアは有力候補の1頭にも数えられているようだけど、感触はどうなのかしら?」
ハヤタ「胴の詰まった体型で、筋肉量も豊富。マイルに高い適性を感じさせるパワフルな体つきで、前走ディープインパクト記念弥生賞の中山2000mから今回の東京1600mへの条件替わりは間違いなくプラスだと思う。ただ……」
璃子「おっ、なんか表情が曇ったけど……」
ハヤタ「今回の1週前立ち写真では、右前の蹄に補修の跡が見えるんだよね……」
恵麻「ホントだ! 蹄の内側が白っぽくなってる!」
ハヤタ「出走させる以上は走れる状態なんだと思うけど、ひょっとしたら中間の調整過程でアクシデントがあったのかもしれない。それがどこまでレースに影響するのかは……」
璃子「やってみないと分からないかぁ」
姫「宮田調教師は会見で状態はいいとコメントしているから、そこまで心配することもないのかもしれないけどね」
恵麻「枠は6枠11番でほぼ真ん中あたり。スタートさえ決まればレースは組み立てやすそうだよね」
璃子「あとは名手レーンの手腕に期待しよう。ソネットフレーズのほうはどうかな?」
姫「なんといっても今回は、昨年11月のデイリー杯2歳ステークス以来6ヵ月ぶりの出走となる点が鍵になるわね。当初は今年2月のクイーンカップから始動する予定だったけれど、調整過程で球節に不安が出て自重。今回は仕切り直しの一戦となる」
恵麻「手塚調教師も今回は慎重なコメントに徹している印象だね。キャリア3戦目でフルゲートのGⅠということもあるし、今回は素質でどこまでやれるかって一戦なのかも」
ハヤタ「体型的にはこの馬も芝のマイル向きだよ。どちらかといえば軽い芝向きかな? スムースなレースができれば決してノーチャンスではないと思うよ」
璃子「今回初騎乗となる横山武史騎手は口向きの悪さなど乗り難しさを感じているみたいだけど、なんとかうまく乗ってきてほしいね」
恵麻「ライバルとなる馬はどれになるかな?」
ハヤタ「やっぱりセリフォスやダノンスコーピオン、マテンロウオリオンあたりが強力じゃないかな。ただこの馬たちは東京コースだと最後が少し甘くなるかもしれない。それならブルパレイやダンテスヴューに魅力を感じる」
璃子「おお……っ、人気どころを疑って伏兵狙いか」
恵麻「ハヤタ先生はこの一戦を混戦ムードと見ているわけだ。穴党だなあ」
ハヤタ「穴党ってわけでもないけど……でも人気馬に死角があるようなら、インダストリアにもチャンスがあると思うよ。有力馬の中で東京コースへの適性がいちばん高そうなのはこの馬だと思うし」
璃子「よーし、そういうことならなおさらレーン騎手には頑張ってもらわないとね!」
姫「そうね。私たちにできることはあと、応援だけだわ」
恵麻「頑張レーン、ということでね」
ハヤタ「おあとがよろしい……のかな?」