馬券に加えるなら、贔屓目? それとも厳し目? あれ? これも韻を踏んでね?――長柄高校馬事文化研究部活動記録㊹
【3/26阪神11R毎日杯(GⅢ)回顧】
「馬体から気になる馬」は激走しましたが……
璃子「なぜベジャールを買ってないのか……」
ハヤタ「うわぁ、ひさりぶりのorzポーズだねえ……。先週の毎日杯の話?」
璃子「うん……。ブービー9番人気で2着に激走したベジャールを前回の展望編でハヤタが『馬体から気になる馬』として挙げてくれていたのに、なぜ……。この馬、単勝は万馬券、複勝でも1280円ついたし、3連単12万8170円の立役者だよ?」
ハヤタ「まあ、本命に推したコマンドラインが崩れちゃったから、仕方ないんじゃないかな」
璃子「スタートがいまいちで中団のポジションをとるまでに少し脚を使ったうえ、勝負どころの反応も悪くて直線では一旦最後方まで下がっちゃったもんねえ。そこからも伸びきれなかった。単勝8.3倍はおいしいと思ったけど、むしろ不安の裏返しだったのか……」
ハヤタ「パドックの様子は特に変なところもなかったように見えたけど……もう少し活気が出たほうがいいのかな。叩いて巻き返しに期待したいね」
璃子「結果的には逃げたピースオブエイトが1着、2着のベジャールも2番手追走から粘り込んだわけだから、後ろの馬にはつらい展開ではあったのかなあ」
ハヤタ「そうだね。ピースオブエイトはパドックでも軽い身のこなしが目立ったし、前走を同じ舞台で勝ち上がってきた勢いも生かせたんじゃないかな。ベジャールはやっぱり体の大きさが抜けて目立ってた。一歩が大きくて広いコースは向くよね。あと、湿ったダートなんかでもかなり走りそうな印象を受けるよ、この馬」
璃子「3着ドゥラドーレスは3、4コーナーで馬群に包まれ、直線でも前が壁になって追い出しを待たされる苦しい競馬になった。展開も向かなかったなか、最後はよく差を詰めているし、これはまあ、次走、青葉賞かプリンシパルSあたりなら順当にダービーの切符をつかめると見たい」
ハヤタ「中距離体型で距離も2400mまで問題なさそうだしね」
璃子「それにしてもなあ……。前、前、プラス人気馬差し届かずの決着でしょ? ありがちなパターンだし、コマンドラインにこだわりさえしなければ取れた馬券だと思うんだよなあ」
ハヤタ「あ、ちなみに『馬券』っていうのはもちろん『エア馬券』のことだからね。僕たちまだ高校生ですから」
宮子「私はリアル馬券を買ってたけどね……」
璃子「どこから湧いてきた、生涯収支マイナス先生ェ……」
【3/26中山10R伏竜S回顧】
明暗分かれた「3強」の評価は……?
恵麻「うわぁ、向こうはなんか、ゾンビに絡まれたみたいになっちゃてるねえ」
姫「田村先生、土曜日の夜に発売されてたドバイワールドカップデーの馬券も買って、全外しだったみたいね……」
恵麻「『日本馬5勝、私0勝』とか下手な韻踏んでたもんね。人って馬券を外しすぎるとラッパーになるんだね」
姫「そんなしょうもない内容を太字にするんじゃないわよ……。とにかく向こうは無視して、私たちは土曜日におこなわれたダートのオープン戦、伏竜ステークスを振り返るわよ」
恵麻「まあ、ドバイワールドカップとダートつながりってことで。1着はデリカダ、2着はノットゥルノと、展望で名前を挙げた3頭のうち2頭での決着となったね。ただ、もう1頭の注目馬ホウオウルーレットは5着に敗れる結果となった」
姫「デリカダは4コーナーあたりでは手応えで劣勢にも見えたけど、しぶとく伸びて最後は上位3頭での叩き合いを制した。これでデビュー3連勝。出走中唯一の牝馬で、強い牡馬相手にオープンクラスのここを勝ったことは立派だし、ハヤタが言っていたように牝馬ダート路線の頂点を極められる馬かもしれないわね」
恵麻「2着のノットゥルノもこの路線での実力を高く評価されてる1頭だもんね。前走同様、序盤はじっくりと後方で構えて勝負どころから徐々に前へ進出。長く良い脚を使って伸びきった。最後は勝ち馬の決め手に屈したけど、自分の競馬のかたちを確立した印象だよね」
姫「武豊騎手によるとレース中に落鉄していたらしいし、その影響もあったのかもしれないわね。差しに構えても決して不器用な感じはしないし、1800m前後ならコースを問わず力を出せそう。次走も期待できるわね」
恵麻「3着には最低人気のペイシャエスが粘り込んで、複勝でも6160円をつける高配当。強敵相手によく頑張ったし、自己条件の1勝クラスに戻れば今回の経験は強みになりそうだね」
姫「逆に単勝1.3倍と断然人気を背負っていたホウオウルーレットは、注文通り前で運ぶ展開に持ち込みながらも、直線では脚をなくして5着。人気で後続からもプレッシャーを受けたとはいっても、特段ペースが速すぎたということもないし、今回は力負けの感は否めない」
恵麻「厳しい言い方になるけど、ちょっと過大評価されてた面はあるかもしれないね。デビューから2戦の勝ち方は派手だったけど、ハヤタくんが馬体面からイチ押しにしてたわけじゃなかったし。展開的には有利かなと思ったんだけど……」
姫「まあこの馬にとってはいい経験になっただろうし、力をつけて巻き返してほしいわね」
【3/27中京9R大寒桜賞回顧】
ひそかな出世レース。勝ち馬の次走にも要注目
璃子「ふう……ようやくゾンビから逃げおおせたよ。大丈夫? どっか噛まれてない? 馬券下手ウイルスに感染してない?」
姫「そんなウイルスないわよ。やめなさいって。ただでさえ健康情報は燃えやすいんだから」
恵麻「心身も馬券も健康にいかなくっちゃね。ところで先週の3歳戦でぜひ振り返っておきたいレースがあるんだよね?」
姫「ええ。日曜日の中京でおこなわれた1勝クラス特別、大寒桜賞よ」
恵麻「芝の2200mと長めの距離の1戦ということもあって、ここで上位に来た馬はその後も中長距離路線での活躍が目立つんだよね。ひそかな出世レースとも言われてる」
姫「ええ、今年の勝ち馬ブラックブロッサムはまさに、今後の活躍を期待させる強烈なインパクトを残したわ」
恵麻「2着に8馬身差をつける圧勝だったもんね。前の2頭が飛ばしたとはいえ、3番手からこれらを楽々かわして4角で早々先頭。直線でも脚色は衰えず、独壇場といった勝ちっぷりだった」
姫「これでデビュー2連勝。新馬戦の振り返りではハヤタが『長く良い脚を使える体型』と評してるわね。今回はまさにその評価が証明されたような勝ちっぷりだったわ」
ハヤタ「いやはや、恐縮です。今回あらためて見ても、父キタサンブラックの特徴を受け継いだような脚長の好馬体だし、やっぱり素質は高いと思う。ビュンと切れるタイプの筋肉ではないけど先行力に魅力はあるし、まだまだ良くなってきそうな印象も受ける」
姫「母父orpenはサトノダイヤモンドのブルードメアサイアーとして知られているし、距離が延びても問題なさそうね。ダービートライアルはもちろん、本番でも期待できそうな1頭よね」
璃子「たしかにねえ……。ただ、勝ち方が派手でも鵜呑みにしちゃダメってことも、先週は痛感させられたわけじゃない?」
恵麻「たしかに今回は8頭立ての少頭数でもあったもんね。つぎは青葉賞かプリンシパルS、あるいは京都新聞杯となると多頭数になって相手も上がるだろうし、厳しい展開になったときが課題になりそう」
璃子「いずれにせよこの馬にとっては次走が試金石になるだろうね。逆にそこをいい形で通過できればダービーでもおもしろい存在になる」
姫「ここを単なる通過点とできるのか。この馬の次走にも要注目ね」
【4/3阪神5R 3歳1勝クラス展望】
贔屓目でがんばれ馬券を
璃子「今回の展望はPOG指名馬の動向を中心にやっていきたいと思う。だから話半分くらいで聞いていただけると…」
恵麻「どうしても贔屓目、あるいは厳し目が入っちゃうもんね」
姫「指名馬のジャッジは厳し目と定評のあるハヤタ…」
ハヤタ「いやいや。レッドベルアームのことは高く評価してるんだよ? ホント、1勝クラスは楽に勝てておかしくないと思うんだけどなあ」
恵麻「まあ重賞で5着、3着ときていたことを思えば、1勝クラス戦の前走は不覚をとった感は否めないよね。今回も出走するヒルノショパンにも先着を許してる」
ハヤタ「馬体の良さでは今回のメンバーでもレッドベルアームがいちばんだと思うんだけどねえ。四肢がすらりと伸びて、首や胴、飛節なんかも窮屈なところがなくて、ストライドは雄大。これで直線伸びきれないところを見ると、筋肉の成長がまだ本物じゃないとしか……」
璃子「あとは少しスタートが悪かったり折り合いが難しかったりとか、競馬に行って難しい面はあるね。今回は2走振りに福永騎手にスイッチするから、そのあたりも鍵になるかも」
姫「今回も人気を集めそうだから、期待に応えられるかどうか。ライバルになりそうなのはどの馬かしら?」
ハヤタ「うーん、ちょっと難しいところだけど、グッドフェイスあたりはよく見える。筋肉の張りが良いんだよね。体型的にマイルくらいは合いそうだし、前につけられればなかなか止まらないかも」
恵麻「前走はフローラルウォーク賞で2着。今回は休み明け2走目で、フォーム的にも十分狙いが立つ馬だね」
ハヤタ「それとカレンマックナイトもちょっと気になる。これも筋肉が繊細でバネを感じさせる。良馬場のほうがいいかなという気もするけど、一発ありそうな印象は受ける」
姫「祖母ピラミマということはスワーヴリチャードやバンドワゴンが近親にいる血統ね。たしかにおもしろいかもしれないわ」
璃子「カレンマックナイトか。これは意外なところだね。人気もあまりなさそうだし、狙ってみる価値はあるね」
恵麻「あと抑えるならアグリかな。POGのドラフトでもなかなか注目を集めてた1頭だし、安田隆厩舎と川田騎手のタッグは強力だよ。前走の重馬場でも2着に来てるし、馬場が渋っても大丈夫というのは強みだよね」
璃子「むむ……こう考えてくると、レッドベルアームも決して盤石ではなさそう……。ただ逆に言えば、ここで勝ち上がることができれば、NHKマイルカップやダービーへの出走にも望みをつなげるはず。藤原厩舎だけにもっと先を見据えてる可能性もあるけど、POG的には大レースへの挑戦も期待しちゃうよね。頑張ってほしい!」
【4/3中山9R 山吹賞展望】
厳し目で穴馬券を!
恵麻「今週はもう1頭POG指名馬が出走するよ」
姫「山吹賞のウンね」
ハヤタ「ウンねえ……。あくまで今年1月時点のパドックを見た印象だけど、さすがに骨の細さは気になるなあ。筋肉もつききっていない感じだし、やっぱり評価は上げづらいかな……」
璃子「おおっと……ここにきてハヤタの『厳し目』が発動ですか……? POG総帥枠だし、なんとかダービー出走までこぎつけてほしいんだけどなあ」
恵麻「中央挑戦ではなかなか結果が出てないけど、前走は川崎の特別戦で待望の2勝目を挙げたよ。馬体重も少しずつだけど増えてきてるし、ひょっとして成長してるかもしれないよ?」
ハヤタ「まあ、当日のパドックには注目だね」
璃子「厳しめですなあ。ほかの馬はどうなのよ? 正直、そこまで強力なメンバーではないかなって気はするけど」
ハヤタ「順当にいけば、ブラックボイスが有力なんじゃないかな」
恵麻「前走は中山の1勝クラス、芝2000m戦で2着だね。どんなところがよかったの?」
ハヤタ「500キロ台で体格に恵まれてるし、胴や脚の長い体型でパワーもありそうだから、いかにも中山の中距離向きって印象なんだよね。繋が短めで骨もしっかりしてるから馬場が多少渋っても問題なさそう。先行して勝負所でスムーズに進路を取れれば好勝負に持ち込めるんじゃないかな」
姫「前残りってわけね。逆に差し追い込みに構えそうなアケルナルスターなんかはどうかしら? ここ3戦は重賞で強い相手と戦って、しかもそこまで差のないレースをしてきた。ここでは実績面で1枚上と見てもいい気もするわ」
ハヤタ「たしかに筋肉の質はこのメンバーだと最上位かも。ただ体型は良くも悪くもトーセンラー産駒らしくて、長さのある前躯に対して後躯は少し詰まり気味なんだよね。距離が延びて良いイメージはあまり湧かない。力があるから直線では追い込んでくるだろうけど、筋力に頼るばかりだと最後は案外脚が鈍る可能性はあるよ」
璃子「それならトーセンリョウは? 11月以来の実戦とはなるけど、良血馬で今回も期待を集めそう」
ハヤタ「この馬もウンと同じで骨が細すぎる点は気になるかなあ。筋肉の質はいいから期待は持てるけど、体格や体型からすると、トリッキーな中山コースよりは東京とか広いコースのほうが真価を発揮しやすいんじゃないかな」
姫「今回は中山替わりが鍵になると。じゃあ逆に、中山や荒れ馬場で良さそうなのは?」
ハヤタ「骨太でパワーを感じさせるスリーエクスプレスは時計のかかる馬場ならチャンスがあるかもしれないね。フジマサフリーダムは脚の長い中距離体型で、瞬発力もある。直線でうまく末脚を引き出せれば上位も。あとはタイラーテソーロもちょっと気になるね」
璃子「出た! ハヤタのちょっと気になる! 詳しく聴かせてよ」
ハヤタ「後ろ脚が短くてちょっと寸の詰まった体型で、本質的にはローカルの小回りコース向きなんだろうけど、雨がかなり降った場合はピッチ走法のこの馬に台頭の余地があるんじゃないかと思ったんだよね」
璃子「父ゴールドシップで春の中山。たしかになにかを思い出すよね。当日の天気と馬場状態しだいではこの馬がどこかで『ワープ』して上位に食い込むかもしれない。今度こそ買い目には入れておこう……。厳し目で見つけた穴馬券、ぜひとりたいもんね!」
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