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化学肥料と農薬を使う農家だった私が有機栽培を始めた理由。②

 有機栽培の小麦と大豆にしようと思って、急に無茶な切り替えをしていたのではなく、もともといままで通りの栽培では、自分の作物に商品力はないとは感じていました。
 というのも、普通に栽培、農薬と肥料を使ったやり方だと特にほかの農家との差別化は全くできていませんでした。ブルーオーシャンという考え方からもまったく離れていたし、正直これではいつか埋もれていまうだろうという危機感は感じていました。

 あれから、何年かたっていますが、あの時の判断は間違っていなかったと思います。というのも、ソバの生産者はあのときからどんどんソバの栽培面積を拡大し、大きな農家が利益をだせるという構造になっていて、ソバの栽培だけで経営がなりたたせるのはよほどたくさんの面積をつかめたところだけだと思います。

 話しはもどって、もともと作物の差別化を図りたかったので、試験的に取り組んでいました。先を見据えて、技術が確立したら、こっちで経営していこう。一般的な経営方法だと、一般的な収益にしかならず、天井がみえている状態になってしまう。
 さらに農業という経営を行うのだから、自分が後悔しないような挑戦をしよう。と思いきって、翌年から、ソバの栽培を全部やめ、小麦と大豆の有機栽培に取り組むことにしました。

 まず、取り組むにあたって有機栽培をただ行っても、商品価値がつかなければ、それは意味がありません。
 一番大事なのは、自分が栽培した、作物を有機栽培で生産したもので、その作物に対して、有機栽培の付加価値として商品の値段に反映してくれる業者をみつけることがまず第一です。
 たまにいるのですが、

 自分はこんな商品をつくりました。買ってください。

 正直、売るのは相当厳しいでしょう。
 私も最初のときは、珍しいものを栽培すれば興味をひかれて消費者は買ってくれると思っていました。
 
 実際に経営するときに大事なのは栽培をする前の時点で、この栽培でやってくれたらこの価格で買い取りますよ。という業者を見つけるところだと思います。
 これがないとすべて自分で売らないといけないので大変だと思います。
 よほど資金に余裕があったりしない限り、売り先を見つけてからの方が経営的にも、精神的にも安全です。
 私は、実際に有機栽培に移行する前に、きちんと業者を見つけていたので、販売には苦労はしませんでした。

 実際に栽培を始めると、いままでのように、農薬だとか化学肥料というものが使えないので、驚くことがたくさんでてきます。
 経験があればあるほど、農薬だとか化学肥料を使わないことが怖いのです。いままで、当たり前のように使っていたため、これをやればこういう生長をするだろう。
 という経験が全く使えません。なので、頼れるのは自分の目と判断のみ。
間違っていても誰も教えてはくれません。唯一、作物だけは答えてくれますが、一年目はまずわからないでしょう。

 私はまずわからないだろうなと思っていたので、教えてもらった栽培方法を言われるままに実践しました。そして、

 続く

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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