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エターナルライフ第24話 エピローグ 1990年春

康輔、あなたと出会った季節が巡ってきたよ。
落葉樹達は薄緑の葉っぱを競って太陽に向けて広げている。桜の木からは溢れるように花が咲き出したよ。
窓辺にたたずんで外を眺めていると、いつものように、あなたがそっと後ろから抱きしめてくれるような気がしてならないよ。

ブラジルであなたが亡くなった時、私はどうしていいのかわからなくて途方に暮れていたんだけど、とても親切なおじさんがいて面倒を見てくれた。病院の守衛さんで日本語が話せるの。
その人がいろいろ手を打ってくれて、あなたを荼毘に付すことができた。不思議な人で、お経も唱えてくれたんだよ。
地域でも信頼されている人みたいで、周りの人が何人も集まってくれた。太ったお母さんが私を抱きしめて一緒に泣いてくれた。言葉もわからないのに何故か通じ合えて、周りの人のシンパシーを全身で受けとめていた。
人見知りで人間嫌いの私がブラジルで変われたかもしれない。
康輔、あなたが言っていたように、人を信じる強さを持って生きていくからね。

康輔、あなたがいつか去ってしまうことは覚悟の上だったのに、あなたのいない家にひとりで居るのは寂しくてたまらないよ。

私はユキさんの生まれ変わりだとあなたは言った。
そう考えると、私が見てきた悪夢も、水が怖いのも、一緒に行った寺で感じた妙な既視感も、初めて会った時からあなたに惹かれたことも、全部説明がつくよね。

康輔、生命が永遠なら、私も命を絶って、あなたを追いかけようと思った。でもやめたよ。
だって、私のお腹の中にはあなたの子供がいるから。

私はあなたの子供が、あなたの分身が欲しかった。あなたと生きた証が欲しかった。
でもあなたは絶対に反対すると思ったから、騙したんだ。安全日だと言って。

大丈夫。私ひとりで立派に育てるから。お父さんがどんなに優しくて勇気のある人だったか、ちゃんと教えるから。

だから私に力を与えて。
勇気を授けて。
光を、送って。


エターナルライフ 完


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