「可能性」を、閉ざすな
大阪行ったり茨城行ったりとバタバタしているうちにひと月も経ってしまいました。”タイタンの学校”5期の講義もスタートしたし、幸せなことに割とフル回転な毎日です。
以前こちらでもお知らせしたのですが、先月の阪神梅田本店でのイベント、無事開催することができました。ご参加いただいた皆さま、ご尽力いただいた阪神スタッフの皆さま、本当にありがとうございました!
元々関西のノリが大好きなのですが、初対面でも気さくに接してくださる皆さまに助けて頂き、ますます関西が好きになりました。盛り上がりのある楽しいイベントになったのですが、改めて感じたことがあり。シェアしてみようと思います。
このイベント、午前午後2回公演のタカラヅカ方式だったのだけど、モロゾフカフェでの質疑応答的な内容がメインで、最後ちょっと売り場を案内しますね、という感じだったんです。
僕も阪神さんも”次に繋がればいいよね”というイメージで考えていたんですが、皆さまの購買意欲が素晴らしくて。フロアでは「急に団体引き連れてきたあの黒ずくめの男誰やねん?」と話題になっていたらしい。。すみません新喜劇が好きなだけのスタイリストです。
売上に繋がったことは単純に嬉しかったけれど、”なんでそういう流れになったのか”ということがポイントじゃないかな、と思っていて。
可能性を広げる、それだけ
正直アパレルはあまりいい話聞きませんよね。世の中的にも売れるもの売れないものがよりハッキリしてきている。それって一体何が違うのでしょうか?
大事なのは「可能性を感じてもらうこと」だと、改めて確信しました。
本来、ファッションは可能性のかたまりみたいなものです。
決められた制服以外は何を着たっていい。ある程度制約があったとしても範囲内で自由に選ぶことは可能でしょう。でも、業界はそういう方向に行かなかった。
「あなたはこういうものを着ましょう」
「この年齢になったらこのブランドを着てください」
みたいな”無言の押し付け”をしてたと思うんですよ。
ユーザーを成長させようというより、決まったルートに乗せてはみ出さないようにケアしよう、という方が強かったように感じる。
逆に言うと、はみ出してもらったら困るわけです。浮気されたくないから囲い込もうとする。だから今になっていざ「みんな自由にしていいんだよ!!」と言われても困ってしまう。急に解放されても何を着ていいか分からないから。
個人的にはなんとか診断も押し付けと思ってるのだけど、可能性は狭めてるのは確かだけどこの話をすると長くなるので止めときますが、それはさておき、大事なことは「私にもこんな可能性あるかも!」と感じてもらうことです。
”思い込み”は取り去るべき
多くの人は、僕も含むですが、「勝手な思い込み」によって勝手に可能性を閉ざしてしまっているケースが非常に多い。
以前、カウンセリングの段階ではLサイズです言っていたけど、絶対そんなことないと思っていたら実際Sサイズだったという方がいましたが、割とそんな思い込みは多いのです。色やデザインもそう。
〇〇は似合わない、私に〇色は無理、自分の体型で〇〇は、、ってそれ、本当にちゃんと試しました?脳内試着じゃないんですか?と強く言いたい。
でも、みんな本当は心の底で「私にも他の可能性があるのでは、、」「新しいスタイルに挑戦してみたいけど、、」という思いを持っている。そこに「あなたにも可能性ありますよ」とズバッと答えを出してあげたらいいのです。
今回のイベントでは、まさにそこをポイントにしました。
主に小柄さん対象の内容だったのですが、「背が小さいからロングは着れない」「パンツが似合わない」「明るい色似合わない」といった前提が間違っているケースに対して、こうすれば着られる、似合うでしょ?というアイデアを提示して、可能性を広げていくことに専心しました。着られるなら、似合うなら買いたくなって当然です。
可能性を広げた成功例
そして、ハイブランドでそれをやったのが、ボッテガヴェネタだと思います。
イントレチャート(編み込み)の細かさで伝統と技術力をアピールしていたけど、ちょっとブランドのポジションが固定化されていたタイミングで、逆にスポーティな大きな編み込みのバッグや鮮やかなグリーンのバッグを打ち出して、「私にも持てそう」「鮮やかな色もいけそう」と思わせた。まさに可能性を広げた好例ではないかなと。
別にそうしなくても人気ブランドではあり続けたでしょうが、今のように若い世代までの盛り上がりは無かったかなと。
歴史あるブランドとして葛藤はあったと思います。でもあえて自分たちで可能性を切り開いて、広げて見せたことが、ファン拡大の理由になったことは間違いありません。
すべては自分、あなた次第
ある程度生きていると「自分はこんなもん」という思い込みは出てくるものだし、色々な情報を取り入れるほど「じゃあ何が正しいの?」と正解が分からなくなってしまうかも知れない。
でも結局、自分次第なんですよ。
自分が「可能性ある!」と思えば何でも挑戦できるし広がるけど、「可能性ない」と思ったら今以上には絶対にならない。自分に「これだ!」と思える軸が出来れば無駄に迷わなくなる。ファッションもそう。
着てみたいものがあればトライしてみたらいい。試着はタダですから。着てみれば似合うかどうか、しっくりくるかどうかハッキリします。答えは自分の感覚にしかないのだから。
普通に過ごしていたら、年齢だとか環境だとかのせいにして可能性は狭まっていくだけ。そこを閉ざさず、広げていく作業は定期的に必要になります。
僕はスタイリストの端くれとして、少しでも可能性を広げていく人が増えるように提案してきたいし、可能性を広げるスタイリングでお店やブランドを活性化させたいと思っています。
可能性を広げる、ということは、ダメだと思う理由を潰していくこと。それには実地で証明して、納得させないといけない。理屈や理論だけの頭でっかちではダメなのです。
ゆえに、個人的にはスタイリストはもっと実演販売士みたいなポジションでいいんじゃないかと思ったりもして。レジェンド松下さんの「いくわよ!」ように決め台詞を考えなきゃだな…あ、形から入るタイプです。
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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介