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ビジネス的「分かりやすさ」の作り方

分かりやすい、というと簡単、初心者レベル、みたいなイメージもあるかなと思いますが、もうサービスとして考えていいと思うんですよね。現代おいては。

そもそもですけど、分かりにくいものを分かりにくく話すのはバ○でもできるわけで。ファッション業界はまだそういうとこあるぞ。センシュアルとかプリミティヴとか横文字ばっか並べやがって。誰か来る前に話を戻すと「”分かりにくいもの”を”分かりやすく”話せる人」は、そうでない人と何が違うと思いますか?

分かりにくいものの中身を”理解”しているんです。
理解しているから、要点を摘んだり相手に合わせて伝わるように話せる。

つまり、分かりやすく表現するためには「そのものの中身や要点を理解」している必要があるわけです。そうでないと書いてあること、習ったことを横流しするしかできない。それがどうサービスに繋がっていくのか、個人や商品もそこを意識するべき理由を書いていきますね。

分かりやすさがサービスに直結する理由①

ひとつには、選択肢が多すぎるという理由があります。

例えば白スニーカーを買うとしても、「#スニーカー#白」と検索すれば無数のアイテムが出てきて、手段を選ばなければどのアイテムでも誰でも買うことができます。値段もさほど変わらないし履き心地は買ってみないと分からない。じゃあどう選ぶかというと、分かりやすく良く見えるとか商品やブランドのイメージが分かりやすいというポイントになるでしょう。

逆に言うと、分かりやすく魅力や内容を伝えることはユーザーの選択肢を絞ってあげることになる。それは時短であり購買のサポートになるわけです。

個人でも様々なサービスが展開されていますが、興味を持って詳細を読んでも内容がよく分からなかったりどれを選んだらいいか分からないケース、ないでしょうか。登録しないと金額出さないの絶対やめた方がいいと思う。

洋服もそうですが、人はあまりに選択肢が多いと思考が停止してしまいます。何を買うべきか迷った挙句「一旦考えます」と帰ってしまう。だから何でもかんでも勧めずに絞り込んであげるのもユーザーフレンドリーな接客なんです。

分かりやすく魅力を提示することはもちろん自分サイドの益を考えてのことですが、同時にユーザーが時間を掛けずに、直感的に選べるようにすることは相手にっっての益であり、サービスにもなります。AppleのMacやiPhoneが売れたのも直感的な操作は思考と動作がシームレスになって速いとウケたからですよね。まさにその事例かなと。

数多ある選択肢の中で「キミに決めた!」となるためには、それなりの理由が必要。やっぱりピカチュウが絶対的人気なのは、万国共通で分かりやすいかわいさがあるからでしょう。

分かりやすさがサービスに直結する理由②

もうひとつは、結局みんな分かりやすいものが好き、ということです。特に日本人は。

シャネルやエルメスなどをひとくくりにして「ハイブランド」と言いますが、ブランドという言葉は「brand」=自分の牛を区別するための焼印に由来していると言われています。プロレスファンの方は”カーフブランディング”を想起するかも知れません。猛牛天山。

やっぱりシャネルとかエルメスとかって分かりやすいんですよ。ロゴが分かりやすく配されてたり、オレンジに馬車は絶対エルメスですよね。そういう分かりやすいアイテムを持つことでユーザーは満足感や優越感を感じるわけです。

ちょっと前に爆ヒットしたディオールの”ブックトート”も、その刺繍の美しさだけでなく、ロゴやその配置など「分かりやすさ」が人気となった理由です。

類似商品も出回りましたけども

その賛否は別として、これを持ってる=買える(買ってもらえる)=余裕ある、トレンド押さえてるという図式。流行りすぎてパパ活女子の象徴みたいになってしまったのはまぁアレだけど。

真のファッショニスタは無名の銘品が好きですが、一般的には分かりやすいロゴやデザインである方が良かったりする。それは「ここのを持ってる」というアピールにもなるから。一度人気になってしまえば分かりやすいロゴやデザインがひとり歩きして広めてくれるわけです。

総計で見れば、やはり分かりやすいものを好む層が多い。そういう消費者心理を考えると、分かりやすい発信や物づくりはキーポイントになるはずです。アーティストもそうですよね。シングルは分かりやすく作り、アルバムで世界観全開みたいな。やっぱりシングルでご新規さんを獲得しないとアルバムも作れなくなっちゃうわけで。

ミスチルが大好きな友人がいるのですが、勧められる曲を僕はさっぱり知りません。僕みたいなライト層には初期?のシーソーゲームとかニシヘヒガシヘとか分かりやすい方がしっくりくるというか。あくまで個人の感想ですが。で、ミスチルもヒット曲中心のライブ回とマニアックな曲ライブ回と分けてるらしんですよね。そういうのはユーザーフレンドリーだなと思う。

分かりやすくすることは、いわゆる魅力を凝縮して伝えることです。その分だけ無駄がなくなり提供するものが魅力的になる。

自分の、この物の良さは何か、というのをシンプルに見せる、伝えることはユーザーにとっても「だからこれが好き」という共感を呼ぶことにもなるでしょう。

「分かりやすさ」の作り方を考える

ということで分かりやすさは大事だという話をしてきたのですが、これは人にも商品にも適用できることだと思うんです。じゃあどうやって作ったらいいのか。

冒頭で、分かりにくいことを分かりやすく話せる人の特徴は「中身を理解していること」だと書きました。つまり、分かりやすさを作るためには「自分・商品の魅力を把握していること」が大事だということです。

意外なことに、「自分の魅力を真剣に考えたことがない」「見た目の印象とビジネスに関係があると思っていなかった」という人が結構います。ちょっとショックを受けたこともあったのですが、やっぱり日本は中身が良ければ、という風習が根強いのかなと感じたり。

魅力、というと「私に魅力なんて、、」という話に絶対なるので、まずは”自分(自社や商品)のウリ”が何なのかを考えてみましょう。

友達がいて恋人がいて家族がいて何らかのビジネスをしている以上、いや生きてる以上何かしら自分のウリがあるはず。そこが良くて繋がっていくわけですから。その輪郭をはっきりさせていくべきです。

人の見た目で言えば単純にカッコいいとか爽やかとか綺麗とか癒し系とか、中身でなら知的で話が面白いとか聞き上手とかアイデアを出すのが得意とか。自分でピンと来なければ人に聞くという方法もあります。

ファッションも、自分は何を着たらいいか?と考えるから決まらないんです。私はこういう個性・キャラでいく。それに必要な服は何か?と考えればだいぶ絞れるでしょう。作る料理を決めてから買い物に行く、とイメージしてください。

最近だと、賛否両論になっている「おばあちゃんのぽたぽた焼」のイラスト変更についても考えてみると、


旧イラスト
新イラスト

僕は世代的に旧イラストに馴染みがあるので寂しい気がしますが、伏し目な旧おばあちゃんに対して、新おばあちゃんは顔を上げて語りかけています。周りに家族が描かれていることも併せて、おばあちゃんがより家族の中心になっている感じもしてきますよね。

おそらく社内でも様々な議論が交わされたことと思いますが、”おばあちゃんの”という商品名をより分かりやすく伝えたいという意味では、これはアリなのかなと。味で言ったら似たようなものは色々あるけど、おばあちゃんが手作りで作ってくれたような温もりを、という部分が他にない情緒的価値になっているので。デザインもできるだけ踏襲しようというリスペクトが感じられますし。

ウリがはっきりしたら、そこがより良く見えるように整理するだけです。

スタイリングで言えば、スタイルがいい人ならよりスタイルがよく見えるように、マニッシュさがウリならよりカッコ良さが見えるようにすればいい。そうすれば自然と魅力が凝縮されてファンも付きます。非常に簡単なことです。そして、それがMAXまで行ったら別の角度からも見せていく。そうすると五角形の能力値グラフが正五角形に近付いていくわけです。

あなたのウリは、なんでしょう

だからこそ、まずはウリは何なのかを見つける、考えることが必要になりますよね。

自然とウリにしているものを更に際立たせてもいいし、新たにこれを立てよう!と抜擢してもいい。とにかく「分かりやすく可視化するもの」を見付けないことには迷走間違いなしです。

個人は特に、同じような肩書きで同じような仕事をしてる人がひしめく中で自分を選んでもらおうと思ったら「区別」してもらうのが早い。何をやっている人なのか、何が得意なのか、どんな人なのか、分かりやすく提示していた方が目に止まること、理解が早いことは間違いありません。

お前はどうなんだ、ということでひとつお話してみると、僕は仕事で”分かりにくいことをやっている”という自覚があります。女性のクライアントが多いけど専門というわけではなく講師やらディレクションの仕事も色々している。骨格診断とか診断系は興味ないし何ちゃら戦略スタイリストとか経営者専門とか大層な名前を付ける気にもならないので。

なのでファッションの人というイメージはブレないように真面目な話はしつつ、仕事でない発信の方で、パリが好きでスイーツが好きでお笑いが好きという分かりやすい発信をして、〇〇が好きなスタイリストという掛け合わせをしています。ひとつでも興味を持ってくれたらその人自体にも興味持ってもらえるかなと。実際そこからご縁が繋がって仕事になることも多いのです。ご興味のある方はFacebookやインスタをご覧ください。

パリもスイーツもお笑いもキャラ付けのためにやってるのではなく、元々好きなものを好きだと言ってたら気になる人が集まったというだけのことで。案外自分の中にあるものがウリになったりするんですよ。だから誰でも何でも、ウリは必ず持ってるんです。

内容はいいのに、いい人・いい商品なのに分かりにくい、伝わりにくいがために勿体ないなぁという事例はまだまだ多い。分かりやすいことが全てではないけど、分かりやすくして好転するのであれば、見た目や発信を分かりやすくブラッシュアップして損はないんじゃないかなと思いますよね。

捏造せず、育てよう

捏造というと犯罪の香りがしますが、よくあるんですよ。
こういうキャラがウケそうなんで、これなら売れる、と外付けで分かりやすいキャラや見栄えを作っちゃうケース。

芸能界とかインフルエンサー界隈でよくある話ですが、現状どうでしょう。どっかで限界が来てぶっちゃけたり、心のバランスを崩して辞めちゃったりしてますよね。だからこれはやってはいけない。勧められたら全力で断りましょう。

僕もスタイリングするとき、あくまでその人の中にあるものを可視化するようにしています。講師として指導するときもそうです。そうでないと本人が苦しくなっていく。続けていかないと意味がないわけですからね。

分かりやすくなるよう育てていけばいいんです。それは必ず伝わるので。まだ小さな芽でも育てていけば立派に披露できるようになります。まずはそれを見つけて愛情を注ぎましょう。。

とにもかくにも、自分自身やビジネスを棚卸して、中身を把握・理解しておくこと。そうすれば場面や相手に合わせて分かりやすく見せる、伝えることができるようになります。

ちなみに捏造の話、僕も”ビジネスオネエになったら売れる”とかアドバイスされたことありました。今の世の中の状況を考えると本当に断っておいてよかったと思いますが、売れすじ〜!とか買いどき〜!とか言ってる世界線も、ちょっと見てみたくはある。

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個人の方や企業様より、ファッションスタイリングを含めた見せ方やブランディングのご相談を日々承っています。何かお手伝い出来ることがあるかも知れません。「タイタンの学校(校長・太田光代)」でのファッション講師などスピーカーとしての活動や専門家としてのコメント・執筆なども。まずはフォームからご相談、お問い合わせ頂ければ幸いです。

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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介


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神崎裕介(ひろゆき)/日本一ファッションを言語化するスタイリスト
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