大分+長崎+佐賀 蔵元アーカイブズ 2002〜05(4) 佐賀・鳴滝酒造-2
■『ヤマフル』蒸留の器具類に、まず見参!
事務所で『ヤマフル』についてのお話をじっくり伺った後は、古舘氏のご案内で蔵の内部を実際に拝見させていただくこととなった。
まずは、今回の『ヤマフル』試験的醸造に使用された器具類とのご対面である。ああ、現役に復帰した蒸留器たち、逢いたさ見たさに今日のこの日を待ち焦がれておったぞよ。
先導する古舘氏に付いて蔵敷地内の奧にある倉庫へ(タイトル画像の中央の建物)。二階に上がると、それはあった。試験的とは言え現役に戻った蒸留器は、やはり何かイキイキとした感じが違ふのだ。
「道具にも魂が宿っている」・・・かつての日本にはそういう信仰があったが、輝きにあふれた兜釜を見ていると、そんな気になってくる。
古舘氏から頂戴した資料画像では、全部が写ってなかった兜釜の全景(上画像)。ピカピカツルツルに磨き上げられて、いかにも“現役!”というツラが嬉しい。もう製造を中止した蔵では埃を被り、長年の風雪によってか“皮膚”も褐色になって生気が無いのだっ。
上2点は、蒸篭の内部写真、特に最初の画像では二本の梁が通っているのがよくお解りいただけると思ふ。両側に四角い穴が開いていて、ここに棒を通して担ぎ、蒸篭を重ねていくのである。写真では解りにくいかもしれないが、これも内部は綺麗に磨き上げられている。
上左は、蒸篭の収納状況・・・と言っても、古舘氏が我々に見せようと兜釜や蒸篭を引っぱり出していただいたため、少々並びが乱雑に見えるが、実際はきっちりと収蔵されていた。右は土台に蒸気を送り込むためのパイプ。これは新造したそうである。
上は、冷却器の内部。円形の下からが蛇管の部分。
さて、倉庫の二階から降りて、一階へ。そこは箱や瓶などいろいろな品物の置き場だったが、中に気になるものが・・・。
けんじさんとわてが急行する!
株式会社太閤として醸造していた頃の仕込み樽だった(左下)。字が読みづらかったが、昭和3年の製作だろうといふ。
■清酒の製造工程を、拝見する・・・。
その次にご案内いただいたのが、鳴滝酒造さんのメインである清酒の製造工程。日本酒も大好きな隊長やけんじさんの目が輝く。
■精米機:鳴滝酒造さんは、当然というか自家精米である。大きな精米機が鎮座していた。
■YE式酒粕蒸留乾燥機:精米機から歩いて移動中に、なんだか不思議な機械が設置されていた。聞けば、酒粕を蒸留し乾燥させるものだといふ。
■絞り機:これは清酒蔵ではお馴染みの絞り機。もろみから酒を絞り出す機械である。そしてこの中に残ったのが、酒粕。
■仕込みタンク群(下):どデカイ蔵内部に並べられた巨大な仕込みタンクの群。ほんと数が多いっす。
■一次仕込み用タンク:上記の二次仕込み用の巨大タンクから、今度は一次仕込み用のやや小振りのタンクを見学。仕込みは終わっていたので、中身は空っぽ。
■洗米浸漬機:精米された米を洗って水に浸す機械。
古舘氏や渡邊専務らがいらっしゃる方から手前に向かって米が移動していく、という流れ。この後に、米は蒸しの工程へと向かう。
■蒸し機:酒米を蒸す機械。これも、清酒蔵さんには定番のもの。稼働中の姿を見ることは出来なかったのが、残念ではある。
それにしても、ユーザーの多くは「昔ながらの蔵」って固定概念は、強固なんでしょうね。わてらはいろいろと蔵元さんにお邪魔したので、そういう呪縛は無くなってしまったんですけどね。
■麹室:正面から見て、左右に三角棚を配した広い麹室である。吟醸酒などの高級酒の麹造りは、手前の大きな台の上で行われる。天井には、温度調節用の穴が4つ開いており、周囲にはヒーターの線が走っているという、古典的な造り。
■吟醸酒用の貯蔵庫
めざとくも、けんじさんが目に留めたのは、吟醸酒を保存・貯蔵する冷蔵庫。中に入ると空気がひんやりとする。隊長とけんじさんは、なにか落ちつかない。ここが鳴滝酒造さんのお宝部屋であるからか?(^_^;)
けんじさんはタンクを抱えて飲み干しそうな勢いだったが、ひとまず“匂い”だけは嗅がせていただくことに。ん~~~~~~ん、やっぱりイイ香りなのよねぇ~~ん。
ちゅーわけで、次はいよいよである! 蔵内部に秘匿された『ヤマフル』2003年バージョン原酒、とのご対面ぬぅあのだ!
(佐賀・鳴滝酒造-3 へ続く)
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