米を喰え!<パックご飯をトレジャーハントする> (5)テーブルマーク 新潟産こしひかり
1.テーブルマーク『新潟県産こしひかり』のスペック
スーパーマーケットにディスカウンター、薬局、電器店など14店の店頭をウォークスルーしてみて、テーブルマーク株式会社(以下テブマ社と略記)の自社ブランドやOEM商材がいかに棚を占拠しているか、目の当たりにした。
特にパック8個以上の大容量バンドル商材は多くの店で棚の最下段に鎮座していた。OEMも含めて、結構な量がマーケットを押さえているようである。
さてテブマ社は、前述したとおり、冷食と冷凍うどんで有名だった加ト吉と日本たばこ産業との合体で生まれた企業だが、現在は「サトウ食品」や「神明&ウーケ」と渡り合う”パックごはん3大勢力”のひとつとしてシマを争っている。
さて、そのお味はどんなものか。
2.テブマ社は蒸気炊飯。二段階加熱製法を識る。
テブマ社のパックごはんパッケージに記載される「二段階加熱製法」なるフレーズだが、その製法とはいかに?
同社公式サイトに拠れば、製法の特徴として2つのポイントを挙げている。
1)トレーで一食ずつ炊き上げる
原料米の充填から炊飯、蒸らしまでをすべてトレー内で行う。トレーをお釜の代わりとするため米粒が潰れず、つややかに仕上がる、とある。蒸気炊飯らしい工程。
2)独自の二段階加熱製法
第一段階:炊飯前に、瞬間的に加圧した高温蒸気で加熱する「加圧加熱」によって、短時間でお米の芯までしっかり熱を通し、同時に殺菌も行う。
第二段階:その後、魚沼のおいしい水をトレーに入れ、高温の蒸気で一気に炊き上げる。
加圧加熱と蒸気炊飯、2度の加熱によりβデンプンのαデンプン化が素速く進むことで、”外はふっくら、中はもっちり、おいしいごはんに仕上がる”としている。
実際にレンチンした後のごはんの状態を見てみよう。
1回目・2回目も、シャリ切り前の状態は、ごはん粒の輝きと保湿感がある印象を受ける。
シャリ切り後も同様で、ごはん粒の表面にキラキラ感があって潤いを感じさせ、まるで通常の炊飯器で炊いたような輪郭の緩さもある。これまで食べてみた蒸気炊飯といえばごはん粒の表面がマット仕上げな印象で、直線的でスッキリしたフォルムだったが、これは違うなと思った。
自社独自と謳う二段階加熱製法による、第1段階目の加圧高温蒸気と第2段階目の蒸気炊飯のシナジーによって、艶かさと旨味の元と言われる「保水膜」が適度に生じたのだろうか。
さて、その「保水膜」とは一体何か?
3.ごはんの艶やかな潤いのあるお肌の秘訣→「保水膜」
ごはん粒を取り巻くネバネバの本体であり、これを水洗いなどで除くと美味しさが激減するという「保水膜」についてネットで調べてみた。以下が見つかった主な記述である。
ごはんのネバネバ=保水膜って、今まで単なる粘着物としか思っていなかったが、こんなに重要なものだったのだ。ちいとも知らなかった。保水膜は、ごはん粒の荒れたお肌に輝きのある潤いと美味しさを与えてくれるモイスチャー成分というわけである。
特にガス直火釜炊き商品に見られるご飯粒のやや緩い輪郭の正体がこれだったのかと思う。
4.適度な粘度とコシのある物理的食感。言うこと無し。
というわけで、半パックづつ2回試食した。美味しいと思う。
炊き具合は自分の嗜好からすると少々柔らかめだが、まぁ、そこは最大公約数の顧客満足を得るポイントなんでしょうな。
保水膜由来と覚しい粘りに加えて適度の歯応えもあって、物理的食味からいくと十分イケル。ごはんの食味を決める保水膜の形成という点で、二段階加熱製法の霊験あらたか、と見たがどうだろうか。
本品の場合、ごはん粒を口に含んでも気になる香気は感じず、素直に腹に落ちる。ごはんのみでもmogumoguが苦にならない。
テブマ社が量販店の棚を占拠している理由が分かるような気がした。
(了)