平成酒販侠客伝 『酒のこばやし』
■男伊達の酒販店
タイトルの「侠客」という言葉。これはなにも『酒のこばやし』さんが、“ヤ○ザな酒屋”と言いたいのではない。逆だ。
現代では法外な値段で希少焼酎を売りつけ、本格焼酎党の弱きをくじく輩が横行しておる。こういう輩こそ、真の“ヤ○ザな酒屋”であろう。
侠客とは「強きをくじき、弱きを助け、仁義を守り、そのためには身を捨てて惜しまぬことを標榜した仁侠の徒」という意味である。『酒のこばやし』さんは、希少な焼酎を適正価格で消費者のもとへ届けることで、本格焼酎党に多大な貢献をしていただいている。だからこそ、あえて「侠客」という言葉を使わせていただいたのである。
まさに男伊達の酒販店。志のある店だ。
というわけで、10月21日夕刻板橋で行われた第2回関東合評会については、わては関東在住の隊員各位との旧交を温めることに重点を置いたため(つまりは飲んで騒ぐことに注力したため)、合評会そのもののレポートはパス。
同日訪問させていただいた『酒のこばやし』さんの素顔をご報告したい。
■普通のお酒屋さんだった『酒のこばやし』。
10月20日夜、横浜在住のうっちん隊員と、中華街で紹興酒を鯨飲した猛牛。翌朝、同隊員の豪邸でまたも本格焼酎『紫』を勧める彼の強引な姿勢に根負け、朝から千鳥足状態であった(^_^;)。さて、横浜の某超高級住宅街にあるうっちん隊員宅でクラ隊員と合流。クラ隊員運転の4WDに同乗させていただき、一路東京都東部にある西葛西に向かった。
今回の関東行のもう一つの目的、『酒のこばやし』さん訪問を果たすためである。
アポ無しでの訪問と、ちと失礼ではあったが、わてもそうそう関東に来れる身ではなく、無礼は承知で押し掛けてしまったったいねぇ^^;(すんまっしぇん)。
現地に到着して驚いたのはクラ隊員であった。ぬぅあんと、クラ隊員の弟さんがかつて住んでいたのが、『酒のこばやし』さんの真ん前のマンションだったのら。
可愛い、少年のような瞳をさらに○くしていたクラ隊員の姿がとても印象的だった。
さて『酒のこばやし』さんだが、クラ隊員の話だと、かつては普通の酒屋さんという印象しかなかったという。秘剣名誉隊員が小林氏から伺った話では、食料品なども置いていた一般的な酒屋だったそうだ。
玄関先に立つ。「ここか、ここが『酒のこばやし』さんなのか・・・(T_T)」と、感慨が湧く。おもわず手を合わせて拝む(-人-)。ここはまさに聖地なのである。
店内はと覗くと、幾分小柄な男性が番をされていた。それが小林昭二社長であった。
さっそく挨拶を申し上げる。突然の訪問をわび、名刺交換。と、ふと横を見ると筑前でもなかなか手に入らない本格焼酎の“山”がそこにあった。
■志の人、小林昭二氏。
実に素晴らしい品揃えだ。本格焼酎が定着した筑前でもこんな品揃えの豊富さを体験したことはない。
そして価格が適正である。近所のディスカウンターの飛んでもない値付けに怒り心頭のわてだが、この誠意ある価格には、心が清々しくなった。
わてが感嘆する声に反応したのは小林氏である。
「蔵元に何度も足を運んで、納入してもらうよう頼み込みに行ってます。やっと了解をもらって、いまここに並んでいるんですよ」
わては、いま目の前にある本格焼酎の山が、まさに小林氏が足で一本一本揃えた、努力の賜物であると知って、深い感銘を覚えた。こんなことは中途半端な心掛けでできることではない。自らの努力に対してプレミアを乗せることもなく、本格焼酎党に正直な値段で提供する、その経営姿勢には頭が下がるばかりである。
(あ~あ。金があったら全部買って帰るのになぁ~(T_T))
■爪の垢でも煎じて、飲みなさい!(-"-)
さて、一升瓶の裏にある一括表示ラベルに貼った同店のシールを見せてくれながら、小林氏は、他の酒販店が同店で購入した焼酎をプレミアム分を上乗せして転売できないよう、策を講じていると厳しい目で語った。
また先日発覚した盗作事件のことにも話が及んだ。某酒店が、小林氏が発行されているリーフレット『粋酔』を、内容をそのまま写し取って自店の販促物に盗作したのである。・・・うったく。
というわけで、ここからは猛牛の個人的意見だが、
個人経営の酒販店は、後継者難や大手資本のディスカウンター・量販店などの競合参入で経営が苦しくなり、コンビニエンス・ストアに看板を掛け替えたところが多いのだ。ところが小林氏はその道を選ばず、本格焼酎・日本酒の品揃えを特化・深化させることで、自店の存在領域を確立している。
しかも、値づけはリピーターを重視しての適正価格での提供。一年に何本も売れないプレミアム価格で焼酎を売りつけるよりも、適正価格で繰り返し買って貰えることの方が、長い目で見れば、販売店も消費者も共存共栄できるのである。それこそ本格焼酎も本望であろう。
一瞬の暴利を貪るためだけのプレミアム価格での販売なぞ、一過性のブームに乗っかっただけの“泡”でしかない。自らの努力も無しに、まさに人のふんどしで相撲を取る大馬鹿者ども。ちったぁ小林氏の爪の垢でも煎じて、飲みなさい!(-"-)
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何ものにも勝る本格焼酎に対する愛情と造詣の深さ・・・、小林氏の“志”に触れて感銘した猛牛。筑前からお邪魔した甲斐があった、と想いを深めながら合評会会場へと向かったのであった。
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■『酒のこばやし』さんのご紹介
住 所:東京都江戸川区西葛西1-8-10
担当者:小林 昭二氏
TEL :03-3686-1929
MAIL :suisui@qa3.so-net.ne.jp
酒のこばやしブログ:http://suisui2019.livedoor.blog/
■2022年10月追記:この「酒のこばやし」さんについての稿を『九州焼酎探検隊』なるサイトに書いてから、はやいもんでちょうど22年になります。
九州人としては当たり前に、普段何気に飲んでる本格焼酎に妙に興味を覚えてサイトを始めた、そんな初っぱなにネットを通じて面識をいただいたのですね。
「酒のこばやし」さんは正式名称が『小林食品店』だったと聞いてますが、最初訪ねた時はお店がほんとに下町の食品店という感じで驚いたもんです。本文にも書いてますが、中に入って商品を見て驚いたのなんの。
先年、改装されて、たいへん洒落た素晴らしいお店に生まれ変わりました。またお邪魔したいものです。
22年経ったいまも小林昭二氏とは親交が続いていて、お酒について教えを乞うています。ここに書いた小林さんの気質というか生き方の哲学というか、それは現在でもまったくブレがありません。
だからこそ、全国有数の酒販店として名を馳せられたのでしょう。どんなことにもちゃんした訳、裏付けがあるんですね。
(了)