福岡県における芋焼酎受容のはじまりについて探る(2)
【「霧島黒千代香」縁起・後日談】
■『霧島銘黒千代香』の不思議なご縁で・・・。
浮世のご縁は、不思議なもんですばい。
◇ ◇ ◇
9月の2日に、当探検隊をご覧になられたある方からメールを頂戴した。
この方が検索で発見されたページは、たぶん去年の3月に書いた「『霧島』黒千代香三代」という稿だと思った。
それは、わてが17年前に北九州市にあった『焼とり権兵衛』という店で『霧島』銘入りの千代香を当時の大将から貰ったいきさつ、そして17年後に福岡市のグループ店でふたたび『霧島』千代香を頂戴したエピソードをまとめた、極私的なお話。
とにかく、わてにとっての本格焼酎初体験をする所となった『権兵衛』は、青春の想い出として思い入れがある店なのだ。HPがあることを知らなかったが、ご教示いただいてうれしかった。そうやってメールをいただいたのも、何かのご縁かなと思っていたところ・・・。
■『権兵衛』の大将が、わての横にいらして・・・
先週、9月26日、夜。福岡市中央区大名にある『権兵衛館』のカウンターに陣取って、「黒千代香(お湯割り)」×2個、鳥皮×10本、ダルム×2本、大豆の唐揚げ×1鉢という、MY定番ダレヤメの最中。いつもは焼き方で忙しい大将(株式会社コガ社長・後藤正行氏)が、わての横にいらっしゃった。
あんまり突然でビックラこいた。その高木氏があの時、わてに黒千代香を呉れた人だったのだろうか? たとえ違っていても、どちらにしろ懐かしく、またうれしい話である。
10月1日にその高木氏がいらっしゃるというので、その時に連絡をいただくことになった。
ん~~ん、あの『霧島』銘千代香を貰った時のことが甦るにゃ~。当時は、それが千代香という名前の器だったことさえ、知らなかったけどなぁ・・・。
■古賀会長、高木社長が語る、「権兵衛」焼酎史。
1日の午後6時。待ち合わせ場所の大名「権兵衛館」に入る。しばらくするとお二人の紳士が現れた。「権兵衛」の総帥・(株)コガ・古賀貞己会長と北九州を治める北九実業(株)・高木博巳社長の両氏である。古賀会長は御年71歳、矍鑠としてらっしゃる。
わても正直言うて、アガリましたわ。そりゃ初対面、しかも思い入れの深い「権兵衛」の首脳部なのであるからして、ちと最初は硬くなりましたですにゃ。画像撮影は店内が満席となったため、迷惑になったら失礼と撮影を諦めた。
話をいろいろ伺っていると、千代香をプレゼントしてくれたのは別の方だったのが判明した。しかしながら17年前の時点でさえ『霧島』を千代香で飲ませるというプレゼンテーションをやっていた「権兵衛」である。店の成り立ちから始まって、焼酎のことへと話を探っていった・・・。
というわけで、後藤社長手ずからの新作を3点ほど試食させていただいた。もちろん詳細は書けないが、掛け値無しに酒飲みにはタマラン味だった。わてとは違ってS級グルメ派の家人が「権兵衛の大将は、正統派の日本料理店で腕振るっても美味しいと思うわよ」と、その料理センスと細かな心配りを誉めていただけのことはあった。
◇ ◇ ◇
北九州から福岡本部に出向いていた高木社長だったが、8時過ぎに北九州城野店・店長である御子息が車で迎えに来るという。時計を気にされていた高木社長だったが、8時15分くらいにお迎えがいらした。奥様と美男の御子息のお二方である。
しかし。そのままお二人も宴席に入って、結局10時前まで飲んでしゃべっていたのだった。ドドドドドドドー!っと、千代香何回お代わりしたことか。にゃ~、飲んだ飲んだ、食った食ったぁ~。満足!!!
浮世のご縁は、ほんに不思議なもんですばい。
17年前からいろんな想い出を、そして今また新しい想い出を作って下さった「権兵衛」さんに感謝です。ありがとうございました。「権兵衛」さんの益々の御繁栄を、オールド・ファンの一人として、祈っておりますばい。
(了)
■2022年追記:芋焼酎の普及は、この時の古賀会長と高木社長のお話からして、昭和40年代後半あたりからと見てよいようです。
「前割+ジョカ」で提供することが喧伝されたあのブームの渦中、すでに昭和の頃から”先駆的”な取り組みを『焼とり権兵衛』は行っていたわけです。この前割『霧島』ジョカと鶏皮の組み合わせが絶妙に旨かった。
私は、20歳台半ばだった1985年くらいから『権兵衛』さんの鶏皮と『霧島』(現『白霧島』)で鍛えられて芋焼酎が飲めるようになったようなもんです。それくらい『権兵衛』には想い出がありますな。
ここで私的義憤をひとつ。
ここ数年なのか、”とりかわグルグル巻”なる串にぐるぐる巻きにして煮込んだ鶏皮が受けているようで、オススメとりかわ店10選みたいなサイトもよく見かける。で、覗いてみると、わては驚くわけです。
元祖中の元祖、始祖鶏である『焼とり権兵衛』さんが載ってない、ことが多い。
まあ、そういったのはパブ稿が多いのかもしれないと言えばそれまでだけど。今はまねっ子が増えたのかも知れないが、わてが知る限り、昭和の時代からあの”とりかわ”は『焼とり権兵衛』だけだった。
味の好みは個人差があるから致し方ないとしても、”とりかわ店●●選”なんて企画に『焼とり権兵衛』が入っていないなんて、絶対にあり得ないのよ。ふざけんでねえ、と思うわけざんす。
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