どの道の罪悪感

引っ越しまであと少し。

ここでの晩ご飯もあと何日。
ここで寝るのもあと何日。

ぐるぐるが始まった。

用意するもの、捨てるもの、
買いに行くもの、
ぐるぐるぐるぐる

それだけでも忙しいのに

あと何日
あと何日

母が一人でご飯を食べる姿
母が一人で寝室に入っていく姿

想像して胸が痛くなる。

あぁ
これでは意味がない。

ここで母と暮らす中で
私がずっとしんどいと思っていたのは
逃げたいと思っていたのは

早朝
まだ私が寝てる間に母が階段を拭き掃除する姿
連勤の終盤
仕事場で母がしんどそうに働く姿

色々想像して罪悪感でいっぱいになったから。

見たことないけど
母の気持ちは分からないけど

ごめんなさい
ごめんなさい　
　
思うのに動けない
働けない

そんな自分が嫌で
情けなくて

それなのに

引っ越すとなったら、それはそれで

ここで母を一人にする罪悪感でいっぱい。
引っ越す前から。

こうなることは分かっていたから
考えないようにと思うけれど
やっぱり考えてしまう。

こんなことになるなら
最初から一緒に住むなんて言わなければ良かった。
一度一緒に住んでまだ出て行くなんて
年老いた親に対してすることじゃない。
血も涙もない、鬼か私は、なんて

また叔父や叔母に叱られるな。
ご近所からも言われるな。
分かってるから母は誰にも言ってないのだろう。
こんな時まで気を遣わせて
どこまで親不孝なんだろう。

ぐるぐるぐるぐる

でも、

大丈夫
大丈夫

きっと慣れる
きっと慣れる

母も私も
それぞれの生活に
きっと慣れる、はず

言い聞かせるけどやっぱり苦しい。

一緒にいても別々になっても
罪悪感は変わらない。

でも自分で決めたことだから
「あの時は辛かったけど思い切って動いて良かった」

そう思えるように
母もそう思ってくれたら…
そんな日が来たら良いなと
そういう日が来るようにするんだと。

苦しいけど前向きに
辛いけど前向きに

寂しくなるのは誰よりも母だろうから
うん
居なくなった場所に残される方が寂しいに決まってる

あぁ、また罪悪感。