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経理のための計上ミスを減らすtips
自己紹介
初めまして、Heroといいます。普段はXでFC今治や終わらないダイエットの進捗、たまに思い出したように会計周りのことをつぶやいています。監査法人で5年、再生コンサル2年、外資系事業会社経理1年、ファンド経理1年という経歴です。主にデータを集計しての分析やブックへの計上などをやってきていて、1から作業ファイルを作ることが多かったので、自身のやらかしを経て生み出したミスを減らすtipsを共有できればと思います。
こういうやり方もあるよ、というものがあればぜひコメントください!(むしろこれが本記事の目的です笑)
基本的な考え方
まず大前提としてミスはなくなりません。そのうえでどうやってミスをする確率を減らすか、重大なミスを防ぐかという観点で話を進めていきます。方法は大きく3つ、数値の正しさの検証、集計漏れチェック、増減分析です。
数値の正しさの検証
正しさの検証とは主にreconciliation(他データとの整合性の確認)ですね。このデータというのは絶対的に正しい数値と理論上の数値との比較となります。前者は銀行残高や販売システムの数値、鑑定評価などの1円単位で正しい数値がわかるもの、後者は想定原価率から計算する原価などをイメージしてください。
前者の場合はその数値を比較すればいいので、作業としては難しくない部類かと思います。(ただしズレが発生すると途端にめんどくさくなります。本来違う科目で計上されるべきものが混じって残高があわないなどのケースはよくあります。また新しい取引が発生した場合などもあるあるのパターンですね。)
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理論上の数値と比較する方法に関しては、個別事案によるとしか言えないので検証方法については割愛させていただきます。
一方で検証の際に気を付けるべき点はあります。検証基準を明文化して、なるべく例外をつくらないこと。例外がでたときはきちんと発生日とコメントを残し、それが当たり前とならないようにすること。こうしておかないと差額が出ているのに放置される危険性があります。
集計漏れチェック
集計漏れのよくあるパターンは下記3つです。それぞれ対処方法も記載します。
集計範囲の漏れ
新しい集計範囲が増えた際に行/列を追加すると、追加した数値が集計対象になってないことってよくありますよね?合計の前に1マスあけるとちゃんと追加した部分も集計範囲に入ります。
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グルーピングの漏れ
元データを集計用にグルーピングしたとして、データを変更すると集計漏れが出たりしませんか?そんなときは集計データの合計と元データの合計を常に比較するようにすると、
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データが1ページで収まらないと見落としがちです。
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集計対象の増加
新しい勘定科目が発生したのに、それに気付かずに集計することってありますよね。
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実はother receivableの残高が100あったのにそれに気付かなかった、というケースです。こういったケースを防ぐためには、常に表示上の数値の縦計とシステム上の合計数値(ここでいうcurrent assetsなど)と常に比較して、一致するか確認しましょう。
増減分析
かなり感覚的な部分があり汎用的な分析方法は言語化はできていないのですが、基準値は機械的に決めた方がいいと思っています。
BS/PL全般分析だと監査上の基準値を私は流用しています。監査上の重要性(以下PM/Planned Materiality)というのがあって、だいたい税前利益の5% or 純資産の1%(ファンドなどで使われます)で設定されます。さらに手続実施上の重要性 (Performance Materiality/Torrelable Error (以下TE))というのがあり、これは だいたいPMの50%です。
感覚的にこれぐらいの動きは見ればいいかなということで、絶対値TE以上かつ10%以上の増減についてはコメントを残すようにしています。
各科目については科目全体の5%超かつ10%以上の増減についてみるようにしています。
増減分析や理論値との整合をどこまでやるのか、というのは個人差がでるものなので、どこを基準値とするかというのはしっかりと決めておくとよいと思います!
以上です。
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです!また、私はこうやっているという点があればぜひ教えてください!