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女の恋は上書き保存、男の恋は名前を付けて保存 24

 信号待ちで、車が止まると、理佐はもう一度優弥の横顔を見つめる、彼のきれいな横顔の輪郭が正面からの日差しに映えてブロンズの彫刻ように理佐には見えた。
 
後ろで誰が入ってくる気配を感じると、由香が入ってきていた。
たぶんそうだろうと思って、料理の手を休めず、振り返ることもなく、目の前のことに集中する。
 「ああ、おなか減った・・・・・」と声を上げて、リビングのソファへどんと腰掛ける。
相変わらず由香は母親の前では行儀が悪い、いい意味では本音を包み隠ことなく曝け出していてうれしい反面、もう少し年相応な女らしさも身に着けてほしいと時々思うことがある、いつものように帰宅すると、自分の部屋にはまっすぐに向かわず、理佐がいる、
ダイニングへと直接入ってくる。 鞄をリビングのテーブルに投げるように置く音がして、すぐに静かになる。理佐にはいちいち振り返らなくても、由香がまたスマホを触りだしたことがわかるようになった。
 母娘二人だけの生活になったような、この春以降、そんなことが日常化してしまった
 「お母さん、帰るの、随分はやかったんだね・・・・・」由香がそう声をかける、たぶんスマホを見たままだろう。
 理佐は料理の手を休めることなく、予定より早く出たこと、道路が意外にすいていたことを、キッチンから娘に聞こえるように少し大きな声で話す。
 「おいしかったでしょ?・・・・・ やっぱりあそこって、カップルとかがおおいのかな?」
 由香はダイニングの方へ入ってきて、椅子に腰かけながら理佐へ話す。
 夕食の準備で、キッチンとダイニングを、忙しく行き来しながら理佐は、コースは少し量が多かったこと、次回はお昼ならアラカルトメニューでもいいと思った事、平日なので思っていたほど、店が混んでいなかった事を手短に娘に話した。しきりに、うらやましがる由香に、理佐は、早く彼氏でも作っていけばいいじゃないと、からかうように言うと、
 「その時は、ママも必ずついてきてね」と返事をする、理佐が不思議そうに、なんで?と返すと、。由香はダイニングテーブルに肘をついて
 「お金だけだしてもらえば、いいだけだから・・・」と、言い返す。
 理佐は小さく微笑むと、この子らしいと改めて思った。
 理佐は手際よく、テーブルに食事の準備を始める、由香はそれに気づくと、スマホを傍らに置いて、黙っててきぱきと母親を手伝う。しばらくすると、静かないつもどおりの母娘の食事が始まる。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

まだまだ、続きます・・・・


小説は、言葉によるデッサン・・・・

映像より、鮮やかに人の心や、風景を描き出すことができると思います。

皆様のご意見もお聞かせいただければ幸甚です。


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