![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/138602218/rectangle_large_type_2_a78fae207664844f8d452641998a975d.png?width=1200)
Photo by
pasteltime
詩小説『引越物語』⑭帰ってきた未希
職場では上司だった彼女。
退職してから友達になったのが未希だ。
メールやzoomで真夜中でも連絡をとってしまう変人で、わたしに小説を書かせている困ったさんである。
「久しぶりー!帰国したばかり。時差ボケが酷くて。」
未希の声は弾んでいる。隣に立つご主人らしき人もにこやかにお辞儀をしてくださった。
「みーちゃん、ひさ…!!」唖然とした。
ご主人が若返っている。
明らかに結婚式で見た人とは別人だ。
「ちょっとごめん。電話一件済ませてくるね。」
その場を離れ電話をかけるフリをした。
・(9♪1
手が震えて仕方ない。わたしは訳の分からない文字を打ち込んでいた。
この感情って何なんだろう。
羨ましいのか、怒っているのか。
「国際ロマンス詐欺って言ったのよ、あの子。もう友達やめたわ。」
共通の友人達から大丈夫なのかと心配され、未希はうんざりしていた。
「この人しかいない!そう思ったの。会った瞬間にね。」
沢山の惚気話の中から、わたしが発掘した心配の種は3つ。
今は仕事をしていない
自分の経営するレストランで働いてもらう
披露宴をイタリアと日本で2回する
未希の実家は資産家だし、レストランチェーンも順調なら、本当に大丈夫なのかもしれない。
一気に聞かされて、わたしはすっかりのぼせてしまった。
「おめでとう!優しそうなご主人だね。」
兎に角、二人に余計な心配をしていることが伝わらないようにしないと…。
愛想笑いが苦手なわたしは、花粉症を理由にマスクを手にする。
そして、眼鏡を外した。
眼鏡越しに見る二人は、互いに見つめ合い愛を育んでいた。
次のお話は、未希夫婦の新婚生活です🇮🇹
前回はこうなってこうでした☺️
いいなと思ったら応援しよう!
![上湯かおり](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152819321/profile_b8b11df42604e9b529d60875ee4ab78e.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)