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掌編小説『股関節村』
パッパッカ、パッパッカ
ヒヒィーン
「待たれよ!しゃんしゃんしゃん!」
「はて…何かご用でございますか。」
「我らは股関節村からやって来た。名は龍王である!」
「初めてお目にかかります。かの有名な龍王様がなんのご用で。」
「お前、十八の歳より家庭教師をしておるな。」
「はい。今もそうです。」
「個別教室でも働くことがあるな。」
「はい。仕事ですので。」
「童のいる寺に修行に行くこともあるな。」
「お寺ではなく、やっててよかった△△△でございます。」
「うむ。」
「そこでじゃ、椅子に座るのをやめてくれぬか。」
「はぁ。東◯ハイスクールや◯合塾ではないので、立ったまま教えるわけにはまいりません。いくら龍王様でも、それだけは無理な御命令でございます。」
「無礼者!股関節村を侮辱するつもりか!」
「めっそうもございません。股関節村の皆様のおかげで、わたしは子ども達と学ぶことができるのでございます。感謝しておりますとも。」
「良かろう。しかしな、感謝だけでは立ちゆかなくなったのじゃ。」
「やはり、もうそろそろ引退すべきでしょうか。股関節村の皆様のお顔を初めて見て、わたしのしてきたことを悔いております。」
「わかれば良いのじゃ。直ぐにとは言わぬ。あと二年で、今のやり方をやめるのじゃ。家庭教師とやらはオンラインに。zoomとやらが役に立つと聞くぞ。何も対面でなくとも良いではないか、しゃんしゃんしゃんよ。」
「仰ることは、よくわかります。塾や家庭教師先のお宅の椅子は、股関節村の皆様には大変厳しい。痛む腰をさすりながら申し訳なく思っておりました。」
「note村の民にも協力を仰ぐのじゃ。」
「協力、ですか?何をお願いすれば良いのでしょうか。」
「そちは大雨の日、物理のレポート添削を頼まれたな。」
「よくご存知ですね。」
「当たり前じゃ。我らは、そちの身体の中から参ったのだ。なんでもお見通しである。」
「あぁ、それでしたら、あの日は特に股関節村の皆様にご無理を強いてしまいました。すみません。」
「いや、詫びよと言うておるのではない。note村で添削済みのレポートを公開したな。そして、支払いをnote村の銭で済ませたな。」
「公開するつもりはなかったのですが、最初からマガジンに入れる方法を知らなかったものですから。公開してすぐにマガジン『頭お願いします』に入れました。」
「しゃんしゃんしゃんよ、高すぎるぞあれは。5000円とは何故じゃ。そちはnote村で自惚れてはおらぬか。」
「まさか、そんな。あえて購入する人がいない価格にしたわけでして。5000円はあの時だけでございます。」
「で、銭はnote村に入ったのか。」
「恐れながら龍王様…。」
「なんの話でしょうか。」
「コホン。兎に角、股関節村の民のことも考えてほしいのだ。わかるな、しゃんしゃんしゃん。」
「はい。これからは、股関節村の皆様のことを思って仕事いたします。わざわざ、身体の中からお越しいただきまして、誠にありがとうございました。」
「わかれば良い。我らは股関節村に帰る。達者でな。」
パッパッカ
パッパッカ
「ほんとに分かってんのか、しゃんしゃんしゃんは」
「しー。しゃんしゃんちゃんに聞こえちゃうよ。」
「ちゃんて呼んでるのか?おばさんだぞ、しゃんしゃんしゃんは。」
「お前達、何を話しておる。帰るぞ、股関節村へ。」
「はい!!龍王様!!」
完
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