半熟小説 | 詐欺から出たマコト
エピローグ
一体、いつ何がどうなるって言うんだろう。
あからさまな作り話に辟易した翁丞は無言のまま黒電話の受話器を置こうとした。
「ちょっと待ってください。貴方様の作品を何度も拝読した上でのご提案なんですよ。」
ずいぶん流暢に嘘が出る人間がいるもんだ。それにしたって、俺の実話なんか誰も読んじゃいない筈だが。
会員数800万人を超える小説サイトで、三年前まで定期的に新作を投稿していた黒岩翁丞は、どこで個人情報が漏れたのか記憶を辿っていた。
サイト投稿では埒があかない