【八】資格からの誘い【33歳障害者の日乗】
私は、小説を読んでいると、人生が上手く回っているわけで。
資格の勉強をしていると、人生が上手く回っていく人もいる。
世の中には色んな人がいて、色んな人生の上手い回し方があって、生き方は十人十色、一億人いれば一億通りの生き方がある。
だから、人の生き方に口出ししようだなんて思わない。これは、私個人の人生の考え方である。
障害者の働く障害者雇用では、障害になる前にキャリアを積めていた人以外は、一生を昇進なく終わることになる。
フルタイム働けたり、あるいは障害の特性が仕事にとってプラスだったり、障害者の中でも限りなく軽度であったりと、もちろん例外もあるけど、私の場合はフルタイム働けないので、これから就活をしても、任せられる仕事の内容はたかが知れている。
もちろん、仕事を馬鹿にしているわけではない。仕事に貴賎はないし、仕事内容に不満を抱くのは、何も私だけではなく、障害者だけでもなく、おおよそ仕事をしているすべてのひと、今の時代ならばもっと幅広く、主婦業や学生業もそこに含まれるように思う。
じゃあ、資格を取ればいいじゃないか、と考える。簿記二級の勉強はしているよ。けれど、資格なんて、よりよい転職のためのアピールか、自己啓発以外の何物でもないし、ならば独立開業系の資格はどうかと言われても、障害者年金二級を貰っている私には、よっぽど稼げるという確証がなければ難しい。
結局、言い訳したいだけなんじゃないか、と責める。今の、小説を読む時間を副業に充てて、スモールビジネスをやればいいじゃないか、と言われかねない。
けど、小説を読むことは、単なる娯楽を越えた、私自身の生きる支えであって、これがなければ、人生を回していくことなんで不可能なんだ。
何度も言う。
人によって、上手く人生を回す秘訣がある。それが「支え」と表現できるものなんじゃないかと思う。
いくら、「こうした方がいい」という声があっても、上機嫌に生きられず、人に悪い感情を振り撒くだけになったのなら、「人生の本番はまだ先だ」と我慢する観念に支配されるようになったのなら…それこそ人間終わりじゃないかと私は考える。
それに、人に指摘されて「それか!」とすぐ翻意するほど、私は考えの足りない人生を、少なくとも障害者になってから送ってきたわけではない。
仕事を続けることは難しい。お金を稼ぐことも難しい。
障害という制限の中で、どうやって生活を作っていくか。普通以上に難しい課題を、解決していくことが求められている。
33歳。年齢が進めば、新しい考え方も身につくだろうが、まだまだ悩みの最中にいる。(おわり)