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インティマシーシーンだけではない、映画制作現場の問題

7月4日にヤフーなどに掲載した『先生の白い嘘』をめぐるインティマシー・コーディネーターの記事は世間の大きな耳目を集めました。ヤフートピックスになったわけではないですが、ケタ違いに読まれた記事でした。

現在はENCOUNTで読むことができます。

あまりに反響の大きさに裏事情を書いたコラムを書き、インティマシー・コーディネーターの西山もも子さんにも話を伺いました。

一連の記事を書きながら改めて感じたのは、映画制作の現場自体が注目されているということです。コーヒー豆の栽培現場では「フェアトレード」という言葉が使われるようになって久しいですが、映画の制作についても、正しさが求められているのだ、と。

しかし、映画界の問題はインティマシー・シーンをめぐるものだけはありません。それは制作現場の労働環境、待遇、ハラスメントなどの問題です。

実は、私もかつては制作現場を志したことがありました。大学時代は映画サークルに所属していたこともあって、卒業後は映画会社への就職が第1希望でした。ところが、その頃の邦画界は斜陽を通り越し、夜の時代だったと思います。大手映画会社の採用はほとんどありませんでした。

それでも、難関を突破し、映画会社に就職した2つ上の先輩がいました。すごいと思いましたし、羨ましくもありました。ところが、実態を聞いて、愕然としました。1か月休みらしい休みはほとんどなく、手取りは13万円。

90年代初頭、一般企業の大卒の初任給は18〜20万円はあったと思います。そこから5万円以上低いのか、と。当時、大学生だった私は家庭教師のアルバイトなどを掛け持ちしていたので、その月収でも10万円以上はあったと思います。夢を追いかけたいが、生活はできないだろうと思い、映画界の道を諦め、新聞業界に進みました。

それから30年以上が経ちましたが、映画制作をめぐる状況はさらに悪化しているように思えます。制作現場のスタッフの7割以上がフリーランス、映画会社の社員スタッフはほとんどいない。拘束時間が長い上に、契約書もなく、ほとんどが口約束。やりがい搾取が横行し、ハラスメントも。

そんな映画界も今、制作現場の改善に動き出しています。それが「日本映画制作適正化機構」(映適)の誕生です。これには、経産省が業界の尻を叩いた側面も否めませんが、業界は自身の力で改善に動き出したことは、歓迎すべき出来事だと思います。

映適の取り組みはどんなものかと執筆したのが2編の記事です。

映画界は夢を売る仕事です。その世界で夢が見られないのは悲しいことです。映適をきっかけに、映画界が自助努力で生まれ変わることを心から祈っています。

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