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障害者にカテゴライズされるということ―障がい者として働く・暮らすこと―3

ところで、鬱病って、どんな病気だと思いますか?

一般的には精神病で、大きく心の負担になることは、避けるように。
と言われています。


しかし、それは "なった後" のことで、
"なぜ?""どうして?"鬱病の状態になるのか?
には、答えてません。


自分の場合、鬱病の原因が他者に起因するものだったので、
余計に「なぜ?どうして?自分は病気になったの?」
「自分の体のなかで、一体何が起きてるの?」

という思いが強かったです。

図書館で鬱病の本を見つけて開いても、
鬱病のメカニズムを解説してくれている訳ではなく、
全てが、鬱病の人にどう接したらいいのか?という本
でした。

その図書館には、第三者が読む本しかなかったんです。


鬱病は、脳の萎縮と脳内物質異常が起きてる状態です。

原因はストレスですから、原因だけ言えば、心の病気かも知れませんが、
実際に服用する薬は、脳の伝達物質の阻害薬が多いです。
出すぎている脳の命令物質を薬でコントロールするわけです。


自分は結局、インターネットでお医者さんの記事や論文に目を通しましたが、

自分の脳が萎縮して、壊れて、一生治らない
新しい自分を受け入れるしかない

というような文面に、呆然としました。


新しい自分?
元の自分は、職場の人達に壊されたの?踏みにじられたの?
新しいことや芸術に目を輝かせるような自分は、もういないの?
自分はどうなっちゃうの?
"誰"になるの?


休職という、今までの生活に比べたらとりとめのない時間のなかで、
そんなことを考えては、職場の人達がとても許せなくなりましたし、怒りも悲しみも、行き場はありませんでした。


それから、2年余り経った、障害者雇用3日目のこと。

『それ、精神的なものじゃないよね?(笑)』
『疲れちゃった(笑)』
「違います!」

のちに、自分は "正式に" 障害者差別解消法に則って、この日のやり取りを抗議しましたが、

返ってきた答えは

「冗談のつもりだった」
「正式な書面での回答・謝罪は出来かねる」

というものでした。


小学生でも知ってると思うんですけど、
議会は国家の一部であり、法律を作ります。
国家公務員は"法律を遵守し"国民に奉仕する仕事です。

その、国家公務員に、自分は「冗談のつもりだった」と言われたんです。

笑えません?いっそ笑ってやればよかったです。


就職3日目のこと、新しい生活リズムに慣れないのと、
鬱病からくる"じわじわした不安感" からなかなかアパートを出られずに、電車の時刻が来てしまいました。
遅れる旨を電話したところの、第一声が「アレ」でした。

自分はその日、結局 "病休" という扱いで休みました。
非常勤で日額ですから、休めばお金は貰えません。でも、そういう嘲笑があることが、とてもショックでした。


自分は忘れていたんです。

鬱病治療を始めて、
色々両親と福祉課と相談しながら、障害者手帳を持つことを決めても、
誰も今までと態度を変えたりしませんでした。

薬を目の前で飲んでも何も言わなかったし、
実家に帰る時「手帳を見せて割引きで帰ってきた」と言っても、
「そんな割引きあるの。便利ね」と、
手帳を持つことに反対していた母でさえ、普通に会話するくらいでした。

だから、一般に考えて、
『障害者』という色眼鏡
があることを忘れていたんです。


実を言うと、私は知的障害者さんが苦手でした。

理由は、小学生の時、友人と公園で遊んでいたら、知的障害者さんに追いかけ回されたからです。

何で追いかけ回されたのか、未だに分かりませんが、
でも、今の自分には言えるんです。

障害にも、程度や個性があって、
知的でも身体でも精神でも、"ひと括りに障害者とは言えない"んだ、と。

私が職場に「大きな声は止めて」と言ったように、あの追いかけてきた知的障害者さんにも、配慮すべき何かがあったのかも知れません。

自分の世界は、"障害者" になることで、変わりました。
(4に続く)

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