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中学生日記……?―障がい者として働く・暮らすこと―6

実は、精神疾患には "完治" という考え方はありません。
ストレスによって、失われたり壊れたりした脳の構造は元に戻らないからだと、私は理解しましたが、
研究者の方はもっと上手く説明してくれるかも知れません。


では、"完治" ではなく何と言うかというと
 "寛解" と言います。

脳の伝達物質抑制薬を必要とせず、比較的普通に暮らせることになる状態を言います。

寛解しても、例えば

パニック障害が残ってしまった
不整脈がすぐ出る
ショートスリーパーになった
頭痛持ちになった
前よりも気圧の変化に敏感になった
等々

後遺症というか、何かしらの変化が体に起こったまま治らない、頓服薬をもらい続けている、
という方は、チャットや知人の紹介で知り合った人にもいますし、
自分自身も「きっとこの症状は残るだろうな」というのがあります。

精神疾患とは、そういうものです。
やはり『新しい自分を受け入れる』しかないのだと思います。



パタパタパタ……

自分の数メーター後ろで足音がします。

それはAさんの足音でした。


事務室を出て、行き交うのはまぁ、当たり前と言えば当たり前です。
事務室の外にお手洗いや急騰室、エレベータなどがありますから、何の不思議はありません。

でも、その時なぜか、
自分はとっさにピルケースを"わざと"見えるように持ち直しました。

好奇心か、Aさんを責めたかったのか……『薬を飲むぞ』というのを誇示した訳です。


予定どおり、先にトイレに向かいます。
Aさんも、急騰室を通りすぎて着いてきます。

トイレの個室に入りました。
数秒遅れて、Aさんが、自分の隣の個室に入りました。


が、

ジャー……
ばたん


え?

自分はビックリしました。
Aさんが個室に入って、10秒経ったか……とにかく異様に早かったし、衣擦れ音がしなかったのです。
(Aさんも自分も体は女子ですから、用を足すには、脱がなきゃいけません)


『Aさんは、用を足すフリをした』

自分には、確信がありました。


案の定、自分が普通に用を足して個室を出ると、Aさんはまだ手を洗っています……。

「おつかれさまです」
「…………」

無視されても、挨拶するのが社会人のマナーと自分は思っているので、
ここまではいいです。

ピルケースとハンカチを置いて、自分も手を洗います。

Aさんも、まだ手を洗っています。
自分より何十秒も早く個室を出たのに……。


ちらちらと、二回ほどAさんを窺った時でしょうか。
Aさんは、何事もなくトイレを出ていきました。

ホッと緊張が解れるのが分かりました。

手を出されたことはありませんが、罵られたことは、この数ヵ月で幾らでもあります。


何事もなかった……。

そう思ってトイレを出ると、
Aさんが急騰室に入って行くのが見えました。


あれだけ丹念に手を洗っていたのに?


通り過ぎる時に横目で見ると、Aさんは洗い物をしていました。


すごーく、良心的な解釈をすると、
Aさんは、頻尿か何かで、尿意を感じやすく
また、一分近くも手を洗わないと気が済まないほど、潔癖なのでしょう。
自分より辛そうです。


感じた直感のまま、意見を述べるのであれば、
精神安定剤か何かか……
とにかく "どういう薬を飲んでいるか" 興味があったのでしょう。

残念ながら、その時飲みたかったのは頭痛薬なので、
たとえAさんの前で飲んで見せても、
Aさんの面白おかしい噂話のレパートリーになることはなかったのですが。

そのあと、Aさんに迎合しているBさんが、
自分がロッカーを開けている時、無言で背後に立つ……
ということがあり、さすがに、悪寒が走りました。

0距離で無言で背後に立つんですよ……どこのB級ホラーでしょう?
残念ながら、国家公務員非常勤の霞が関ホラーです(笑)


しかも、自分はその時Bさんに私物を踏まれたので
「ちょっと……!」
と振り向いて声を掛けてるのに、無言で立ってるんです。


実は自分は、睡眠不全で、よく眠れないのです。
出勤できても眠気が残っていることがあったり、少しだるかったりする時もあります。

そういう時は、空いている会議室で、お昼休憩の一時間を仮眠に当てます。
ロッカーには、簡易的な敷物と膝掛けを入れていました。


「…………」

その月の終わりの障害者雇用面談で、自分がこの話を上司と支援員さんにすると、無言が返ってきました。

「言った言わない、やったやらないの世界になるので、本人達にはフィードバックしないけれど、
嫌がらせがあったことは分かったし、これからも似たようなことがあれば報告してほしい」


やっと上司に、自分が言っていることがクレームとして処理されなかった瞬間でした。

(7に続く)

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