配慮か差別か―障がい者として働く・暮らすこと―9
バリアフリーやユニバーサルデザインという言葉が、日本に浸透して久しくあります。
いずれも、使う人を選ばない、誰でも、どのような人でも等しく使える状態や物を指します。
それらは、障がい者配慮されたものでもあります。
障がい者配慮とは、言葉のとおりですが、
障がい者にも使い勝手がいいよう配慮・考慮されている、状態や物を指します。
先の話でもしたように、障害者雇用には、
その被雇用者にあたる障がい者さんが、
働きやすい環境とはどういったものかを事前に告知する『障害配慮事項』というものがありますし、
また障害者雇用関連法には、
被雇用者にあたる障がい者さんが、働きやすい環境を整えることを雇用者側(会社等)に科す文言が入っています。
11月半ば、自分は人事にこれまでの経緯を説明し
『障害者雇用率のために雇われているのであれば、辞めたい』
と申し出ました。
なぜなら、障害者雇用率は6/1段階の比率でいい訳ですから、
自分がこの事務室に残っていなくても問題ないのです。
実は、この数ヶ月、面接で事前に説明を受けていた、担当職務というのは、一つも自分には回ってこなかったのです。
それに加え、非常勤間の明らかな嫌がらせによって、雑務もスムーズにできず、
さらに、正社員・非常勤に限らず、自分をメールリストからあえて外して、事務室にメールが流れているのも、
人からの話やシュレッダーにかける不要文書によって、自分は知っていました。
これは、障がい者配慮でしょうか?
例えば、自分が脳の損傷や知的障害などで、
文書処理ができないとか、不要な情報がどれか取捨選択するのが苦手だとか
そういうことであれば、
事前に説明を受けていた担当職務がなかったり、メールが回ってこなかったりするのも、
立派な障がい者配慮でしょう。
その人の障がいに合わせて、雇用側が配慮し、調整した訳ですから。
でも、自分が障害配慮事項として、面接時に伝えたことは、
『大きな音や声は止めて』ということと、投薬・通院のことのみです。
つまり、"配慮" ではないのです。
障害者差別であり、
ハラスメントであり、
自分には、それを「止めて」という権利がありました。
普通の人でも、
一日何もやることを与えられずに「ただ席に座っていろ」
と言われるのは、パワーハラスメントですよね?
つまり、自分は事務室で、そういう扱いを受けていた、ということです。
ところが、人事からフィードバックを受けて、
上司がわざわざ自分を会議室に呼び出して話し始めたことは、驚くべきことでした。
「色んなところを掃除してくれてたんだね、ありがとう」
二の句が次げない、とか
開いた口がふさがらない、とか
こういうことを言うんだな、と、体験した瞬間でした。
そして、謝罪もなく
「事務室全体で業務に大幅な変更があったんだ、仕方ないことでしょ」
なら、業務に変更があったことを、なぜ障害者雇用面談の時に、伝えず、
今!この状態になって初めて!伝えるのか。
仕方ないも、糞も味噌もありません。
こっちは、投薬が増え、挙げ句過呼吸で倒れて、欠勤して手取金が減っている訳ですから。
生活に直結して、色んなことが "苦しかった" のです。
それが『仕方ないでしょ』の一言で片付くわけがありません。
自分は折り返し、メールではなく、わざわざ人事の事務室に出向いて、
「あの人ダメです。話す気も改善する気もありません。」
と人事部長に言いました。
(10へ続く)