【タイに住む】[準備編] 3 - 賃貸契約(最も重要なのはインターネット回線である)
なにはともあれ特別観光ビザの要件をクリアできる物件を見つけないとなりません。
居住地域はプーケット地方で探すことにしました。
アオナンやカオラックも相当にいいのですが、ビザの更新や時々の日本への帰国を考えると国際空港のある地域がやっぱり便利です。
奥さん的にはチェンマイ推しだったのですが、行ったこともないところでいきなり暮らすという植物の種みたいなことはできないので、いったんプーケットにして、そこから国内旅行で一度行ってみてからまたあらためて考えようよ、となりました。
プーケットの何が最高なのかはまた別の機会に譲るとして、とにかく物件です。これが決まらないと話になりません。
まず、ホテルやヴィラなどの宿泊施設は賃貸にはならないので、賃貸物件を借りる必要があるのですが、通常タイの賃貸契約期間は最低でも1年となっているため、特別観光ビザの最長期間である9ヶ月だと、それでも残り3ヶ月分が過剰になってしまいます。
契約期間を満了せずに解約する場合はデポジット(いわゆる敷金相当)が没収されてしまうため、その場合はこれを覚悟で契約する必要があります。
もちろん、物件が気にいれば&ビザも再度取得し直せれば途中で解約しなくても済みますが、そもそも日本にいながらタイの物件を事前に契約するわけですから、内見なしにネット上の情報だけで長期滞在用の物件を決めるのは、やはり相応のリスクがあります。
実際に住んでみたら事前に把握していた内容と違ったとか、特に触れてなかったけどいくらなんでもこれはひど過ぎるとか、隣のニワトリ朝から超うるさいんですけど、とか。
私はIT関係の仕事をしているので、最も重要な条件はネットワーク回線のくだりが300Mbps以上であることなのですが、普通に探してもそんな細かい条件は書いてありません。
このご時勢ですから大丈夫だろうと高を括って借りてみたら爆遅で、回線のプランアップや別業者に乗り換えをしようにも契約内容やタイの常識やその他なんやかやでこれができないとなったら、私は羽の弱ったスズメガのように無力になってしまいます。
向こうはWi-Fiが普及しているので、そもそも有線LANが部屋に設置されていない可能性だってなくはないはずです。
元より地域によっては光回線や4G(≠LTE)が提供されていない可能性だって考えればあるわけで、そのあたりのリスクを避けるためにも、充分なネットワーク環境が事前に確保されている物件を探し出すことが必要不可欠でした。
それと今回は「まある」といううちの猫も連れていくので、ペット可の物件というのも必須です。
向こうはかなり野良犬や外猫な文化なので、ペットの室内飼育なんて要件を満たす酔狂な物件がどれほどあるのかも分かりません。
また、バスタブがあることというのも必須です。日本人ですから。やっぱり熱い湯船に遣って半目を剥きながら一日の疲れを癒す儀式は避けて通れません。
そんなこんなを考えて、はじめは現地の日本人スタッフがいる不動産会社にしっかり相談して、できるだけ確実な物件を探すことにしたのですが、やはり大抵のコンドミニアムはネットの回線速度が遅いからと賃借人都合で工事したり回線契約業者を乗り換えたりというのはNGらしく、そうすると一軒家で新規の回線契約を結ぶのがいいだろうということになりました。
一軒家もいいよね、いきなりタイで一軒家のローカルライフに首まで漬かってディープでドメスティックな毎日を送るのも楽しそうだよね、だけどそうするとバスタブが全滅でした。
タイの一軒家には、ゲストハウスでもない限りバスタブなんてないのです。布団と湯船でしみじみしたいニーズはそもそもタイにはないのです。
でもその不動産会社の日本人スタッフの方はとても懇意で親切で、検索エリアを広げてくれたり、再度探し直してくれたりして、なんとかバスタブのある一軒家を探し出してきてくれました。
バスタブどころかプールも付いてたり。ベランダに出ると目の前が湖だったり。
私はこういうところに住んだらもうきっと廃人になっちゃうんだろうなと思いながら、廃人になるのも悪くないなと考えてハアハアしました。
でも予算オーバーです。廃人になるにもお金が必要なのです。
そんなときに、ふとうちの奥さんが民泊サービスで全部を満たす物件を見つけ出してきてくれました。
ジーザス物件。
この物件オーナーは自身が外国人で、ツアーリスト向けのグローバルなインターネットサービスの経営とかもやられているらしく、プロフィール欄には「最も重要なのはインターネット回線である」と豪語されているくらいで、これを見たときの私といったら、バプテスマを受けた子羊のように彼の言葉の啓示性に強烈な感銘を受けたのでした。
最も重要なのはインターネット回線である
もはや人類のクレドです。
これなしに生きていくことなんて出来ません。
しかも彼の奥さんは獣医師だそうで、もちろんペット可な物件ですし、もしまあるに何かあってもとりまいろいろ相談できるかもしれません。
頼もしいです。
そしてバスタブどころかプライベートプールもあって、家賃は破格の月10万円弱。
やばいどうしようハイジンニナッチャウヨ。
早速コンタクトを取ると、さすが無駄のないスマートオーナーなので、返信は常に一行です。
私が理解できずにこまめに聞くと、聞けば聞くほど一行です。最終的には"OK"とか"Yes"とか、もはや一単語になっていきます。
徹底的に効率化された含蓄のある一言。無駄がありません。
むしろ私が無駄な内容を聞きすぎたのかもしれません。途端に嫌われているんじゃないかという心配がよぎります。
私の貴重な時間を奪うしつこい日本人っ思われてたらどうしよう、と不安が襲います。
待って私はあなたの信徒です。私の心臓をささげます。
ちょっと時間を空けて書いたりして、なんとか煩く思われないように頑張りました。
おかげでビザの取得に必要な契約書も無事に締結でき、あまり積極的でなかった個人のIDカードも提示してくれたり、連絡先となる電話番号も教えてもらえたり、ビザの延長申請時に必要となるTM30も用意してくれる段取りとなりました。
契約期間もいったん3ヶ月ちょっとと、短くも長くもなくちょうどいい期間で確保することができました。
先立って相談していた不動産会社の日本人の方には本当によくしていただいたので、わずかばかりの謝礼を送って、3ヶ月目以降の物件はあらためて現地で相談し直させていただくことにしました。
この外国人オーナーの方にはどんなお土産渡そうかな。
賃貸契約、ミッションコンプリート!(たぶん)