アレルギー物質の表示は、わかりにくい!?
こんにちは。
小麦などにアレルギーがある人にとって、ポテトチップスは比較的安心して食べることができるスナックです。でも、みなさんよくご存じのように、すべてのポテトチップスがアレルゲンフリーではありません。
例えば、カルビーポテトチップス コンソメパンチ には、アレルギー物質28品目のうち、小麦、牛肉、ごま、大豆、鶏肉、豚肉、りんごの7つが含まれています。一方、カルビーポテトチップス うすしおには、アレルギー物質28品目は含まれていません。
今回は、コンソメ味のポテトチップスの何にアレルギー物質(ここでは、アレルゲンと呼ぶことにします。)が含まれているのか、またどれくらいの量のグルテンが入っているのかを推定するとともに、アレルゲン表示の問題点について、考えてみたいと思います。
なお最初に断っておきますが、カルビーさんは食品表示法のルールに則って、成分表示をされています。特定の企業、商品を批判するのが、このブログの目的ではありません。
コンソメ味のポテトチップスの原材料
まず、「うすしお」と「コンソメパンチ」のパッケージの表記から、原材料とアレルゲンを書き出しました。原材料は使用した重量の割合の高い順に表示することになっています。重量であり、物質の量そのものではありません。例えば同じ成分を含んでいても、しょうゆは重く、粉末しょうゆは軽くなります。原材料のどれに、どのアレルゲンが含まれているのかは、筆者が推定して追記しました。でも、なぜ推定する必要があるのでしょうか。
アレルゲンの表示ルールと問題点
現在の表示ルールでは、アレルゲンがどの原材料に含まれているのか、正確に知ることはできません。それは、
①同じアレルギーが何度も出てくる場合は、二度目以降は省略してもよい。
②アレルゲンを、原材料名等の最後にまとめて表示してもよい。
③明らかにアレルゲンとわかる場合は、( )付きで表示する必要はない。
ことになっているためです。今回取り上げたポテトチップスの場合、①と③のケースです。
チキンコンソメパウダーの表記を例にするとわかりやすいのですが、チキンコンソメパウダーには小麦、大豆、豚肉、鶏肉の4種類のアレルゲンが含まれています。しかし、鶏肉は書かれていません。それは、「チキン」という名称から、鶏肉が含まれていることが明らかだということでしょう(③のケース)。
また粉末しょうゆの欄には、大豆、小麦と書かれていません。これは二度目以降は省略してよいというルールに則ったものです(①のケース)。
ついでに、②のケースについても触れておきます。
名 称:洋菓子
原材料名:小麦粉(国内製造)、砂糖、植物油脂、鶏卵、アーモンド、バター、異性化液糖、脱脂粉乳、洋酒、でん粉、(一部に小麦・大豆・卵・乳成分を含む)
という表示は認められています。原材料のどれかに小麦が入っている、ということなのですが、「一部に」と書いてあることで、小麦が入っている量が「少ない」と勘違いさせることはないでしょうか。小麦粉が最初にあるので、間違えることはないと言い切れるでしょうか。
何に含まれているのかが知りたい
アレルギーの程度によっては、少量のアレルゲンなら許容できる、という場合もあります。特にしょうゆに含まれている小麦、大豆のアレルゲンは、醸造の過程で分解されているため、食物アレルギーの人でも食べられることが多いといわれています¹⁾。ですから、入っている量を表示してくださいとまでは言いませんが、せめてどの原材料に含まれているのかは、知りたいのです。
これに対して、消費者庁は、「どの原材料にどのアレルゲンが使われているかは分かりませんので、詳しく知りたい時は、製造者・販売者などに問い合わせてください。」といっています²⁾。でも、誰が問合せをするでしょうか。問合せをするのも手間がかかりますし、問合せをされた方も迷惑かもしれません。結局、食べるのをあきらめることになるでしょう。
コンソメ味ポテトチップスに含まれるグルテン量を推定する
小麦がアレルゲンとして入っていると可能性があると推定したのは、チキンコンソメパウダー、粉末しょうゆ、粉末ソース、香辛料、ビーフコンソメパウダー、香料、香辛料抽出物の7つですが、小麦の量は全く分からないので、グルテンの量もわかりません。そこで、かなり乱暴ですが、次のような仮定をしました。
・「コンソメパンチ」と「うすしお」の差が、コンソメ成分
・コンソメ成分のたんぱく質が、すべて小麦由来
そうすると、ポテトチップス100gあたり小麦由来のたんぱく質が0.3g(濃度で30ppm)、グルテンは.26g(濃度で26ppm)ということになります。グルテンフリーの定義は、グルテン濃度が20ppm以下または未満なので、ほとんど問題のない量というるのではないでしょうか。
ただし、あくまでも仮定の話ですが・・・。
いかがでしたか。
一部の人にとっては、原材料が何か、アレルゲンが含まれているかいないかは、非常に重要で、いまの食品成分表示はそのニーズに対応しているとはいえません。一方で、小さなパッケージに、あれもこれも記載するのは物理的に不可能です。せめて原材料やアレルゲンについての詳しい情報を、メーカーのウェブサイトに掲載することが望ましいでしょう。実際に、一部のメーカーでは、実行されています。このブログのような「解析」をしなくても、原材料やアレルゲンについて、すぐにわかる仕組みを早く作って欲しいと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。よかったら、スキ♡ボタンと、フォローをよろしくお願いします。
参考文献
1) 食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017、p21-24、厚生労働科学研究班(2017)
2) 知っておきたい食品の表示、p13、消費者庁(2020)
まとめ
・現在の食品表示のルールでは、どの原材料にアレルゲンが含まれているのか、わからない。
・消費者は、どの原材料に、どのくらいアレルゲンが含まれるのか、知りたい場合がある。
・コンソメ味のポテトチップスに含まれるグルテンの量は、多くはないと推定される。
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